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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#129 竹的心

 竹が好きだ。夏は特に涼し気な風情が良い。

 勅使河原宏氏と言えば、生け花草月流の前家元であったに留まらず、映画や陶芸など多才なアートの創作をつづけた人だ。その懐古展が埼玉県立近代美術館で開かれているそうだ。
 氏の作品の中では、竹を使った大きなオブジェの世界が好きだ。初めてその巨大な実物に接したとき、竹を使ったまったく新しい表現世界に、驚きとやすらぎを同時に覚えたものだった。

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#128 地域のニュース

 田舎で自然とともに暮らすのはすばらしい。たくさんのロマンティックなできごとに出会う。

「きょう、下山村でイノシシが8ぴきワナにかかったって」
「えーっ、8ぴきも?」
「えーっ」
「うん。きょうの下山村はそのことで持ちきり」
「ずっと畑を荒し回ってたやつらでしょ」
「よかったねー」
「でも、親が捕れてないそうなの」
「じゃ、捕れたのはこどもばっかりってこと?」
「そう」
「ウリ坊ってやつね」
「ウリ坊が8ぴき」
「で、ワナにかかったウリ坊を、どうしたの?」

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#127 あがったりさがったり

 毎年8月の終わりに、神戸文化ホールにて「オカリナフェスティバル」なるものが開催される。全国のアマチュアオカリナ愛好家の祭典だ。コンクールではないので、だれでも6分間は大きなステージと華麗な照明を堪能できるというイベントだ。

 今年で第6回になるが、ワタシの生徒さんたちも毎年参加している。今年は応募者多数につき抽選となり、巴だ悶下(?)もいくつかのグループは涙を飲み、よっつのグループが参加する。

 大舞台では誰しも緊張感が高まり、あがってしまう人も出る。
「どげんしたらあがらなくなるとですか?」
 と、センセイは何度もたずねられる。

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#126 花火考

 ぼん、ひゅるるるるる、ばん・・・ぼん、ぼん、ひぃゅるるるるる、ばん、どかん、バラバラバラバラバラ・・・
 きゃーっ、うわーっ、ほお〜っ。
「つづきましてシリーズ第三番は、早打ち三号玉20連発、夜空の夢。この作品は、立杉建設、朽果工務店、はてな銀行、鷺間飼商事、南友内科、今一サービス、ファッション館北切、ピーッ、ガガガガッ・・・商店、モガ美容室、文具の土井中、スーパー萬屋、居酒屋かかあがなんじゃい、ミニスキップ、土内商会、秋裸目書店、行泊地区青年団、以上15事業所の提供でお送りします」

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#125 ようこそ

 突然、天井裏に何かが入ってきた。
「どたどたどた」と走り回る。
 ネズミは何度も来ているが、こいつの足音はずっと大きい。そして少し動きが重い。ときどき、かなりの距離を飛ぶ。
 イタチか?

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#124 燕になりたくない

 お昼前の強い日ざしの下で、「クチュクチュ、ペチャクチャ」と、明るいおしゃべりの声が聞こえる。たくさんのツバメが電線の上に集まって、おしゃべりしているのだ。

 オカリナコンサートで、何度か「燕になりたい」という曲を吹いた。揚琴で二胡やバイオリンやフルートの伴奏をしたこともある曲だ。中国の古い恋の歌だが、ワタシはツバメに対してそれほどロマンティックな思いを持ってはいない。いつもそこにいるかわいいやつ、という程度だ。行動を見ていると、すばしこいがなかなかせわしないやつらなので、燕になりたいとは思わない。

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#123 幻の音色

「揚琴をするにあたっていちばん苦労することはなんですか」とたずねられれば、言下に「弦の張り替えです」と答える。ちなみに、二番目が「調律」、三、四がなくて、五が移動。
 演奏はその六以下かって? そりゃそうだ。誰でも「たたけば鳴る」わい。

 このたび、弦の張り替えをした。弦を張り替える日は、相当気合いと覚悟がいる。あらかじめスケジュールを調整して決行の日を決めていても、その日になれば「きょうは疲れている」「天気が悪い」「暑い」「寒い」「寝過ごした」「仏滅だ」などと言って、なかなか始められないときもある。

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#122 不滅の言葉

 どこかで出会った言葉が、心に刻まれて何十年も生き続けることがある。そればかりか、長い年月がたって初めてその真意が姿を現わすことさえある。

 前便で書いた『はしっこで弾く人』の真意が、前便をまとめているときにようやくわかった。
 それは、舞台のはしっこで弾いていればよいという意味ではなかったのだ。

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#121 「風の音を聴きなはれ!」

 ワタシの揚琴の弦は全部で121本ある。ということで、このコーナー第121回を機に、とうとう書く気になったことがある。

 あれはいつのことだったか、ようやくあちこちから揚琴の演奏に呼んでもらえるようになってきた頃、あとにも先にも一度だけ、手相を見てもらったことがあった。

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#120 比較研究対象

 揚琴は、イスにすわって演奏するスタイルでよかったと思っている。もっとも、コンサートなどでは演奏位置へ向かって歩いて登場してお辞儀する場合がほとんどだから、その間はワタシの身体的特徴は隠しようもない。でもそれはたいていほんの一時のことなので、気にするいとまもない。

 あれはいつのことだったか、某和装服飾メーカーさんのファッションショーで演奏した。和服姿の美女モデルさんたちとお話しできるかもしれないことに胸をときめかせて臨んだことは言うまでもない。

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#119 わが祖国にて

 思い込みは、人に真実を見誤らせる。

 あれはいつのことだったか、東京のなんとかいう大きなホールでの某衛星放送局のイベントで、出演者のひとりとして演奏した。広いホールの内部の何ケ所かに民族楽器奏者を点在させ、お客さんは自由に移動して聴いて回るというユニークな舞台設定だった。演奏者は交互に、リラクゼーション・サウンドを奏でた。
  終演後、舞台も客席もない会場だったこともあり、揚琴のまわりに何人かの人が群れてきた。

 妙齢の女性の3人グループが、ワタシが目の前にいないかのように話している。楽器を片付けながら知らん顔して聞いていた。

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#118 1:660

 演奏屋というものは、自分の都合で動くことはできない。何月何日の何時にどこそこへ来いと言われれば、その通りにするしかない。間際になってキャンセルしようものなら、ギャラがいただけないばかりか、場合によっては損害賠償を請求されてしまう。よって、有給休暇や定休日はあこがれの対象である。
 そのかわり、そこへ行って演奏をしさえすれば、演奏に要する時間やお客さんにうけたかうけなかったかに関わらずギャラをいただける。
 ジャズピアニストの山下洋輔さん曰く、演奏稼業の本質とは「そこへ行くことである」。深くうなずく。

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#117 漁師としての一夜

 遠方での演奏の仕事は宿泊付きとなる。ワタシはどんなに高級でもホテルでは、まずぐっすり眠れない。24時間稼動している換気扇や空調の音、冷蔵庫の音、部屋によっては聴こえてくるエレベーターの音、もちろん外を走る車の音。これらは騒音というほどのものでははないとされているが、演奏前後の耳が鋭くなっているワタシにとってはかなりつらい騒音なのだ。秋の虫やカエルの声はいくら大きくても気にならないのにね。

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#116 中国人的商才

 中国語が飛び交う横浜の中華街を、3人の怪しい風体の男が歩いていた。
 無国籍ルックの旅慣れた様子の西洋人が言った。
「キニシナイ、キニシナイ、ヨクアルコトネ」
 インド人のようにもネパール人のようにも見えるが日本人らしい男が言った。
「良さん、やっぱここはさー、日本じゃないな」
 ふたりになぐさめられているもうひとりの男は、そのうなだれ方から見るにやはり日本人のようだ。

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#115 どついたろか

 主張の内容による説得力よりも、声が大きい人が言うことの方へ場の空気が流れてしまうのはよくあることだ。

 あれはいつのことだったか、京都先斗町(ぽんとちょう)の歌舞練場で行なわれたイベントで演奏した。盛り沢山のプログラムの中で、舞踊の舞台転換のいわば「つなぎ」役を揚琴のソロ演奏でまかされた。非常に目立つ役回りと、たった3分の演奏なのに1コンサート分のギャラをいただけることに、当時は嬉々とした。

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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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