揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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ゆるやかな音のウェーブが、ゆったりと、時に張り詰めるように上下する。
そのウェーブは、音の波であると同時に、人の心の波なのだ。
さて今、ここに何人の奏者がいたのだったか。
その波は、あたかも一人で奏でているかのように揺れ動いている。
そしていずれ、その一人すら存在しないかのように、音そのものが生きているかのように、そこで息づき始めることだろう。
そのウェーブは、音の波であると同時に、人の心の波なのだ。
さて今、ここに何人の奏者がいたのだったか。
その波は、あたかも一人で奏でているかのように揺れ動いている。
そしていずれ、その一人すら存在しないかのように、音そのものが生きているかのように、そこで息づき始めることだろう。
聴いている音が上がれば心は高揚し、下がれば心は沈静化していく。
そのことをよく知っている奏者たちは、音が上がるときには自らの心を高め、その波動を音に吹き込む。
すると、それまで物理的な現象にすぎなかった音は、命を得て、単なる上下運動を超えた生ける波動となる。
そうしてその波動は、それを受け取る人々の心への作用を、物理的反射から精神的同期へと昇華させる。
先日からある6名編成のグループで練習している「シチリアーナ」。
この曲は、音の自然な上下によって、人の心の動きを実に見事に表現している。
音の動きが奏する人と聴く人の心に生じさせる高揚と沈静、緊張と緩和。
旋律は、それに身を委ねる人の心を、高みへ、深みへといざない、ついには精神のデトックスを達成する。
練習の目的は、このような過程を6名で共有することだ。
旋律は、音階に沿って一音ずつ二音上がっては一音下がり、また一音ずつ二音上がる。
頂点に達すると、音階に沿って三音下がり、また一音ずつ上がり、二音下がるという流れを繰り返す。
このようなごく自然な順次進行によって、聴く人あるいは奏する人の精神は、前述のように高みへ深みへと導かれていく。
この効果を最大限に生かすため、あえて前半は全員で単旋律を吹く編曲にした。(※ 順次進行=音が音階に沿って隣の音に移動しつつ上下する進行)
しかし、奏する人がこの過程を共有するには、他者が奏する音をよく聴くのみならず、心の動きに耳を澄ます必要があろう。
全体がどこへどのように向かおうとしているのか、音に現れる心の動きをこそ共有したい。
自分の音、自分の思いに捉われていると、旋律を共有することはできない。
全体を聴く耳、全体に沿う柔軟な心が求められる。
自分の音はみんなの音、みんなの音は自分の音、というように。
が、これは、よく言われるような「滅私奉公」ではない。
わたしはレッスンで自分を捨てて全体に従えと言ったことは一度もない。
わたしが言い続けているのは、自分を生かそう、そのために「いつもの私」を捨てよう、ということだ。
「生かすべき自分」は「いつもの私」ではない。
「沿うべき全体」は「奉公すべき世間」ではありえない。
シチリアーナが導いていく世界は、世間の垢がデトックスされた清浄な世界にちがいない。
だからこそ、些事やしがらみに捕われたいつもの私を捨てる用意が必要だし、奉公すべき(?) 世間と、たとえ束の間でも決別する必要がある。
とまれ、シチリアーナの類稀なる美の導師的旋律に心身を委ねることさえできれば、「私」や「世間」との無味乾燥な格闘を経ずとも、大いなるよろこびと共にあることができそうだ。
それを他者と、いや他者ではなくなりひとつの有機的存在と化した人々と共にするよろこびとはいかほどのものだろう。
そしてそれを、できれば舞台で実現する日を夢見て、きょうも心にてシチリアーナを歌っている。
おしまい。
18.04.17 記
18.04.17 記
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演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
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特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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