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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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保護犬という言葉をご存知だろうか。
捕獲された迷い犬や野良犬を、行政機関の施設や民間の動物保護団体が引き取って世話をしているその犬たちのことだ。
先日ウチの新しい家族になったノアは保護犬だった。



関西にも、いくつかの公営・民営の保護施設がある。
それらはいずれも、保護犬の「里親 ※」を常時募集している。
(※ 人間社会に当てはめると、親権がない里親ではなく親権が移る養子縁組に当たる。)
各施設はネットで保護犬の里親募集情報を流しているので、里親希望者は犬の画像とプロフィールを見ることができる。
わたしたちも、ネットであちこちの施設の何百頭ものわんこを探索するうちに彼を見つけた次第だ。
で、五月初め、彼がいる保護施設へ車を走らせた。

── ── ── ── ── ── ──

バラック建ての倉庫らしき建物を転用した、シェルターと呼ばれる保護施設は、工場地帯と田園地帯と住宅地との境界にあった。
代表の若い女性と数名のボランティアスタッフだけで運営している非法人保護団体が管理している。
建物の中では、十数頭の大小の犬と、同じくらいの数の猫たちが、ある子はコンクリートの上でワイヤーにつながれ、ある子は柵に囲われ、またある子はケージに入れられて暮らしていた。
中には一年以上ここにいるわんこもいるという。
しきりに吠える小型犬たちの甲高い鳴き声は、訪れる人にも他の犬たちにとっても非常にストレスフルなものに思えた。

さて、その日わたしたちは、何匹かのわんこを里子候補に挙げていた。
わたしたちを無視したり吠えたりするわんこたちの中で、一匹のわんこがとてもいい反応を示してくれた。
それが彼だった。
わたしはサイトに掲載されていた彼の写真を一目見て「こいつは絶対いいヤツだ」と直感していたのだったが…。

 保護団体のサイトに掲載されていた写真。2017年1月頃撮影。「三歳」と紹介されていた。





── ── ── ── ── ── ──

この施設では、里親希望者と保護されているわんこたちとの出会いの時間を「お見合い」と呼んで大切にしている。
それは、訪れる人とわんことの相性を確かめるのみならず、その人たちが里親としてふさわしいかどうか、保護団体の人が見極める時間でもある。
他の施設で一度お見合いを経験していたわたしは、わんこたちとのお見合いはファーストコンタクトが大切だと感じていた。

シェルターのいちばん奥、壁際の薄暗がりにつながれていた彼の真っ黒い身体は、濃灰色の空気と半ば同化していた。
実際に見る彼の姿は、写真で見るよりずいぶん痩せていて、振る舞いは野性的で、そのオーラには他の施設で見た野犬たちが放っていたそれに近いものを感じた。

 と、わたしたちに目をとめた彼が、立ち上がってふさふさとした長い尻尾をゆっくり振りながら近づいてくる。
 その様は、源初空間の薄暗がりから一個の純粋無垢な命が犬の形を採って抜け出して、わたしたちの思いの強さを試そうとして歩み寄ってきたように感じられた。
 わたしは一瞬たじろいだ。
 ファーストコンタクトの瞬間だ。

気を静めて心を開き、彼をつないでいる青いワイヤーが届く範囲まで足を進めると、彼は一声も発することなく、じっとわたしの目を見て、顔を近づけてきた。
こんなに人なつこい犬がなぜ捨てられ、一時は殺処分の対象となり、今ここでこうして湿っぽい薄暗がりの中につながれているのか…。
彼を見つめ返すわたしの脳裏に、そんな疑問が自然に湧いてきた。

わたしと家内はしゃがんで、両手で彼の顔に触れ、あいさつをした。
彼はとても友好的だった。

写真ではわからなかったのだが、左耳が垂れているのは常態のようだ。
聞けば、耳血腫という病気の後遺症で、外耳が変形してしまっているのだそうだ。

保護団体の人が彼の首輪にリードを付けて、散歩を許可してくれた。
そのとき、今度は彼の足の異常に気づいた。
右後ろ足がまったく地面に付かず、三本足で歩く状態なのだ。
この点はサイトの写真にはまったく写されていなかった。

 わたし「足を、どうしたんですか?」
 保護団体さん「獣医さんにレントゲンで見てもらったら、以前骨折した後の処置が悪かったせいで、こんな足になってしまったのだろうとのことでした。もう治らないそうです。」

わたしたちがショックを受けたことは言うまでもない。

ひょこひょこと、しかし屈託なく歩く彼がつながれたリードを家内が持ち、シェルターの前の農道を少し散歩した。
足が不自由であること以外の行動は、他のわんこたちとなんら変わるところはない。
地面の臭いを嗅ぎ回り、気分の赴くままに歩みを進める。
 ・・・・・
わたしたちは、その後この子の身に起こる信じ難い出来事をまだ何も知らないまま、様々な思いを胸に、彼の一挙一動を見つめていた。

シェルター前にて



── ── ── ── ── ── ──
 つづく。
 

17.07.22 記 

野犬だった四兄弟。
他の保護施設で撮影。

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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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