揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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プロはどこまでも道具にこだわる。
名人はいよいよ道具にこだわらない。
ではアマチュアはどうだろう。
オカリナ愛好家は、楽器という道具をどう捉えているだろう?
逆に、オカリナという道具は、愛好家を正しく導いているだろうか?
今便では、オカリナと愛好家さんたちの演奏との関係について、先日の「2017 オカリナフェスティバル in 神戸」の模様を元に少しだけ考えてみた。
名人はいよいよ道具にこだわらない。
ではアマチュアはどうだろう。
オカリナ愛好家は、楽器という道具をどう捉えているだろう?
逆に、オカリナという道具は、愛好家を正しく導いているだろうか?
今便では、オカリナと愛好家さんたちの演奏との関係について、先日の「2017 オカリナフェスティバル in 神戸」の模様を元に少しだけ考えてみた。
── ── ── ── ── ── ──
この十数年間で、オカリナ愛好家さんたちの演奏技術はずいぶん向上したと思う。
プロかと見まごう演奏をする人も増えてきたし。
そして同じ十数年間で、オカリナの楽器としての完成度も格段に向上したように思う。
神戸のオカリナフェスティバルが始まった十七年前当時は、有名メーカーの製品であっても仕上がりにかなりバラつきがあった。
ピッチは不正確で、音色も不均一で、高音部がかすれるものが多かった。
で、それらに対して、メーカーも個人製作者も多くの講師とユーザーも、そして特に楽器屋さんは、一様に「オカリナとはそういうものだ」としていた。
それが、今はどうだ。
次々に現われる個人製作者さんたち。
その出来栄えはといえば、ほとんどは有名メーカーさんのものに比して何ら劣る所がない。
正確なピッチの設定。
高音部のかすれの解消。
持ちやすさ、運指のしやすさの追求。
もちろん、美しい音色の実現。
どの点を採っても有名メーカーを凌駕する勢いだ。
わたしはむしろ、個人製作者さんたちのがんばりが、有名メーカーをしてさらなる品質向上に向かわせたのではないかと考えている。
そしてその背景には、言うまでもなく、ユーザーのより良き楽器を求める要請の高まりがあったはずだ。
言わば、ユーザーとメーカーと個人製作者が一体になって、今日のオカリナシーンを作り上げてきたのだと言えると思う。
もちろん、三者を支えてきた理解ある楽器店さんやイベント主催者さんの尽力も見逃せない。
さて、こうした楽器と奏者それぞれの変化は、長きに渡って開催されてきたオカリナフェスティバルの舞台において、とても明らかになる。
定点観測のようなものだ。
このたびの同フェスティバルでわたしが特に注目していたのが、楽器と演奏の関係だった。
楽器の向上が奏者の向上に資する所はいかばかりか、と。
── ── ── ── ── ── ──
オカリナ製作で最も重要な技術が、
「奏者が『なめらかな息使いを保ちながら正確なピッチを得ることができる楽器』を作る技術」
だ。
たとえば、ミ、ファ、ソ、と自然な息使いで吹けたのに、次のラだけをずいぶん強く吹かないと正確なピッチを得られないのでは困る。
さらに、次のシでずいぶん弱く吹かなければならないとすれば、ますます困る。
低音から高音まで、弱い息使いから強い息使いまでをいかに自然に移行できる楽器であるかが、そのオカリナの完成度の最も重要な目安になる。
ギクシャクした息使いが必要なオカリナはたいへん吹きづらい。
と言うより、良いピッチを得るために息をギクシャクできる人にとってはまだ使い物になる場合もあるが、多くの愛好家さんにはそれは至難の業。
だから楽器がオンチだと、演奏がそのままオンチになってしまうわけだ。
そんなわけで、オカリナ選びの最重要ポイントは、前述の、、、
『なめらかな息使いを保ちながら正確なピッチを得ることができる楽器』
ということになる。
── ── ── ── ── ── ──
オカリナ選びのもうひとつのポイントは、高音部の吹きやすさだろう。
ミやファがどうしてもかすれてしまう人の数は、きっと夏の夜空の星の数より多いにちがいない。
その人たちに対して、多くの講師さんや楽器店さん、そして製作者さんはこう言う。
「それは吹き方に問題があるのです。」
もしその講師さんや楽器店さんや製作者さんやその飼い犬が問題のオカリナを吹いて高音部がかすれなければ、残念ながらその方たちのおっしゃる通りだということになる。
なお、わたしから付け加えさせていただくと、その場合高音部の吹き方だけに問題があるとは限らない。
その方の吹き方全般に問題がある場合がある。
また、高音部だけの特別な吹き方があるわけではない。
(※ アルトC管の最高音ファは特別な吹き方が必要な場合が多い)
むしろ、高音部がかすれてしまう人の多くは、ご自分でわざわざ「高音部だけの特別な吹き方」をなさって、それがかすれの原因になっているケースが大半だ。
(詳しくはいずれまた別便で。)
で、「高音部だけの特別な吹き方があるわけではない」という事実に気が付いたオカリナ製作者さんならば、高音部がかすれにくいオカリナを作ることができるはずだと、わたしは秘かに思っていた。わたしには作れないけど。
そしてそのわたしの思いと言うか願いは、今日のオカリナ製作シーンにおいてほぼ実現されてきたように思える。
── ── ── ── ── ── ──
以上、正確なピッチとかすれない高音。
この二つを手にしたオカリナ愛好家さんたちは、まさに三種の神器のうちの二つまでを手に入れたようなものだ。
逆にオカリナの先生たちは、カリキュラムの3分の2を破棄せざるを得なくなってしまいそうだ!
── ── ── ── ── ── ──
さて、2017 オカリナフェスティバル in 神戸。
例年会場のロビーで販売されている数々のオカリナを、何人かの生徒さんと共に試奏した。
そして毎年進化し続けているオカリナたちの完成度にますます驚かされた。
いよいよオカリナユーザーが、ピッチや高音の鳴り方などの基本性能ではなく、音色や持ちやすさやデザインなどの楽器の個性でオカリナを選ぶことができる時代が見えてきたように感じる。
このように、近年のオカリナ愛好家の演奏のレベルアップの背景に楽器の性能の向上があることには疑いを入れない。
合奏の完成度アップに、それは如実に反映されている。
今回のフェスティバルでも、ピッチのそろい方、音色の一体感、高音部の安定を、随処で感じた。
が、見方を変えると、この国のオカリナシーンはようやくスタート地点に立てた所だと言えはしないか?
なぜなら、管楽器の練習においては、良いピッチ、自然な音色を得ることは基礎技術のひとつであって、最も大切な音楽表現はそれらを身に付けることから始まるのだから。
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ところで、2017 オカリナフェスティバル in 神戸へのマイ生徒さんたちの出場状況はどうだったか?
二日間でなんと五組も出場した。
六組応募して五組当選だから確率良過ぎ。
来年が心配。
で、みなさんこのフェスティバルにはもうすっかりお馴染みのグループが大半だったから、それぞれがベストを尽くせたし、良さを出せた。
出場若干二回目のグループは、それはそれはがんばって会場の耳目を一身に集めたし。マイクもずり下がったし。イントロの間でよかった。
二日間とも手に汗握っていたのは、わたしだけだったやもしれない。
それぞれが、いい恰好をしようとせず、自然体で、真摯で、グループとしてのテーマを、あるいは個々のテーマを持って当日に臨み、舞台でそれらを大切にしておられることが、わたしは講師として本当に嬉しかった。
「やわらかく吹こう」
「前奏を大事にしよう」
「アインザッツを大切にしよう」
「息を合わせよう」
「よく聴き合おう」
「練習のときの一体感を大切にしよう」
「楽しく演奏しよう」
どのグループも十年選手が大半だというのに、みなさんが初心と基礎の大切さを忘れないところに感動し、誇らしく思っている。
おしまい。
17.08.31 記
17.08.31 記
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管理人について
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巴だ リョウヘイ
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非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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