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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#121 「風の音を聴きなはれ!」

 ワタシの揚琴の弦は全部で121本ある。ということで、このコーナー第121回を機に、とうとう書く気になったことがある。

 あれはいつのことだったか、ようやくあちこちから揚琴の演奏に呼んでもらえるようになってきた頃、あとにも先にも一度だけ、手相を見てもらったことがあった。

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 当時ワタシの周囲にいた人々の絶大な支持を得ていたその手相見氏は、土〇のおっちゃんと呼ばれていた。ひやかし半分で京都市郊外の古い民家であるおっちゃんの仕事場へ行ってみた。

 ギョロ目で白髪混じりで腹の出た小柄なおっちゃんは、立ったままでワタシの右手を取って手のひらを見るなり、開口一番、自分自身が何かに耐えるように声をふりしぼった。

「一生、自分の限界と戦いつづける運命!」

 ああ、やっぱりそうなのか。

 おっちゃんに仕事は何かとたずねられたワタシは、音楽をしている、とだけ答えた。

「あんたは新しい音楽はアカン。古い音楽をやりなはれ」

 ああ、やっぱり。伝統楽器で流行とは関係ないことをやっている今の方向を極めろということか。

「あんたは、『はしっこで弾く人』や。真ん中に出ていったらアカン。はしっこで弾いてたら、いつか真ん中に出て来いということになるかもしれん」

 わかっているつもりだった。自分が一番ではない、そしてソロ演奏だけではなくますます合奏に力を注ぐべし、と。

「あんた、一日中座ってるやろ」

 その頃のワタシは、見えない壁を越えるために練習の虫と化していた。

「そんなことをしてて身体をこわしたらなんにもならへん。楽器の前に座ってるだけが練習やない。それよりも、風の音を聴きなはれ。この風は何千年も前から吹いとる。その音を聴くことが、あんたの練習や」

 なぜだろう。今こうして書いていても、涙がにじんでくる。

 おしまい。 
立 葵
タチアオイ
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日記をつけなはれ
と言われたけど実行できてまへん。
トホホ
ゆ@蔵美 EDIT
at : 2007/08/18(Sat) 21:20:57
Re:日記をつけなはれ
ゆ@蔵美さま

そうか、そんなこと言われましたか。
まあ、そう言われたことを憶えてるだけましとちゃいますか。
おっちゃん、元気かなー。
at : 2007/08/18 22:14
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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