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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#588 聴覚的平和ノススメ

 スポーツでは、スプリント競技にしても距離競技にしても、「よ〜い、ドンっ」は音で合図を出す。それは、耳の方が目よりも反応時間がずっと短いからだ。このことが、聴力が我々の危険探知能力の第一であることの証左であると言える。多くの動物は聴覚よりも嗅覚が発達している。が、嗅覚がそれほどでもない人類は、わが身を守るのは聴覚が頼りとなる。

 電気自動車というものは、危ない。我々が車の接近を知るのは、目よりも耳によっての場合が多い。ところが電気自動車はエンジンよりもはるかに音が小さいモーターを使って走るものだから、ごく近くに来るまでは、音によって接近を知ることはできない。気がついたときは車にはね上げられて、空中から自分をはねた車を見ていた、てなことになりかねない。

 もし聴覚が視覚より反応時間が長ければ、音楽の演奏や鑑賞は成り立たないだろう。たとえば1分間に4分音符が120拍のテンポの曲の中の16分音符というものは、一個の長さが時間に換算すると0.125秒だ。人間の耳はそれらを聴き取り、識別・弁別・評価できるのみならず、そこに感情を込めたり、込められた感情を共有して感動したりすることができる。
 で、一般人の視覚はと言えば、0.125秒間隔で移動するものを正確に判別することはできない。そんなわけで、もし聴覚の反応時間が視覚のそれよりも長ければ、この世はのんびり・ゆったり・ほんわかテンポの曲ばっかりとなってしまってそれはよかった。

 聴力はさらに、音の時間的関係だけではなく、空間的関係も把握する力に長けている。
 前便で和音と倍音の聴き取りのことにふれた。その和音の聴き取りだが、これは音の空間的関係の把握に他ならない。音楽的法則に則って同時に鳴っている音が作り出す響きとは、つまりは音が作る空間の、いわば色彩なのだ。そこでは、ドミソの和音はもはやドミソではなく、ひとつの響きとなっている。ド、ミ、ソのそれぞれの音の強弱や音色の無限の組み合わせによって、響きの色彩は無限に変化する。その渾然一体となった色彩を聴いて、その響きを構成している音は何の音であるかを判別することが、和音の聴き取りなのだ。
 こう書くと、和音の聴き取りとはヒジョーにむずかしいことであるように感じるが、実際には少しの知識を身につけ訓練を積めば、比較的容易にできてしまうから不思議だ。ほとんどの子どもは、和音を聴かせてその構成音を教えることをくり返すと、基本的な和音なら大方を聴き取ってしまうそうだ。

 自分で言うのもなんだが、かつてワタシの最強の能力は和音の聴き取り能力だった。ワタシが一年間だけ通った芸大時代のワタシのあるエピソードを、同級生が卒業後に話してくれたがある。すっかり忘れてしまっていた出来事だった。
 その人がピアノの鍵盤をでたらめに「同時に」十個鳴らしたところ、ワタシはすべての音を下から順に言い当てたというのだ。そんな能力は、揚琴の単純な和声の世界に移り住んでからはすっかり行方不明になってしまった。そして、その後とうとう復活することはなかった。もったいないなー。

 使えば磨かれ、使わなければ衰えてしまうのは聴力も例外ではない。耳を澄ますことで、聴こえてくる音は量も質も少なからず変貌する。聴こえ方が替わるということは、棲む世界が変わることだと、ワタシは思う。多数が同じ空間に棲んではいても、見ているもの聴いているものが異なれば、同じ世界に暮らしているとは言えない。
 もちろん、すべての生き物が常時同じ世界で生きることはあり得ない。が、そんな時間をふやしていくことが、共感を広げること、すなわち平和を創造することにつながるような気がしている。

 耳を澄まして音を聴くことで、いったい何がどう変わるのか。動態聴力のテーマはさらに深まりそうでそれはそれはよかった。

 おしまい。 
10.03.17 記 
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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