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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#585 至 福

 イチローの突出した打撃力の背景には、様々な優れた能力がある。よく言われるのが、イチローの動態視力の優秀性だ。動態視力とは、動いている物体を認知・判断する視力のことだ。時速150kmで飛んでくるボールを一瞬で見極めるには、反射神経以前にすぐれた動態視力が欠かせない。では、楽器演奏の際に必要な聴力とは、どんなものなのだらふ。

 視力には静止視力と動態視力がある。聴力の場合はどうだらふ。
 止まっている音というものは存在しないので、聴力とは動態聴力のことだということになる。

 さて、聴力とは、早い話が「聴き分ける力」のことだ。そこで音が鳴っているかどうか(絶対的聴力=単純的識別)その音は何の音か(音色の聴き分け=識別)どちらの音が大きいか(弁別)どちらの音が高いか(弁別)どの方向で鳴っているか(音場の聴き分け=弁別)それらをより具体的に聴き分けること(評価)が、いわゆる聴力だとされている。
 ワタシは、もうひとつ付け加えたい。それは、音の変化を聴き取る力だ。

 たとえば「浜千鳥」のようなゆったりとしたテンポの曲だと、初めて聴いてもメロディーは聴き取りやすい。が、トルコ行進曲のようにテンポが早い曲だと、最初の2小節だけでも、一回聴いただけですべての音符を聴き取るのはむずかしい。つまり、耳がテンポについていけないのだ。が、いとも簡単に聴き取ってしまう人もいる。
 このように、音の変化のスピードに対応する能力も聴力のひとつだと言える。

 また、たとえばオカリナで、ひとつの音を長〜く引っ張って吹くとき、その音はけっしてまっすぐにならない。微妙に、人によっては大きくふらふらする。つまり音の高さ、強さ、音色が一定しない。が、なかなかそれに気づかない。このような音の高さ・強さ・音色の漸次的変化(グラデーションのように次第に微妙に変化すること。アナログ的変化)を聴き取る力も聴力のひとつだと言える。

 このふたつの聴力は、視力に例えるならば動態視力的な力であり、それゆえにあえて動態聴力と呼んでもいいと思う。呼ぶぞ。呼ぶのだ。

 弦楽器の調弦をする際、動態聴力がものを言う。合わせようとしている弦が基準になる弦よりわずかに低いことがわかったとしても(弁別能力)、ゆっくりと弦を締めるに連れて音がどのように上がっていくかやうなりを聴き取れなければ、締めたり緩めたりを一生くり返す羽目となる。

 人の会話を録音して倍のスピードで再生したものを聴かせると、ほとんどの人は何を言っているのか聴き取れない。が、視覚障害を持った人はいとも簡単に聴き取ってしまう。このことから、聴力、特に動態聴力とは、単に耳の性能であるだけではなく、ある種の集中力も関係する能力であることが想像できる。誰しも一心に音を聴くとき、知らず知らず目を閉じているじゃないか。

 音楽の鑑賞と演奏からどれほど多くの果実を摘み取ることができるかは、動態聴力によるところがたいへん大きい。動態聴力がすぐれていればいるほど、微妙な変化を聴き取ることができるからだ。音の漸次的変化こそが音楽の妙味だと言える。良い演奏が持つ長くゆったりとした変化と、随所に散りばめられた一瞬の微妙な、あるいは劇的な変化を味わうことは、人生の至福のひとつに数えたい。

 音楽のもうひとつの妙味として「秩序と調和の体験」が上げられる。そういえば、初心者的演奏やテキトー的演奏もまた、変化に富んでいる。が、それらの変化には互いになんのつながりもなく、無秩序状態であることが問題なのだ。が、「オンチもマチガイも変化のうち」という心境に至れた人は、もはや至福に包まれておられるのやもしれないな。

 きょうはなぜこんな話になったのか。理由があったはずだが忘れてしまってそれはよかった。

 おしまい。 
10.03.11 記 
ふきのとう。開いちゃった。
ふきのとう

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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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