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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
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#590 効果絶大

 故あって、この数日、カリンバに取り組んでいる。

これがマイ・カリンバ。左はオカリナSC管。
カリンバ

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 カリンバを一所懸命に弾くのは七、八年ぶりくらいだ。指がバーの感触を思い出すまで少し時間がかかった。そして指は、なかなか思うように回らなくなっていた。指が回らないものだから、よけいに指先だけで弾こうとしてしまう。こんなに小さな楽器でも、腰でリズムに乗って全身で弾かねば、なかなかいいサウンドにならない。
 タッチとリズムがうまく同期したときには、とても気持ちがいい。が、一歩間違えるとただの騒音発生器に成り果ててしまうのはいずれの楽器も例外ではないが、このカリンバは特にそうだ。だって、わざわざ雑音を出す部品を取り付けてあるんだもの。

 カリンバには、これといって決まった形はない。共通しているのは、木の箱に細長くて薄い鉄製のバー、そしてバーを支えるブリッジを取り付け、バーを親指ではじいて演奏することだ。「ボンボン」「ビョンビョン」「ポロンポロン」のような音色を持っている。ときどき「親指ピアノ」と呼ばれたりもするが、ピアノのような長い余韻はない。

 もうひとつ大きな特徴として、ほとんどのカリンバが「さわり」を持っていることがある。さわりとは、言わば雑音発生装置だ。三味線、琵琶、シタールなどの弦楽器の「ビョ〜ン」という「びびり」を含んだ独特の音色は、弦にふれるように取り付けられた、糸、木、骨などでできた部品が生み出している。
 カリンバのさわりの材質は、これまた決まっていない。薄い鉄板をバーに巻いたもの、バーの末端に瓶ビールなどの栓を取り付けたものなどを見たことがある。で、マイカリンバにもしっかりさわりが付いている。上の方に横一列に並んだピンク色の小さな玉がそうだ。このさわりは、手芸用のビーズに糸を通したものだ。これらはバーの上面に直接置かれている。バーをはじくと、たいへん軽いビーズはバーの振動で踊り始める。そしてビーズの踊りは逆にバーに振動を伝えて、ビリビリという脳髄に心地よい音を発するという仕掛けだ。
 が、先に書いたように、このさわりが出す音はそもそもが音程のない雑音ゆえに、ちゃんと均一なタッチでリズムに乗って弾いてやらないと、脳髄に心地よいどころか脊髄がよじれそうな雑音になってしまう。

 マイカリンバは、友人が作ってワタシに進呈してくれたものだ。1995年頃だったと思う。木製のサラダボールの上面に丸く切った薄い板を貼付けたという構造だ。

 さて、ああここでもか。松田優作は七曲署の刑事だったが、カリンバを持つワタシはへそ曲がりだった。親指ピアノと呼ばれるカリンバを、ワタシは人差し指と中指で弾く。なぜか。親指よりうまく演奏できるからだ。なんというつまらない、あたりまえの答なのだらふ。が、ワタシはむしろ例外のようだ。こんな弾き方をする人をほかに見たことはないもの。この方が和音をたくさん出せるという面白さはあるが、親指で弾く場合は手に持って歩きながら演奏できるのが大きな魅力だ。
 カリンバのふるさとアフリカでは、カリンバはタクシー代わりに使われる。カリンバを弾きながら歩けば、あっと言う間に目的地に着いてしまうってことだ。

 ひさしぶりに弾くカリンバは、なかなか思うような音が出ない。録音しながら練習していたのだが、どうしても荒い音や鋭すぎる音になってしまう。粒がそろった深みのある音はいずこへ。
 あるとき、気がついた。鋭すぎる音の原因は、今朝切った爪だと。で、爪切りに付いているやすりで、左右の人差し指と中指の爪の先をていねいに磨いた。と、効果絶大。切り立ての角張った爪は、バーに当たってもコンコン言わない丸いやさしい爪に変身して、それはよかった。

 今便では、カリンバを紹介したかったのではない。ワタシが生まれて初めて、爪切りに付属のやすりでマジメに爪を研いだところ実感したその効果の素晴らしさと、やすりを爪切りに付属させるというアイデアに感動したことを伝えたかったのだったとさ。

 おしまい。 
10.03.21 記 
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
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自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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