揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#593 始めの一歩
座敷の鴨居の上や床の間に「書」が飾ってあったりする。たいていは有名な書家などの作品のコピーだ。が、ときどきご亭主の自筆のものだったりする。悲しいかな、素人さんのそれは見ればわかる。共通する特徴があるのだ。それは、四文字熟語であれば、最初の文字の出来が悪いのだ。筆に勢いがなかったり、ときには配置や大小のバランスが妙だったりする。
座敷の鴨居の上や床の間に「書」が飾ってあったりする。たいていは有名な書家などの作品のコピーだ。が、ときどきご亭主の自筆のものだったりする。悲しいかな、素人さんのそれは見ればわかる。共通する特徴があるのだ。それは、四文字熟語であれば、最初の文字の出来が悪いのだ。筆に勢いがなかったり、ときには配置や大小のバランスが妙だったりする。
物作りというのはへんたいだ。カンペキな出来など存在しないかのようにさえ思えるが、それはおそらく事実なのだ。カンペキでないと知りながら恥ずかしくも謙虚に出品するのが玄人。その反対の賛成が素人。床の間に飾られたご自身の筆によるへんたい前衛的な書についてあれこれとウンチクを聞かしてくださるのは、決まって素人さんだ。
いつだっけか、田んぼの作業について書いたときのこと。慣れない作業をするときは、たいてい作業が終わってしまう頃に要領がわかってくると書いた。これが素人百姓のワタシの常だ。四文字熟語の書も同じで、三文字目くらいでようやく筆が走ってくる。素人さんは、その三文字目に惚れて床の間に飾る。四文字目は勢い余って突然でかくなっていたりする。
が、玄人は一文字目から四文字目までのバランスを評価の対象とする。そして、一文字目から筆を存分に走らせ、四文字目を自然に納めることの困難さを知り尽くしている。
筆を存分に走らせるとは、迷いなく、ためらいなく、明確に、明瞭に、次の文字とのつながりを持たせ、そして全体の中でバランスを取るような筆さばきをするってことだ。作業をする前から、頭と心にはっきりと全体像と方法論と表現の意思があることが不可欠だ。
物作りには、表現には、このことが共通しているように思う。
てことで、演奏も例にもれない。最初の1フレーズを、迷いなく、ためらいなく、明確に、明瞭に、次のフレーズとのつながりを持たせ、そして全体の中でバランスを取るような演奏にすることがいかに重要で困難か。わかっちゃいるけどやめられないのは植木等だが、わかっちゃいるけどなかなかできないのがこのワタシ。
きのうも、ある曲の個人的録音をしていて、どうしても最初の1フレーズの出だしの1ブレス目がうまくいかない。子どもでも吹けるメロディーなのに。で、何度もやり直すしかない。何度もとはどれくらいかと言えば、数えきれないほどだ。数えきれないほどとは具体的に何回かと言えば、それは機密事項だ。
「子どもでも吹けるメロディー」と書いた。その通り、子どもが吹くように無邪気に、素朴に、明るく、素直に吹きたかったのだ。それでいて、端正で節度があり地に足が着いた音色。そんなイメージだった。
このたびは、一度最後まで録り終えてから冒頭部分が納得いかないのでやり直していた。ある箇所を録音して、その都度聴いて改善の余地を探りつつ何十回もやり直していると、それまで思い至らなかった新たな境地が次々に開けてくることがある。そうなると、その箇所の変化は曲の全体像に大きく影響する。冒頭を直したがために、その先や他のパートもやり直すことになる。
そんなとき、手間をかけた分どんどん良くなっていくのだから、心は果てしなく充実していく。では、いつその作業をやめるのかと言えば、体力・気力、時間と相談ということになる。この見切りどきがまたむずかしい。
とにかく、最初の1フレーズの大切さとむずかしさは永遠のテーマのようで、それはよかった。
いつだっけか、田んぼの作業について書いたときのこと。慣れない作業をするときは、たいてい作業が終わってしまう頃に要領がわかってくると書いた。これが素人百姓のワタシの常だ。四文字熟語の書も同じで、三文字目くらいでようやく筆が走ってくる。素人さんは、その三文字目に惚れて床の間に飾る。四文字目は勢い余って突然でかくなっていたりする。
が、玄人は一文字目から四文字目までのバランスを評価の対象とする。そして、一文字目から筆を存分に走らせ、四文字目を自然に納めることの困難さを知り尽くしている。
筆を存分に走らせるとは、迷いなく、ためらいなく、明確に、明瞭に、次の文字とのつながりを持たせ、そして全体の中でバランスを取るような筆さばきをするってことだ。作業をする前から、頭と心にはっきりと全体像と方法論と表現の意思があることが不可欠だ。
物作りには、表現には、このことが共通しているように思う。
てことで、演奏も例にもれない。最初の1フレーズを、迷いなく、ためらいなく、明確に、明瞭に、次のフレーズとのつながりを持たせ、そして全体の中でバランスを取るような演奏にすることがいかに重要で困難か。わかっちゃいるけどやめられないのは植木等だが、わかっちゃいるけどなかなかできないのがこのワタシ。
きのうも、ある曲の個人的録音をしていて、どうしても最初の1フレーズの出だしの1ブレス目がうまくいかない。子どもでも吹けるメロディーなのに。で、何度もやり直すしかない。何度もとはどれくらいかと言えば、数えきれないほどだ。数えきれないほどとは具体的に何回かと言えば、それは機密事項だ。
「子どもでも吹けるメロディー」と書いた。その通り、子どもが吹くように無邪気に、素朴に、明るく、素直に吹きたかったのだ。それでいて、端正で節度があり地に足が着いた音色。そんなイメージだった。
このたびは、一度最後まで録り終えてから冒頭部分が納得いかないのでやり直していた。ある箇所を録音して、その都度聴いて改善の余地を探りつつ何十回もやり直していると、それまで思い至らなかった新たな境地が次々に開けてくることがある。そうなると、その箇所の変化は曲の全体像に大きく影響する。冒頭を直したがために、その先や他のパートもやり直すことになる。
そんなとき、手間をかけた分どんどん良くなっていくのだから、心は果てしなく充実していく。では、いつその作業をやめるのかと言えば、体力・気力、時間と相談ということになる。この見切りどきがまたむずかしい。
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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