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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#591 落 下

 すべってこけた。例え話ではなく、実際に足をすべらせてこけたのであった。人生、危険は身の回りにいくらでもある。ワタシがこけたのは、ウチの家から下の駐車場へとつづく短い坂道でだった。折からの雨で、芝がはげて半分土が見えている坂道は、サンダルで歩くには危険すぎた。つるりとすべって仰向けにひっくり返ってしまった。

拍手[1回]


 とっさに指をかばって両手を引っ込めた。どうせおしりか背中から落ちるに決まっているからだ。おかげで、左の肩から地面にたたきつけられた。肩と二の腕がいて〜っ。半分土が見えているということは、地面の表面には石も顔を出しているってことだ。倒れたポイントと打ち所が悪ければ、肩の骨に石が当たってそれはへんたいだった。

 地面にたたきつけられる寸前は、無用の抵抗はしないに限る。落下の直前に身体が固くなっていると、身体が衝撃を吸収できず、思わぬケガをすることがある。腰も痛める。仰向けに倒れたのだから、後頭部をぶつけることにだけ注意すればいい。ということは、地面に身体がぶつかった瞬間に身体にぐっと力を入れて、首がしなって頭を打つのを防げばいい。この間、0.5秒。とっさの判断と対処がワタシのケガを湿布一枚で済む程度に留めた、と言えば自画自賛で、みなさんにそれはよかったと言われそうだ。

 だいたい、雨に濡れてすべりやすいに決まっている坂道をサンダルばきで歩いて、絵に描いたようにすべって転んだこと自体が不注意なのだ。こけた瞬間の対処がよかったと満足してどうするのだ。ズボンとセーターはドロドロ、下着まで雨水と泥が沁みて全部洗濯だ。おかあちゃん、ごめんなさい。

 ワタシの父は、足が弱ってしまった最晩年、よくこけた。それはこけるというよりも、もんどりうったかと思うと、物が落下するように地面に着地するのだ。それも、きまって仰向けに。それでいて、一度も大事に至ったことはない。
 ワタシの目の前で、突然ひっくり返ったことが何度かあった。一度は病院の前庭を並んで歩いていたときに突然足がふらつき、傍らの植え込みに背中から「落下」した。一瞬のことでどうすることもできなくて、父が仰向けに植え込みの中へ吸い込まれて行くのをただ見ていた。スローモーションで見えた父の落下は、まるで亀を仰向けに落としたような姿だった。
 もう一度は、ある座敷から玄関へ至るアプローチで、またしても、なぜか仰向けにひっくり返った。で、勢い余ってそのまま畳の上をすーっとすべって、1m先に置いてあった机に頭から突入した。これまた、傍らにいてどうすることもできず、スローモーションで背中ですべっていく父を呆然と見ていた。が、こぶができた程度で済んだ。

 いずれのエピソードも、もしケガでもあれば笑えないものだが、何度ころんでもなんともなかった父を思い出すといまだに笑ってしまう。人間歳を取ると、よくこける。そんなとき、父のように引力に逆らわないと(逆らえなかっただけだが)ケガをしないのだと、ワタシは悟った。その経験がきょうの転倒からわが身を守った面がある・・・のだらふか。
 きょうは自分の転倒で、はからずも父を思い出してしまった。いずれはわが身にも、仰向けにひっくり返っては周囲を驚かす日々がやってくるにちがいない。物のように落下するコツを、今のうちにつかんでおこうっと。

 おしまい。 
10.03.24 記 
坂道に咲いた水仙に見とれていたわけではない。
水仙10.03
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
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自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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