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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#559 変拍子

 楽譜の最初の小節の左端を見ると、必ず分数のような数字が書かれている。「4分の4」「8分の6」てなもんだ。その通り、これらは「4分の4拍子」などと読んで、その曲の拍子を表わしている。理論上は無数の種類の拍子があるが、多くはそのうちの7、8種類が用いられている。が、ときどきへんたいな拍子の曲もある。

 インド亜大陸の南端の州、ケララのコーヴァラムという漁村へ行ったことがある。ここで見た夕陽は、新日本海フェリーで見る日本海の夕陽の次に素晴らしかった。それはともかく、ここの砂浜で地元の漁民たちによる地引き網の取り込みに遭遇した。

 十代の若者から六十代くらいの老人まで、二十名ほどの男が地引き網を引いた。みんなルンギという南インド独特の腰布一枚の姿で、真っ黒く焼けた引き締まった身体をしている。
 日本の地引き網と少しちがうのは、みんなが順に立つ位置を変えていくことだ。いちばん海側に来た者が、全身の力でぐいっと引く。すると後ろへ下がり、次の者が前へ出る。
 こうして網を弾き続けるのだが、その間、みんなでずっと歌を歌っていた。おそらく何百年も歌い継がれてきた地元の歌だろう。何曲かを順に歌い、歌に合わせて網をぐっと引く。音頭取りがいてみんながそれに答えるように歌う歌もあれば、全員でいっせいに歌う歌もあった。

 前置きが長くなった。
 このとき歌っていた歌の中に、7拍子の歌があったのだ。7拍子の歌なんて、ほとんどの日本人は歌ったことがないだろうし、そんな歌が、いやそんな拍子があることさえ知らないことだろう。歌と言うものは生活のリズムから生まれる。労働歌であればなおさらだ。日本人の生活に7拍子は馴染んでいないのだ。

 この南インドの漁民たちの暮らしには、ごく自然に7拍子が馴染んでいるってことだ。われわれが2拍子や4拍子の歌を自然に歌えるように、彼らは7拍子をまちがえることなく、まったく自然に歌いながら地引き網を引く。どんなメロディーだったかすっかり忘れてしまったが、暮らしに7拍子が溶け込んでいることに少なからず衝撃を受けた。
 で、こうして30分ほどして引き上げられた地引き網の中をのぞきこんで、野次馬のワタシは驚いた。入っていたのは、たったバケツに一杯くらいの小魚ばかりだった。地引き網を引いた男たちは、魚を取り囲んで一言もしゃべらず、いつまでも立ち尽くしていた。

 ジャズのスタンダードナンバーに「TAKE FIVE」という曲がある。この曲は、5拍子でできている。だから「テイク5」なのだ。南インドの地引き網の歌や TAKE FIVE を聴くと、何拍子であろうと自然なメロディーが作れ、歌え、演奏できることがわかる。Dave Brubeck Quartet の TAKE FIVE での 5拍子のアドリブは絶妙だ。この曲の5拍子は、3拍子+2拍子という感覚になっていて、そのくり返しとスイング感がなんとも言えない心地よさを生み出している。

 7拍子や5拍子は、一般には「変拍子」と呼ばれている。変則的拍子という意味なのだろうが、多くの人にとっては「変な拍子」という感じのようでそれはよかった。

 今年に入って、オカリナで TAKE FIVE の練習を始めたマイ生徒さんのグルーブがある。アカペラ四部合奏にアレンジしてみたが、どんなサウンドができあがるのか楽しみだ。メンバーは今、5拍子のフィーリングを身に付けるために、歩くのも、肩をたたくのも、ご飯を食べるのも、歯をみがくのも、風呂で背中をこするのも、五本指の靴下をはくのも、雪かきも、ぜ〜んぶ5拍子でしているそうだとさ。

 おしまい。 
10.01.18 記 
法然院の山門
法然院山門

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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