揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#561 盗 め
何事にもコツというものがある。職人の伝統の技のコツともなれば、そんじょそこらの人がほいほいと会得できるものではない。が、多くの伝統工芸の世界で後継者不足の昨今、職人技のコツを少しでも理解しやすくしようとする試みが報じられていた。オカリナ演奏のコツもなんとかわかりやすくならんものだらふか、と常々思っているワタシは食いついた。
何事にもコツというものがある。職人の伝統の技のコツともなれば、そんじょそこらの人がほいほいと会得できるものではない。が、多くの伝統工芸の世界で後継者不足の昨今、職人技のコツを少しでも理解しやすくしようとする試みが報じられていた。オカリナ演奏のコツもなんとかわかりやすくならんものだらふか、と常々思っているワタシは食いついた。
実験台になった職人さんは、全身にハイテク記録機器のコードをいっぱいつながれて、手術中のような恰好になってしまった。
京都の左官屋さんの京土壁を塗る仕事。均一に、滑らかに、手早く塗れれば一人前だ。
ベテラン職人さんと若い職人さん。上半身の動きを比べると、ベテラン職人さんの肩は、開いた両脚の内側に納まっている。一方若い職人さんの肩は、開いた両脚の外側にまで張り出している。つまり、身体の軸が大きくぶれているということだ。この姿勢は疲れやすく、手先の動きも不安定になる。それが仕上がりと仕事の速さの違いとなって表れた。
京提灯作りの職人さんは父子だった。五十前後の親父さんが9代目で、息子さんが十代目。でっかい提灯の骨組みにハケで糊を塗って紙を貼付けていく作業が研究対象となった。
親父さんの提灯は紙が均一に滑らかに貼られているのに対して、息子さんのはごつごつした仕上がりとなっている。機械による記録を分析すると、親父さんの糊は均一に塗られているが、息子さんのはムラがあることが原因のようだ。その違いは何によって生まれたか。ここが肝心。
親父さんのハケを振る動きには、手首が効果的に使われていた。ひじはあまり動かない。グラフに記録された動きには非常に動静のメリハリがある。一方息子さんは、手首が固くひじがよく動いている。グラフが示す動きは単調だった。
ふたつの伝統工芸の技では、作業の際の基本姿勢と基本動作が、仕上がりとスピードと疲れに大きく影響することが明らかだった。この点がわかっただけでも、楽器を演奏する上でたいへん勉強になった。が、そこに最新のハイテクが分け入るという試みには、感心すると言うよりも、むしろ考えさせられた。
伝統工芸の伝承と言えば、これまでは「親方の技を見て盗め」が主流だった。が、今の若い世代は「見て盗む」ことが苦手だそうだ。で、後継者不足をなんとかするために、ハイテクによって伝統の技を数値化して、つまり目に見えやすくして、若い世代に伝えやすくしようというのが、機械による技の記録と分析の主眼だという。が、これは非常に皮肉な状況に思えた。ひとつは、この試みに伝統工芸の機械化=製品の量産化の思惑が見え隠れするからだ。が、それはさてオキシドール。
ワタシ思うに、人間が機械に頼るようになったから見て盗むことが苦手になったのであり、その状況を打開するためにまたまた機械に頼るというのは笑えてくる。笑ってすみません。
さらに問題を感じたことは、このたびの研究対象となった例を見る限り、技を後進に教える方もどう教えていいものかわかっていないようだったことだ。だから、後継者が育たないことについては、責められるべきは見て盗むのが苦手だと言われる世代ではないように思える。見て盗む技術を教えられなくなり、また新たな指導方法を見いだせていない社会全体の責任なのではないか。
「おまえは見て盗む技術を教えているのか」
うっ、今便はヤブヘビだったようで、それはよかったっ。
京都の左官屋さんの京土壁を塗る仕事。均一に、滑らかに、手早く塗れれば一人前だ。
ベテラン職人さんと若い職人さん。上半身の動きを比べると、ベテラン職人さんの肩は、開いた両脚の内側に納まっている。一方若い職人さんの肩は、開いた両脚の外側にまで張り出している。つまり、身体の軸が大きくぶれているということだ。この姿勢は疲れやすく、手先の動きも不安定になる。それが仕上がりと仕事の速さの違いとなって表れた。
京提灯作りの職人さんは父子だった。五十前後の親父さんが9代目で、息子さんが十代目。でっかい提灯の骨組みにハケで糊を塗って紙を貼付けていく作業が研究対象となった。
親父さんの提灯は紙が均一に滑らかに貼られているのに対して、息子さんのはごつごつした仕上がりとなっている。機械による記録を分析すると、親父さんの糊は均一に塗られているが、息子さんのはムラがあることが原因のようだ。その違いは何によって生まれたか。ここが肝心。
親父さんのハケを振る動きには、手首が効果的に使われていた。ひじはあまり動かない。グラフに記録された動きには非常に動静のメリハリがある。一方息子さんは、手首が固くひじがよく動いている。グラフが示す動きは単調だった。
ふたつの伝統工芸の技では、作業の際の基本姿勢と基本動作が、仕上がりとスピードと疲れに大きく影響することが明らかだった。この点がわかっただけでも、楽器を演奏する上でたいへん勉強になった。が、そこに最新のハイテクが分け入るという試みには、感心すると言うよりも、むしろ考えさせられた。
伝統工芸の伝承と言えば、これまでは「親方の技を見て盗め」が主流だった。が、今の若い世代は「見て盗む」ことが苦手だそうだ。で、後継者不足をなんとかするために、ハイテクによって伝統の技を数値化して、つまり目に見えやすくして、若い世代に伝えやすくしようというのが、機械による技の記録と分析の主眼だという。が、これは非常に皮肉な状況に思えた。ひとつは、この試みに伝統工芸の機械化=製品の量産化の思惑が見え隠れするからだ。が、それはさてオキシドール。
ワタシ思うに、人間が機械に頼るようになったから見て盗むことが苦手になったのであり、その状況を打開するためにまたまた機械に頼るというのは笑えてくる。笑ってすみません。
さらに問題を感じたことは、このたびの研究対象となった例を見る限り、技を後進に教える方もどう教えていいものかわかっていないようだったことだ。だから、後継者が育たないことについては、責められるべきは見て盗むのが苦手だと言われる世代ではないように思える。見て盗む技術を教えられなくなり、また新たな指導方法を見いだせていない社会全体の責任なのではないか。
「おまえは見て盗む技術を教えているのか」
うっ、今便はヤブヘビだったようで、それはよかったっ。
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
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オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
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