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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#523 醍醐味

 ワタシのいちばん古い合奏の記憶をたどってみれば、それは5歳のときだった。幼稚園の年長組での器楽合奏の時間。「線路はつづくよどこまでも」で、数人が一人ずつ順番に大太鼓を担当した。ワタシの番が回ってきた。先生はどの子にもどう叩くかは指示されず、好きにやらせてくれた。で、ワタシも好きなように叩いた。

 で、先生に大いにほめられた。だから、きょうまで忘れずにいるのだ。楽器の演奏を「上手」だと言われた初めての体験だったやもしれない。
「とても上手でした。リョウヘイくんに、もう一回やってもらいましょう」
 二度目は、調子に乗っていっぱい叩きすぎたっけ。ちなみに、この「一度目にひらめきを発揮するが、二度目は調子に乗ってコケル」というパターンは、その後現在までつづくこととなる。

 小学校に上がってからも、二年近く通った街の音楽教室でも、器楽合奏はずっと大好きだった。が、本当の意味での音と音との調和を体験したのは、五年の秋の音楽の時間だったと思う。
 リコーダーのアカペラ合奏を、何人かずつに分かれて練習をしていた。相方のS君とふたりで吹いたこの曲の高い「ミ」の音は、タイミングが合ったタンギングと、バランスの良い音量と、わずかに異なるピッチとが相まって、かつて経験したことがない美しい音色を生み出した。その澄んで張りがある音色はふたりを天上界まで連れて行き、ふたりが同時に同じ気持ちでいることを確信させた。相方の音は自分の音でもあり、自分の音は相方の音でもあった。ふたりは自分たちの音色に酔いしれ、何度も何度もくり返し吹き、回りのみんなにも聴かせた。
 この曲の名は「とんとんお寺の」といい、どこかの地方に伝わる古いわらべ歌だった。ここで聴ける(ワタシの記憶よりテンポがずいぶん速いなー)。

「とんとんお寺の」で合奏の醍醐味を体験して以来、学校の音楽の時間でも、中学以来遍歴した無数のバンドでも、合奏とは他者と互いの音をよく聴き合って合わせて、自分一人では作れない音色を作り、それを共有し、共に味わい、共に感動するまでのプロセスなのだと信じて疑うことはなかった。いっしょに音楽をする仲間たちとの間で、このことは「常識」となっていた。

 さて、この常識は常識ではなく、自分が幸運だっただけなのやもしれないと疑い始めたのは、比較的最近のことだ。人様に音楽を教えるようになってからのことなのだ。
 誰もが「いつか人に聴いてほしい」という「夢」を持って楽器を始める。そして多くの人は合奏に進む。が、それはなかなか「夢」の域を出ない。「夢」から始まって、上手になり、自分に感動するが、他者と聴き合うことがなかなかできない。心を合わせ、隅々までぴたりと合った音を楽しむ域に到達出来ない。

 合奏という夢を語り合うとき、互いが語る夢が、かえって互いを遠ざけてしまうことがある。なぜなら、その夢はただの言葉だからだ。「『故郷』を吹きたい」「わたしも吹きたい」と言うとき、互いが思い描く「故郷」の音色は異なる色合いを持っている。「故郷」という曲と故郷という言葉に対して互いが抱いているイメージが異なっているからだ。だから互いの思いは、実際の合奏によって互いの音を聴き合い、合わせ、生まれた音色を共有することで、初めてひとつになる。あくまで音が、すなわちお互いを尊重することが先で、夢は後回しにすべきなのだ。
 それが、多くの大人の場合は、夢が先に立つ。これが合奏を妨げるひとつの要因になっているように思う(「大人」だから?!)。夢をしばし横に置いておくことができればいいのだが。

 きょう、合奏の醍醐味を体験するに至ったグループがあった。ここに至るまで、結成から7年かかった。この日がきょう訪れるとは、指導を続けてきたワタシを含めて、誰もこれっぽちも予想していなかったとさ。

 おしまい。 
09.11.07 記 
これは、直播きして野生化させた稲。
稲の干し方

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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
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