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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#519 ぼくがやるっ

 数日前、ようやく稲木の稲が乾ききった。で、きのう、脱穀機を調達に行った。使ってないから持ってけと言って下さったのは、近所のMさん。この脱穀機には「最新型」「実用新案」と書かれている。終始前近代的農法を通したマイ田んぼ。最後になって最新の文明の利器の世話になるのはちと悔しい。が、一目で好きになってしまった脱穀機。見て下され。

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はい、これが「文明の利器」でする。
脱穀機2 脱穀機3

 この脱穀機の名称は「組合号・稲麦扱(こき)機」と言うようだ。「最新型」「実用新案」「責任保証」と書いてある。また「K二号機」という表記が新しさを強調している。製造者は「全国購買組合連合会」というようで「特製」「一人用」とも書かれている。標章の「共存同栄」が良い。

 これはいったい、何をどうするものなのか。実物を見たことがない人は、写真を見ただけではわからんだろう。早い話が、外側にたくさんの針金のでっぱりが取り付けられた樽状のドラムを足踏みで回転させ、そこに稲の束を手でつかんだままで突っ込んで、猛スピードで回転する針金のでっぱりに引っ掛けて、ワラから籾をこそげとるという仕組みになっているのだ。手前の足下のペダルと言うか板を踏むとドラムが回り出す。少し踏み続ければ、すごいスピードで回転する。ワラから分離された籾は、機械の下部からぞろぞろと落ちていくようになっている。すばらしい。
 アーチ状に取り付けられた針金は全部で120本。マイ揚琴の弦の数とほぼおんなじだ、と、無理矢理親近感を湧かす。

 おそらくは数十年間放置されていたシロモノだ。が、ペダルを踏むとドラムは静かに、ごくスムーズに回転する。保存状態は極めて良く、すぐに使える。が、針金は錆びだらけで、ドラムの内部はホコリだらけ。念入りに錆びとホコリを落とした。

 農業を少しでも知っている人なら、脱穀機と聞けば「なんだそりゃ?」と思うにちがいない。きょうび、脱穀は稲刈りと同時に稲刈り機がやってしまう。このコンバインという稲刈り機械、刈り取りと脱穀とワラの裁断と籾(モミ)の乾燥と袋詰をその場でやってしまうというものすごいものだ。全国のほとんどの農家はコンバインを使っている。天日干しをする人でも、ハーベスター(燃料で動く脱穀機械)を使う。

 さてさて、本日、いよいよ稲木の稲を取り入れて、夕方から早速脱穀機にかけてみた。・・・うわわわわっ、籾が飛び散るっ。・・・あれっ、回転が反対方向だった。向こうからこっちに向けて回さなきゃ、そりゃ飛び散るわな。
 どんどんつづけた。すごい能率だ。これは楽しい。これぞ機械だっ。最新式だっ。文明も捨てたものではない。・・・が、どうしてもワラがちぎれて籾に混じる。・・・うわわわわっ。稲の束を握る手をちょっとゆるめると、たちどころに稲は巻き込まれ、籾が付いたままのワラくずが散乱する。何度もしゃがんで拾い集めた。
 ん、気をゆるめると、手まで巻き込まれそうで、それは痛そうだ。

 そこへ、ウチのよく知ったご婦人が、近所に住むN子さんと娘のしーちゃんと弟のゆーちゃんを連れてやってきた。N子さんは、ワタシの田んぼ的師匠のKさんの奥さんだ。
「わー、ウチのといっしょだわー」
 が、Kさんは今年から脱穀機をやめて、やや近代的なハーベスターに切り替えた。
「たいへんでしょー。おとうさんもねー、去年はひと晩かかってやってたわよ」
 そうか。たいへんなのか。ひと晩か。まだ五束しか出来てないぞ・・・。
「あたしもやる〜」
「ダメ、危ないから、ウチでおとうさんといっしょのときにね」
「ぼくもやる〜」
「ダメっ。危ないのっ」
「ぼくもやる〜っ」
「ダメっっ」
「やる〜〜っっ」

 ・・・きょうはもうやめて、風呂に入って、飯食って寝るべ。んで、明日こそ、ぼくがやるっ。

 おしまい。 
09.10.29 記 
こちら側に立って、足下のペダルを踏んでドラムを回すのだ。
脱穀機
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無題
実家の納屋ニ階にあった
懐かしい脱穀機です
このように保存状態はよくありませんが・・・
その当時の実家納屋二階を思い出しました
今はニ階はなく近代的な車庫となっています
音楽と同じでものでも思い出が引き戻されますね
お口に入るまでもう少し時間が必要そうですね
りn EDIT
at : 2009/11/02(Mon) 22:44:22
Re:無題
りnさま

向かいのおばさんも、脱穀機や稲木を見て「なつかしい」を連発しておられました。
さて、実家に脱穀機も唐蓑もなかったワタシからそれらによって引き出されたものは、思い出ではなく未来であったような気がします。
つまり、この未来はワタシの中にすでに宿っていた未来なのではないかと、近ごろは思うのです。

次回は唐蓑をご紹介いたします。
にしても、お米が口に入るのは、いったいいつになるのだらふ。

巴だ 
at : 2009/11/02 22:58
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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