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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#516 逃げ場

 昨年末から今年二月にかけて、オカリナのレッスンをした若いカップルがいた。二月に予定している自分たちの結婚式で、ケーキカットの替わりにオカリナのデュエットを披露したいとのご希望を叶えるべく、みっちり特訓したのだった。そのカップルがきょう、当日のオカリナ演奏の模様を収めたDVDを持って訪ねてきてくれた。感慨深く見せていただいた。

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 DVDに収められた披露宴の二次会での曲は「涙そうそう」と「上を向いて歩こう」。新郎さんはもはやアルコールの影響下にあった。つまり、かなり危ない演奏。一方、新婦さんは特訓の成果を遺憾なく発揮し、終始しっかり吹き通していた。レッスン時よりもフォームがぐっとサマになっている。新郎は新婦に助けられつづけた恰好で、その有様はこのカップルの未来の力関係を暗示していた・・・なんちゃって。

 ふたりは、オカリナだけではなく、田舎暮らしにも強い興味がある。かつて大阪のど真ん中で暮らしていたことがある新郎Kちゃんは、緑多く鹿がかっぽする奈良で生まれ育ったそうで、緑がない大阪で暮らした当時の精神的苦痛を訴えた。新婦K子ちゃんは近江八幡の出身で、子どもの頃は田んぼが遊び場だったと言う。ふたりはウチの今の暮らしぶりに憧れると言ってくれるが、京都の街中で育ったワタシは逆に、ふたりの子ども時代に憧れる。

 さて、これまでワタシは、大阪や東京といった大都会へたびたび演奏的出稼ぎに出かけた。見渡す限りのビル群のただ中に身を置くたびに、一息つける場所を見つけるのに苦労した。そんなとき、ワタシにとっての一息つける場所とは、落ち着いた雰囲気のカフェでもなく、静かな図書館でもなく、ましてデパートや映画館やシティーホテルの一室でもなく、緑があるところなのだと悟った。(例外として、下町のスーパーの揚げ物売り場があるが)

 揚琴の演奏のテーマを「静寂と自然との対話」と定めて以来、ワタシは自分の仕事は植木屋さんのようなものだと考えてきた。つまり、都会に自然の息吹きを届けることが仕事だと位置付けていたのだ。そのワタシが、都会へ出るたびに緑を探し求めていたのは少しこっけいではある。
 で、緑があるところを探して車を走らせても、行けども行けどもビルばかり。そんなときの緑があるところは、ワタシにとって「逃げ場」だった。視界をふさぐビル群。押し寄せる騒音。それら大量の「都市の息吹き」は、人間のバイタリティーというよりも、欲望の権化に映った。ワタシはそれらから束の間逃げ出そうとしたのだ。

 逃げて何が悪い、と思う。確かにワタシは、大都会中心の文明がもたらす恩恵を受けて生きていた。が、それでも、逃げて何が悪い、と思っていた。それらに依存するつもりはない、それらなしでも生きていけるだけのバイタリティーを自分は持っていたいと考えていたからだ。

 それはともかく、たとえば土でできたオカリナという楽器は、手に持つだけで自然の息吹きを感じられる。それゆえにオカリナのような楽器は、人々の欲望の渦にほんろうされ続け疲れ果てた精神の逃げ場になり得る。多くの人がオカリナの中に逃げ込もうとしている。ワタシはそこで、いらっしゃい、いらっしゃい、どんどんいらっしゃい、と手招きしつづけている。

 件のカップルの田舎暮らし願望とオカリナを愛好する心とは無関係ではない。どちらも、人の欲望にほんろうされつづける日常からの逃げ場を求める心の表れなのだと、ワタシは思う。逃げて何が悪い。どんどん逃げてほしい。
 このカップルは、新婚旅行で屋久島へ行き、往復20kmの縄文杉観察トレッキングツアーに参加したという。その破天荒な新婚旅行の有様は、ただ逃げるだけではなく、逃げおおせたアカツキにはそこでたくましく生きていこうとする強い意思を表わしているように思えたとさ。

 おしまい。 
09.10.24 記 
海辺も逃げ場だな。
波打ち際
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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