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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#304 顔のない音楽会

 ある日曜日の朝、ホテルの一室でたまたま見た音楽番組。進行役は指揮者の佐渡裕さん。ゲストはテノール歌手の錦織健さん。この日は、アマチュアのコーラスグループのクリニックがテーマだった。対象は全国で優秀な成績を修めたみっつのグループ。この番組、合奏を指導する者にとってたいへん勇気づけられる内容であったばかりでなく、すべてのアマチュア合奏・合唱団員に見てほしかった。

 初めに登場したのは、とても由緒ある小学生男子の合唱団。ベレー帽がかわいいヨーロッパの聖歌隊風のユニフォーム姿で、うしろに手を組み、直立不動で「ソーラン節」を歌った。曲に対する衣装と姿勢のアンバランスが、失礼だがややこっけいだった。
 佐渡さんのアドバイスは実に適確。
「行儀が良すぎるっ」
 で、足を開かせて、両手でひざを打ちながら歌わせた。すると、みんなの表情が突然生き生きとしてきて、声にも見違えるような張りが出てきた。コーラスの完成度という点から見れば「雑になった」と言えるのだが、そんなことよりも、聴く人の心に届き、楽しくさせる合唱となった。
 佐渡さんは、実に面白いたとえ話の名人だ。
「ごはんは、おかわりした二杯目がおいしいんや。『ハイ、ハイッ』っていうところ、二回目の『ハイッ』の方が強くなかったらアカン」
 その後、錦織さんのコメント。
「(今のように)重心を低くした方が、息をたっぷり吸えますね〜」

 次は、高校生の混成合唱。曲は、題名は忘れたがラブソング。たいへん完成された合唱だったが、顔の表情や歌い回しに、ワタシは恣意的に作り上げられた、無理に糊塗されたものを感じた。佐渡さん曰く。
「ロミオとジュリエットは、みなさんと同じくらいの年齢だった。あのふたりのような気持ちになって歌ってみてほしい」
「ピアニッシモはただ弱くなってはいけない。そこにはいちばん聴かせたいものがこめられているのだから」
「ピアニッシモの『そっ・・・と』の間に休符がある。そこで、ホールに音の余韻が響く。その余韻を次の言葉につなげなければいけない。『そっ・・・』で気持ちを切ってはダメ」

 最後は、妙齢のご婦人のコーラス。曲は「花の街」。ワタシもオカリナ合奏で取り上げてきた。なんだかのっぺりとした歌声だ。佐渡さんは、当然メリハリをつけるように指示した。そして、
「『駆けていったーよ〜〜〜・・・春よ春よと』はいちばん聴かせどころ。ここは途中で気持ちを切らずに、ふたつのフレーズをつなげましょう」
 錦織さんのコメント。
「ブレスの前の呼吸のリズムがそろっていないですね〜」

 ねっ、どのアドバイスにも大いにうなずけるでしょ?
 いずれのグループも、ふたりの名人のちょっとしたひとことで見違えるような合唱になっていって、痛快ですらあった。
 それぞれのグループの指揮者、つまり先生方は、もっと感動されるかと思いきや、笑顔の裏に若干の悔しさもにじませておられたのが見て取れた。おそらく自信満々で出てこられたのだろうが、もっと素直になればいいのにね。
 そして、どのグループも、難曲をこなすことと体裁を整えることにエネルギーを奪われすぎていて、肝心の「心」の部分、適確で人の心に届く表現の部分に、致命的な欠陥があったことが示された。心が伴わない演奏からは、そのグループの「顔」が見えてこない。
 ジャンルやレベルのちがいこそあれ、ワタシのレッスンでも気をつけるべしだと改めて思った。

 季節はそろそろ芸術の秋。が、芸術、ゲイジュツと肩肘張らずに、佐渡さんのようにもっと人間臭く、ハートを大切にしてやりませう。

 ※ おふたりの名人のコメントは、いずれも大意です。

 おしまい。 
08.08.26 記 
開いたばかりの鉄砲百合
鉄砲百合

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巴だ リョウヘイ
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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
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