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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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きょうは、二年ぶりに第二の故郷を訪れた。四年前に現住所に移るまで十二年間暮らしていた山里の風景と静寂は、何も変わっていなかった。昨夜の今秋いちばんの冷え込みを受けて、いよいよ本格的紅葉が始まった大河の源流部。かつて親しんだ古木老木巨石は、ますます風格を増していた。


 まずは、暮らしていた村まで車で20分余りの、藍染の新道弘之先生宅を訪れた。新道先生の工房をよく訪ねていたよく知ったご婦人が、先生が考案された「シンディゴ絞り」という手法で作られた反物を分けていただくためだ。自然農法田んぼの経験者である先生は、ここ数日ワタシが読み直している自然農法のバイブル的一冊「妙なる畑に立ちて(川口由一)」を、新しいエッセイの執筆のためにちょうど読み直しておられるところだそうで驚いた。田んぼと田舎暮らし談義で盛り上がった。帰りに、ワタシ用にと、シンディゴ絞りの手ぬぐい一本を進呈してくださった。

 川沿いの道をさらに源流へとさかのぼり、最上流の村の手前で支流沿いに道を折れて、かつて暮らした村を目指した。お世話になった向かいのおじさんにアポを取ってある。

 村の入口のおばさんを訪ねた。先年ご主人を亡くされたが、とてもお元気そうで安心した。畑のカボチャとキウイと柿をたくさんいただいた。

 村は、なんという静けさだ。十二年間暮らした小さな家は、新しい主を得て、拍子抜けするほど変わりなくそこにあった。

 歯医者へ行ってる向かいのおじさんが戻るまでまだ時間がある。木漏れ陽を受けながら、誰一人いない川沿いの道を、ゆっくりと上流へと向かう。暮らしていた当時は年間何十回も釣りに出かけたこの川。よく通った淵をのぞきこむと、アマゴと大きなウグイがきょうも元気に泳いでいた。途中、いつも飲んでいた湧き水を、心ゆくまでがぶがぶと飲んだ。身体が歓喜した。

 村のいちばん奥で、同世代の夫婦がコーヒーショップをやっている。川からもどって立ち寄ると、ちょうど何人かの村の人がいた。
 お店の向かいの丘の上の「そんなことをしたらバチが当たる」が口ぐせのおじさんは、八十六歳におなりで先日奥さんを亡くされたが、全然変わっておられなかった。ユーモアも健在。
「最近ここはええ名前をもろた。『限界集落』と言うんや」
 ワタシがいたころは最も多いときで40人近くが暮らしていたが、今は20人ほどになってしまったのだ。
 おじさんの息子さんの奥さんもおられた。村一番の行動派で、美山旬菜塾という名前で地元の食材を使った手作りの食品をほうぼうに卸している。この二月にはとうとう、山里での暮らしぶりをつづった本まで出版された。一冊進呈していただいた。
 お店の奥さんに、ケーキセットをごちそうになってしまった。

 歯医者から帰ったおじさんの家に行った。家の前の川で採れた鮎と、畑のミョウガとサツマイモ、それに自家製ミョウガの柴漬けをどっさりいただいた。

 村を出て、少しはなれた村におられる当時の大家さんを訪ねた。かつてのウチの前には大家さんの田んぼがあり、われわれは水守をまかせてもらっていた。得難い経験だったと思う。
「あっ、精米の途中やったっ」
 あわてて駆け出して行った大家さんは、大きな袋を抱えてもどってこられた。
「あの家の前の田んぼの新米や。つきたてや。持って行って」
 期せずして、われわれの心の中で、山里の田んぼからこのたび新しく始める田んぼへの引き継ぎが行なわれた。

 ふるさとはいくつあってもいい。ふるさととは生きた風景であり、心の原風景であり、そして何よりもそこで暮らす人々なのだ。自然の恵みと、思いがけず人生の先輩方からたくさんの励ましと幸せのお裾分けをいただいたこの日。とどめは思い出と未来がいっぱい詰まったお米。泣けた、泣けた。
 おしまい。 
08.10.28 記 

淵の守り神、桂の古木

桂の木

大栃。対岸は鬼胡桃。

大栃

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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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