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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#331 茶碗一杯

 生き方や思想信条に感銘を受け、指針としてきた人が亡くなったとき、親が亡くなったときと同じような喪失感が生じる。同時に、その足跡を受け継ごうとする、より強固な意思が芽生えることもある。それは、やはり親が亡くなったときに芽生える、さらなる自立心に似ている。

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 今年はすでに、ワタシの田舎暮らしに重要な指針を与えてくれていた人が相次いで亡くなった年となってしまった。
 6月に亡くなったターシャ・テューダーさん。絵本作家としての作品には詳しくはないが、地上の楽園目指してこつこつと手作りされた花一面の庭は、彼女の昔ながらでマイペースな暮らしと相まって、自然とともに生きる人の「作品」として憧れていた。
 8月には、自然農法実践家の巨星、福岡正信さんが亡くなった。大自然の中では人間の為すべきことは何もなく、一切は無用だと説く文明批判は、老荘思想と仏教思想を彷彿とさせる。そこに根ざす氏の自然農法のノウハウは、実に合理的で革新的で革命的で、世界中の多くの人と同じく、ワタシもまた世界を救う農法だと考えてきた。
 そして、この方たちに先立つ4月、前々便に書いた山里の野菜作りの師であったおばあちゃんが亡くなった。

 さて、昨年の10月に #152 で、お米の会社のCM製作に参加したと書いた。そこで、歌を歌った Yae さんは自分でお米を作っておられると書いた。また、近所のKさんからお米作りを持ちかけられているとも書いた。#152 の引用。

>昔ながらの手法でのお米作りはウチの夢でもある。が、野菜作りもままならなくなりつつある今の生活パターンではとても無理だとあきらめて今日に至っている。でも、このCM録りでのスポンサーさんや Yae さんとの出会いや、Kさんからのお声がけなど、次第にお米作りが近付いてきているように思えてならない。

 あれからちょうど一年。Kさん作のご飯をいただいてから六日。とうとう、ほんとうにお米作りにふみ出すことになった。Kさんの休耕田を使わせていただくことになったのだ。その田んぼは、ウチから林道を歩いてすぐの小さな川沿いにあった。奥の山から林の間を五枚の田が段々になって下りて来る、そのいちばん下の田んぼだ。山からきれいな沢の水が引き込まれている。
 Kさんはこう言った。
「まずは茶碗一杯分だけ作る気持ちで始めたらいいんですよ」
 この言葉に後押しされて、三畝(10m四方三枚分)あまりの小さな田んぼで、理想の「ご飯」を作ることを決心した。

 そのとき、これまでは細々と野菜を作るだけだったワタシの胸には、このお米作りを通して、今年亡くなった三人の「師匠」の心を受け継ぎたいという、大それた思いが沸き上がっていた。三人の師匠が亡くなった今年、いよいよ師匠たちから自立すべきときが来たのやもしれない。

 とは言っても、きょう、米作り一年生にとってはあまりに広いその田んぼの前に初めて立ったとき、茶碗に盛られて湯気を立てるご飯を思い描くことはまだまだできなかった。頭の中にあったのは、ようやく固まってきた自分なりの作業行程のイメージだけだった。が、茶碗に盛られて湯気を立てる一杯のご飯の図こそ、食いしん坊のワタシにいちばんかんたんに得られて、なおかついちばん必要なエネルギーだと思い直した。
「自然にまかせたらええ」
 おばあちゃんのこの言葉を胸に、無理せず急がず欲張らず、まずは大地との対話を味わい、楽しめればと思う。

 おしまい。 
08.10.20 記 
珍しい釣舟草。田んぼの近くに、曙草と重なるように生えていた。
釣舟草


#331-257 08.10.20/10.21
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
性別:
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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