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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#326 陰 謀

 懐中時計の電池を交換した。
「はい、そこにかけてお待ち下さい」
 ピカピカの時計屋の親切そうなご主人が、ワタシの時計を持って作業コーナーに消えた。ワタシがおしゃれなイスに腰かけようとすると、
「はい、どうもお待たせしました」
 ちーとも待ってないぞ。で、¥1,300。どこへ持って行っても、だいたいこれくらいの費用だ。それはそれでいい。問題は、この懐中時計の値段が¥1,200だったことだ。

 演奏中に見やすい時計を探していたときのこと。某ホームセンターのレジに並んでいると、うってつけのものが目に飛び込んできた。時刻がアラビア数字で表示されたその懐中時計は、理想的に見やすかった。値札を見れば、¥1,200。安物買いの銭失いなどと考える暇もなく、袋入りで吊るされた懐中時計に右手が伸びていた。

 この懐中時計、二年以上、まったく狂うことなく働きつづけていた。見やすく、軽く、正確だったから、痛く気に入ってしまい、演奏用だったはずが、肌身離さず持ち歩くようになった。が、とうとう電池切れとなった。
 電池交換に時計屋へ持って行けば、¥1,500近くかかる。¥1,200で買った時計の電池の交換に¥1,500近くかけるのは、いかにもばかばかしい。

 ワタシは考えた。この時計はこのまま引き出しの中で枯れ木のように朽ち果てるのだろうか。といって動かない時計などを飾り物にしたとすれば、時刻を勘違いしそうで目障りだ。
 そうだ、鎖の長さを調節して、振り子時計にしよう。これこそ時計本来の使い道だ。・・・20秒足らずで止まってしまった。これでは砂時計のレベルだ。だいいち、どうやって時刻を知るのだ。
 新たな使い道はとうとう思いつかず、そのまま二年ほど引き出しにしまい込んでいた。

 やはり、電池を替えて使おう。そもそもとても気に入っていた時計なのに、二年間も何をためらっていたのだろう。それに、物を大切にすることは、生活の基本中の基本じゃないか。
 お気に入りの懐中時計は、二年のブランクをまったく感じさせなかった。電池を交換すると、何ごともなかったかのように、静かに時を刻み始めた。

 ¥1,200の時計の電池交換に¥1,300かけることを馬鹿馬鹿しいと感じるのは、ごく一般的な感覚やもしれない。がしかし、買い替えた方が安いからといって使える物を次々に棄てていては、地球はあっと言う間にゴミで埋まってしまうにちがいない。
 この懐中時計を作った人、売っている人は、電池交換の費用くらい知っているはずだ。その上で電池交換費用よりも安い時計を売るということは、使い捨てを前提としていることは明らかだ。緑の地球の敵だ。

 何をえらそうに言うか。そんなこと考えもせずに買ったくせに。

 だから、使い捨ての物を捨てずに使いつづけることこそ、地球を救う道なのだ・・・ろうか。
 それとも、買わないのがいちばんいいに決まっているのだろうか。

 とにかく、結局は¥1,200の時計の電池を¥1,300かけて交換したきょう、ワタシはお気に入りが復活したうれしさと、たとえ明日この時計が動かなくなろうとも、物を大切にしたという清々しい気分に満たされている。

 待てよ、ほんとうに明日動かなくなったら、¥1,300かけて電池のゴミをふやしただけになってしまうじゃないか。・・・。
 こうなりゃ、意地でもあと十年使ってみせるぞ。そして、時計メーカーに突きつけてやるのだ。
「どうだっ、十二年間使ったぞっ。あんたらの陰謀なんぞに誰がはめられるものかっ」
 経済発展と資本主義の牙城の一角を崩すのだっ。

 あと十年使えば、電池の寿命が二年だから、¥7,700の時計だということになるな。安いのか高いのか。
 で、いちばん喜ぶのは誰か。それはもちろん、時計屋のご主人だ。いつかこの懐中時計を修理に出して、もっと喜んでもらおう。そして意気投合するのだ。「共に陰謀と戦いませう!」

 おしまい。 
08.10.09 記 
キクイモ。野草です。
キクイモ

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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