#324 スズメの巣

#324　スズメの巣

　ようやくスズメバチが去ってくれた。実は、１０月１日のエントリに書いたキイロスズメバチたちは、ワタシの決死の駆除作業のあとも、しばらくは何匹かがうろうろしていたのだ。で、その後の数回の殺虫剤散布で、ようやく姿が見えなくなったのだった。が、安心できない日々がつづいている。

　二日前のこと。ウチの前の斜面に張り付いて草刈りをしていた。７月２５日に、草刈りをしていておでこをハチに刺された顛末をここに書いた。そのとき刺された現場にちょうどさしかかったとき、直径２０センチほどの、茶色と白のまだら模様の半球体を見つけた。それは、垣根の植え込みの下に転がっていた。それがスズメバチの巣であることはすぐにわかった。そして垣根から落ちて地面にあったそれは、すでに放棄された巣だった。

　草刈りの手を止め、巣を持ち帰ってしげしげとながめていたとき、はたと重大なことに気づいた。７月にハチに刺されたとき、その黒っぽい後ろ姿のハチは、そこで鎌をふるった瞬間に、まちがいなくこの巣があったところと寸分ちがわない方向から飛んできた。ということは、ワタシを刺したハチはスズメバチだった可能性が高い。
　・・・気がつくのがおそいっ。

　ネットでこの巣の画像を探したところ、コガタスズメバチのものだとわかった。
　刺したハチの姿をじっくり見たわけではないので確かなことはわからない。言えることは、ワタシを刺したハチは、大きさと色がコガタスズメバチと一致する（コガタスズメバチは頭は黄色いが、胴は黒い）ことと、そのときは間違いなく地面に巣は落ちていなかったということだ。

　ハチの毒は、一度刺されただけでは大事に至らなくても、二度目は免疫力が落ちて、アナフィラキシーショックというショック症状を引き起こし、スズメバチの場合は命にかかわる場合がある。

　きのうのこと、仕事部屋の扉をガラリと開けて外へ出た直後、後頭部に何かがこつんと当たった。見れば、キイロスズメバチが飛び去っていった。駆除した巣の、最後の二匹のうちの一匹だった。
　思い出すと、背筋がちょっと寒くなる。うっかりぶつかってきたのも攻撃してこなかったのも、かなり弱っていたからだろう。命拾いしたのやもしれない。

　ということで、これからは外出時は厚着・分厚い手袋・草刈り用ゴーグル・防虫ネット付き帽子・ヘルメット・長靴着用で歩くことにした。このスタイルで街を歩いても、顔が見えないので平気だ。問題は、演奏に行ったときに、会場に入れてもらえるかどうかだ。それに、野外コンサートではこのスタイルでの演奏を許してもらえるかどうか。

　実は、この一ヶ月の内に、オカリナの生徒さんのうちふたりがスズメバチに刺された。スズメバチの活動が活発なこの時期、ひとりはきょう無事を確かめたが、もうひとりは生きているだろうか。

　ワタシがスズメバチに刺されて突然いなくなったら、１１月や１２月に予定されているコンサートの関係者さんはさぞ怒るだろう。
「もうチラシも配りまくって、前売り券も売っているのにっ」
　オカリナの生徒さんたちはどうだろうか。ワタシがいなくても、オカリナを吹くことはできる。
「センセイがいなくなってしまっても、別に何も変わらないわねー」
「そうねー、あのレッスンはなんだったんでしょうねー」
　てなことにならないよう、日頃から気合い入れてレッスンせねば。

　・・・あれ？ なんの話だっけか。

　おしまい。　
08.10.06 記　

持ち帰ったコガタスズメバチの巣