忍者ブログ
揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
2024-041 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 prev 03 next 05
285  284  283  282  281  280  279  278  277  276  275 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

#337 こぼれ種

 稲は昔から「いなき」で干された。いなきとは、刈った稲を束ねて掛けて天日に干すための、丸太を組み上げた干し台のことだ(地方によって呼び名が異なる)。近ごろは見かけなくなった。
 きょうの夕食後、よく知ったご婦人がまじめくさった顔で言った。
「いなきは如何にせんとす? あれなるは、立てるのが難儀と見るが」
 何を言い出すのだ、まだひと粒も採れてないというに。採らぬお米の俵算用じゃ。

拍手[0回]


 二年間放置されていた田んぼには、一面に草が生い茂っている。きのう初めて田んぼに入って鎌で草刈りをしているとき、何本かの黄色くなった稲を見つけた。この稲は、二年前の稲刈りのときにこぼれ落ちた籾が発芽し、それが秋に実って、その籾がまた落ちて今年も籾を付けるまでに育ったものだということになる。つまり自生した野生の稲だということだ。

 それらの稲は、分蘗(ぶんけつ=茎が何本にも分かれてふえること)数も少なく、穂数も籾の数も一般の田んぼの稲の何分の一かだ。が、耕さず田植えもせず肥料もやらずもちろん農薬も使わず、そして水さえもやらずとも、他のたくさんの雑草に負けることなく立派に育ち、自然に代替わりまでしたのだ。稲の本来の生命力を目の当たりにした心持ちがする。冬の間にも田んぼに水を張りつづけ(冬期湛水法)、春からは雑草をうまく制御できれば、稲は想像以上にすくすくと育つ気がしてきた。田んぼを貸してくれたKさんは「まずは茶碗一杯分だけ作る気持ちで始めたらいいんですよ」と言ったが、きっと茶碗二杯分は採れて、家庭円満となるだろう。

 ワタシたちは、初めて見た野生化した稲を大事に刈り取り、来年の種籾の一部にすべく持ち帰った。これまでの野菜作りの経験から、こぼれ種が育ち野生化した作物ほど強くておいしいことを知っているからだ。

 ワタシは、こぼれ種のように育ちたかったと、ときどき思う。ただし、こぼれ種が立派に育つ確率は極めて低い。やはり、親と社会の手助けあっての自分なのだ。

 帰り道、小雨が上がった空に大きな虹がくっきりと伸びた。野生化した稲と虹。吉兆がふたつ。

 おしまい。 
08.10.31 記 
野生化した稲。
野生化稲
PR
NAME
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
TRACKBACK URL 
おしらせ
お問合せはホームページの "FAQ & Form" からしていただけます。
太 陽 暦
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
New Comments
※ 非公開を希望される方はその旨お書きください。
[09/10 水戸ふぢ]
[09/05 森下知子]
[07/17 Kitty]
[05/31 Kitty]
[04/17 Kitty]
[03/13 巴だ]
[12/08 栗美]
twitter
ブログ内検索
New Track Back
ようこそ
バーコード
"巴だ リョウヘイ" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP@SAMURAI FACTORY INC.
忍者ブログ [PR]