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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#340 赤い実の誘惑

 秋に赤い実がなる野草はたくさんある。おいしい実も多い。野いちごはたくさん摘んでジャムにできるし、野バラの実は乾かしてお茶にする。このローズヒップティーは、甘酸っぱくてさっぱりする。山椒の実も赤くなるし、自家製のグミの実のジャムはこれまで食べたジャムでいちばんうまかった。赤い実は秋の野山の宝石だ。


 初めて出会う山野草を食べるのは楽しい。が、実は悲喜こもごもだ。
 十数年前、ウチの裏の山で見なれない赤い実をみつけた。木陰にすっと立っていた高さ60センチほどのその草は、うす暗い林の中で輝いて見えた。太い茎に小粒の赤いおいしそうな実がぎっしりと付いている。ひと粒つまんで、ぽいと口に放り込んだ。

 歯先でちょっと噛んだ次の瞬間、すさまじい渋みが口いっぱいに広がった。素早く吐き出したが遅かった。その後数十分間、ワタシの口は強くしびれつづけた。
「あ、ふぁ、ふぇええ」
 ものも言えない。水ですすいでもまったく治らない。

 この赤い実は、天南星(てんなんしょう)だった。天南星はマムシグサのことで、実がなる前の姿は不気味そのもの。その不思議な形の花弁の中には、いかにもマムシが潜んでいそうな姿をしている。あの赤い実が不気味この上ないマムシグサの実だと知っていれば、よもや口にすることはなかっただろう。

 その後知ったのだが、天南星は民間自然療法でも用いられている。が、その道では劇薬扱いだ。どんなときに用いるかと言えば、人が弱って死にかけていて、どんな処方をしてももうだめだというとき、最後の手段として、天南星をすりつぶしたものをかかとに塗るのだそうだ。うまくいけば、ショックで息を吹き返すという。今際(いまわ)のひとことくらいは聞けるやもしれない。
 かかとと言えば、全身でもっとも鈍感なところだ。あえてそこに塗らねばならないほど、天南星は効き目が強いということだ。それを、あろうことか口に放り込んだワタシ。おかげでしゃきっと生き返った、かどうか。

 が、世の中、もっとうかつな御仁がおられる。ここだけの話だが、三味線弾きのTさんは、天南星の実を口に入れたばかりかしっかり飲み込んだ。Tさん曰く、
「長い間、のどから胃までしびれとった」
 いっそう渋いいい声になられた、かどうか。

 おしまい。 
08.10.31 記 
天南星。10月28日に訪れた源流で。
天南星

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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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