揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#382 デジたること
昨夜、近所のKさんが「デジタルはダメだ」と言った。Kさんはエンジニアだ。最先端のデジタル技術を駆使したコンピューター制御の大型システムの開発をしている。そのKさんが「デジタルはダメだ」と言う。このデジタル万能の時代に、いったい何がダメなのか。Kさんの意見には、Kさんが田舎暮らし万歳人間であることと深く関係がありそうだ。
昨夜、近所のKさんが「デジタルはダメだ」と言った。Kさんはエンジニアだ。最先端のデジタル技術を駆使したコンピューター制御の大型システムの開発をしている。そのKさんが「デジタルはダメだ」と言う。このデジタル万能の時代に、いったい何がダメなのか。Kさんの意見には、Kさんが田舎暮らし万歳人間であることと深く関係がありそうだ。
デジタルについておさらい。デジタル信号とは、音や画像を、すべて1と0の数字に置き換えた信号のことですな。音を録音して、それらを1と0の信号に置き換えることをデジタル化・デジタル録音と言いますな。コンピューターのプログラムはデジタル信号の代表で、演算は1と0だけの数字を使う二進法で行なってる。それらを総称してデジタルと言いまするな。
デジタルの反対語はアナログ。自然の音や物は、すべてそれ自身が連続的なつながりによって出来上がっている。連続的につながっている状態の信号を、アナログ信号と言う。この世のすべてのものは何物かとつながり合って存在しているから、アナログとはこの世の有り様そのものだと言える。あなたやワタシが奏でる生演奏音楽ももちろんアナログ。
デジタル信号は1と0だけで出来上がっているから、非連続な存在だ。1が有、0が無。1と別の1との間につながりはない。つまりデジタルの世界は、点描の世界なのだ。点描の絵をはなれて見ると普通に色が塗られた絵に見えるのと同じように、デジタル録音された音楽は、再生するスピードが速いからつながって聴こえる。が、実はすべての音が離ればなれなのだ。
Kさんは言う。
「1と0との間にあるものはノイズで、ノイズにこそ妙味があるのに、デジタルはそれをすべて切り捨ててしまっている。だからデジタルはダメです」
実はこの話は、山や川や海や畑の養分について話していたときに出てきた。圧倒的多数の農家の畑で使われるチッ素、カリ、燐といった化学肥料。これらは自然界にある「有用な」成分を抽出したものだ。それらが作物に「効く」というわけだ。が、これらだけがあれば十分だということでは絶対にない。土中のマグネシウムやカルシウムなどの微量栄養素がなければ、植物も動物も生きていけないのだ。
化学肥料は微量栄養素というノイズを切り捨ててしまったデジタル的な肥料だ。化学肥料だけで育った作物は、大きくはなっても当然栄養素が少ない。パワーがない。
Kさんは、音や絵など様々なもののデジタル化は微量栄養素を切り捨てているようなものだと言いたかったのだ。
一昨日のニュースで、超高級CDの開発について報じていた。盤の材質に金をふんだんに使い、表面はガラスで仕上げるそうだ。従来のCDと交互に再生してみていたが、ウチのおんぼろテレビのスピーカーで聴いても、その音質の良さははっきりと聴き取れた。弦楽器の弓が弦に当たるときの微妙なきしみ音までが非常にリアルに再現されていた。で、お値段は、一枚十八万円だって。
デジタル機器が高性能になってゆけばいずれアナログに到達するのかと言えば、絶対にそんなことはない。デジタル信号がそこに何も存在しないことを表わす「ゼロ」によって成り立っていることは、それが自然の存在とはどうやっても永遠につながりが持てない、すなわちアナログに到達することはできないことを表わしている。
昔、ステレオ録音技術が開発された時代(もちろんデジタル録音技術はまだない)、自分の演奏をけっしてモノラルでしか録音しなかったチェリストがいた。思うに、彼は録音という技術とそれが生み出す幻想の世界の行く末を見通していて、録音機器の高性能化、すなわち音楽の幻想化の流れに歯止めをかけるために、あえてモノラル録音だけを行なっていたのではないか。録音を表わす Record という語は、記録という意味だ。このチェリストは、レコーディングを記録としてのみ捉えていたのではなかろうか。
CDに録音された音は、どこまで行ってもデジタル信号であることに変わりはない。ふたつのデジタル音を聴き比べて優劣を付けることに慣れてしまったわれわれの耳は、高性能機が出てくるたびに微量栄養素を感じ取る感性を失っていくように思える。高級デジタルシステム万能の時代にこそ、アナログの音に耳を澄ましてみるべきではないだろうか。
デジタルの反対語はアナログ。自然の音や物は、すべてそれ自身が連続的なつながりによって出来上がっている。連続的につながっている状態の信号を、アナログ信号と言う。この世のすべてのものは何物かとつながり合って存在しているから、アナログとはこの世の有り様そのものだと言える。あなたやワタシが奏でる生演奏音楽ももちろんアナログ。
デジタル信号は1と0だけで出来上がっているから、非連続な存在だ。1が有、0が無。1と別の1との間につながりはない。つまりデジタルの世界は、点描の世界なのだ。点描の絵をはなれて見ると普通に色が塗られた絵に見えるのと同じように、デジタル録音された音楽は、再生するスピードが速いからつながって聴こえる。が、実はすべての音が離ればなれなのだ。
Kさんは言う。
「1と0との間にあるものはノイズで、ノイズにこそ妙味があるのに、デジタルはそれをすべて切り捨ててしまっている。だからデジタルはダメです」
実はこの話は、山や川や海や畑の養分について話していたときに出てきた。圧倒的多数の農家の畑で使われるチッ素、カリ、燐といった化学肥料。これらは自然界にある「有用な」成分を抽出したものだ。それらが作物に「効く」というわけだ。が、これらだけがあれば十分だということでは絶対にない。土中のマグネシウムやカルシウムなどの微量栄養素がなければ、植物も動物も生きていけないのだ。
化学肥料は微量栄養素というノイズを切り捨ててしまったデジタル的な肥料だ。化学肥料だけで育った作物は、大きくはなっても当然栄養素が少ない。パワーがない。
Kさんは、音や絵など様々なもののデジタル化は微量栄養素を切り捨てているようなものだと言いたかったのだ。
一昨日のニュースで、超高級CDの開発について報じていた。盤の材質に金をふんだんに使い、表面はガラスで仕上げるそうだ。従来のCDと交互に再生してみていたが、ウチのおんぼろテレビのスピーカーで聴いても、その音質の良さははっきりと聴き取れた。弦楽器の弓が弦に当たるときの微妙なきしみ音までが非常にリアルに再現されていた。で、お値段は、一枚十八万円だって。
デジタル機器が高性能になってゆけばいずれアナログに到達するのかと言えば、絶対にそんなことはない。デジタル信号がそこに何も存在しないことを表わす「ゼロ」によって成り立っていることは、それが自然の存在とはどうやっても永遠につながりが持てない、すなわちアナログに到達することはできないことを表わしている。
昔、ステレオ録音技術が開発された時代(もちろんデジタル録音技術はまだない)、自分の演奏をけっしてモノラルでしか録音しなかったチェリストがいた。思うに、彼は録音という技術とそれが生み出す幻想の世界の行く末を見通していて、録音機器の高性能化、すなわち音楽の幻想化の流れに歯止めをかけるために、あえてモノラル録音だけを行なっていたのではないか。録音を表わす Record という語は、記録という意味だ。このチェリストは、レコーディングを記録としてのみ捉えていたのではなかろうか。
CDに録音された音は、どこまで行ってもデジタル信号であることに変わりはない。ふたつのデジタル音を聴き比べて優劣を付けることに慣れてしまったわれわれの耳は、高性能機が出てくるたびに微量栄養素を感じ取る感性を失っていくように思える。高級デジタルシステム万能の時代にこそ、アナログの音に耳を澄ましてみるべきではないだろうか。
おしまい。
09.01.30 記
09.01.30 記
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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