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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#387 水を制する者

 先日、実に二ヶ月半ぶりに田んぼの作業をした。冬期湛水という手法で初めての田んぼをやってみることにしたのではあったが、冬になっても田んぼに水を張る準備が一向にできず、あせりばかりがつのる日々を送っていた。が、一年後の米よりきょうの米、仕事を優先せざるを得ない。正月明けからとうとう一日も休みがなかったので、マイ田んぼはただ風雪にさらされ、雨に打たれつづける荒れ地のままだった。

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 久しぶりに足を運んだ田んぼは、かたわらを流れる川のせせらぎと用水路を流れ落ちる水音に包まれて、静かに時を重ねていた。例年になく雨が多かったため、ありがたいことにかなりぬかるんでいる。そして伸び放題だった雑草も、何度か積もった雪の重みで半分ほどは地面に押し倒されていた。秋に掘った排水溝も健在だった。

 六枚の棚田の脇の坂道を山へ向かって100m少々上ったところに、用水路の水門がある。慎重に開き加減を決めて水を側溝に流し入れると、栗や楢などの大量の落ち葉が押し流された。この落ち葉たちが、田んぼに貴重なミネラルを供給してくれる。落ち葉様々だ。とは言っても取り除かないと水がマイ田んぼまで流れないので、100m以上ある側溝の掃除が最初の仕事となった。

 落ち葉を取り除いた側溝を、ミネラルをたっぷり含んだ山水は順調にマイ田んぼへと流れ込んだ。
 田んぼというものは、けっして平ではない。あっちがへこみ、こっちが盛り上がっているばかりではなく、全体がゆるやかに傾斜してもいる。だから、水はなかなか万遍なく行き渡らない。行ってほしくない方向へと流れていってしまうこともある。
 取水口から流れ込んだ水は、次第に秋に作った排水溝の方へと広がっていった。で、排水溝の中へ流れ込み、そのまま排水口から外の用水路へと流れ出てしまう。これではいくら待っても水は溜まらない。仕方なく、排水溝の縁に小さな土手を作っていった。すでに水が溜まりつつある田んぼの中に入って、底の土を鍬でかき集めて土手にする作業はなかなかはかどらない。この作業に二日間かかってしまった。

 そして、水を張ってもすくっと立ち続けるたくさんの枯れ草を鎌で刈り取る作業を終えて、ようやく冬期湛水は形になった。刈り取った草は大事な栄養源だ。すべて水の中に敷く。

 実はこれらの作業、十日以上前にすべきだった。大寒の頃までに田んぼに水を張ると、嫌気性菌が増える。この嫌気性菌がミミズを増やし、雑草の生育を抑えるのだ。大寒を過ぎると好気性菌が旺盛になり始める。雑草は好気性菌を好む。だから、大寒までに田に水を張ることが冬期湛水法の大きなポイントなのだ。ただ春までに水を張っておけばいいと思っていたのだが、奥が深いなあ。ううっ、しょうがない。夏には草取りでがんばるべえ。

 ついこの間まで荒れ地だったのに今は一面に水をたたえた田んぼの前に立つと、やはり感慨深い。そして、水のありがたさと、何者にも従わず己の道を進み、すべてを押し流そうとする力の強さを感じる。以前の住まいで田んぼの水守をしていた頃「水を制する者は米作りを制する」というフレーズが頭に浮かんだ。用水路や側溝などすべてが整った田んぼを借りることができた幸運。それなのに、ただ水を張るだけでもこんなに苦心する。前途は長くきびしい。

 おしまい。 
09.02.09 記 
京都市内では早くも梅の季節。
梅
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
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所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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