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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#390 再 会

 二月にしては異常なほど暖かく、小雨がふりしきる夕方、定刻になると、ギターやベースやドラムのステッィクやでっかいキーボードを抱えた中年連中がぞくぞくと集まってきた。で、お互いが顔を合わせるたびに「おおおっ」と吠え、握手をかわし合っている。つづく言葉は「変わってないね〜」だ。さて、この連中の正体とは?

 ドラムスティックが打ち出す小気味良いカウントで演奏は始まった。連中の手によって記憶の底から掘り起こされた曲がついに陽の目を見た。その瞬間、ワタシの脳裏には二十年数前のあのステージの光景が鮮やかによみがえった。照明の色までもがフラッシュバックしたかのようだった。

 先日開かれた大学卒業以来の同窓会のメインイベントは、このセッションだった。全国に散っていた同窓生有志9名が再会し、手に手に在学当時やっていた楽器を持ち寄って、二十数年ぶりに当時のセッションバンドの演奏を再現したのだ。音楽系の学部ではあったが、当時ワタシの周囲の仲間はクラシックよりもロックに燃えていた。

 この日に至るまでに、昨年末に幹事氏によって開かれたメーリングリストの中で、記憶の奥深くに眠っていたこのオリジナル曲の復元作業が始まった。何人もの記憶をつなぎ合わせて楽譜が再現された。それはまるで、埋蔵文化財の発掘・復元作業だった。

 実はワタシは一年で大学から蒸発してしまったのだが、この日に参加させてもらえた。が、みんなと同じく、会えば一瞬で昔に戻れたのはすごい体験だった。

 深夜までとめどなくつづいた会話の中で、ワタシは初めて蒸発の理由を明かした。
 一回生の夏頃、早くもワタシはその大学に通う意義がわからなくなっていた。何をするでもなくただ集まって無駄に時間を費やすだけにしか見えなかったゼミや、自主性を尊重すると称してはっきり示されない指導方針に対して、ワタシはいらだっていた。思い余ったワタシはある日、専攻科の担当の先生のもとを訪れ、4時間に渡って話し合った。先生はワタシになぜ積極的にゼミに参加しないのかと質された。ワタシの主張はこうだ。
「拙者は技術を学びたくてこの大学へ来たので御座候」
 それに対して先生はおっしゃった。
「否、大学とは人間教育の場である」
 話は平行線をたどり、結局ワタシは納得がいかず、ある日煙のようにこつ然とみんなの前から姿を消してしまったのだった。

 その後の話題の中に、この先生の思想のいくつかが出てきた。それらは在学中のワタシにはまだ知らされていなかったものだった。
「録音の際に、リバーブ(残響)とは本来は電気的に付加するようなものではなく、演奏とともに音楽の一部として収められるべきものだ」
「音楽の中ではすべての音が単独で存在できないように、人は出会いによって生きている」
 今、これらの先生の言葉はワタシの思想と完全に一致する。在学当時の青臭かった自分を恥じ入るばかりだ。で、このたびこれらの先生の思想にふれたことによって、天国の先生とようやく仲直りできたような気がした。

 ではあるが、大学から蒸発してしまったことを後悔はしていない。当時の仲間たちとは異なる道を通ったものの、結局は今は先生と思想を共有することができたし、再会は新たな未来を開いてくれた。こうしたことはけっして偶然ではなく、異なる道を通ったことも、揚琴に転向したワタシを作曲家となった同窓生がたびたび仕事に誘ってくれたことも、みんなと再会できたことも、必然であったと確信している。

 おしまい。 
09.02.14 記 
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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