揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#392 エルサレム・ショック
演奏するときに、歌詞の内容を理解することとともに、曲の誕生のいきさつや演奏されてきた社会的背景を知ることは大切だ。作者が伝えようとしたものを探るのは曲から受ける印象からだけでも十分かもしれないが、曲の背景を知ることが演奏や鑑賞に深みを与えることはまちがいない。が、曲の背景と演奏者の思いとの間にギャップが生じることもある。
演奏するときに、歌詞の内容を理解することとともに、曲の誕生のいきさつや演奏されてきた社会的背景を知ることは大切だ。作者が伝えようとしたものを探るのは曲から受ける印象からだけでも十分かもしれないが、曲の背景を知ることが演奏や鑑賞に深みを与えることはまちがいない。が、曲の背景と演奏者の思いとの間にギャップが生じることもある。
十代の頃、ワタシはエマーソン、レイク & パーマー(EL&P)というイギリスのロックグループが演奏した「エルサレム」という曲に心酔していた。で、三たび同窓会ネタなのだが、先日の大学の同窓会のセッションタイムで、何人かのELPフリークの同窓生とともにこの曲をオカリナで演奏した。気持ちよかった〜。
エルサレムの原曲は、百年ほど前にイギリスで作られ、今もイングランドで国民に広く歌われている。この歌はイスラエルのエルサレムのことを歌っているのではなく、エルサレムをひとつの理想郷とし、イングランドに理想郷を建設しようという内容を持っている。
さて、同窓会の二次会の席で、前便で書いたワタシと即興セッションをしたTから、この曲がどのような社会的背景を持っているかについての新たな情報がもたらされた。
やはりELPフリークである彼が言うには、彼の欧米人の友人たちによれば、この曲はずっとイギリスの右翼に愛され歌われている曲であり、ELPは右翼バンドだと位置付けられていて、自分がELPフリークだと告げると軽蔑されたとのことだった。
この情報は、Tと同じく右翼ではないワタシにも小さくないショックを与えた。いっしょに演奏した仲間もそのように見えた。が、そのショックの直後に、ワタシは自分の中でこの曲に対する思いが少しも変わらないことに気がついたのだ。そのときの気持ちはこんな風だった。
「惚れた女がヤーさんの娘だったとわかったときの気持ちとはこのようなものなのやも知れぬ」
ところで、ワタシは君が代という曲が好きだ。が、右翼ではないワタシは、自分の中の社会的政治的わだかまりゆえに、コンサートでこの曲を演奏することをためらいつづけている。
で、このたびのエルサレム・ショックに際してワタシは自問した。もし外国人の演奏家が君が代の背景を何も知らずに君が代を好きになり、コンサートで演奏したとしたら、ワタシは彼のことをどう思うだろうか、と。
答。ワタシは彼を支持する。
音楽に表現されている感情の正体とはなんだろう。それは、喜怒哀楽・愛憎という姿を取る以前の、高揚感や沈潜感などのより原初的な感情、言い換えればエネルギーではないだろうか。そこには思想信条が入り込む余地はない。そしてそのエネルギーが人類普遍のものであるがゆえに、音楽は国境を越える力を持つと同時に、思想とセットにされて政治利用されたりもするのではないだろうか。
そんなわけで、ワタシは君が代を演奏したいという外国人を、ワタシと同じく君が代に流れている人類普遍のエネルギーにふれて感動した人として支持する。
同様に、エルサレムを演奏したいというワタシ、つまりエルサレムに流れる人類普遍のエネルギーにふれて感動したワタシを、欧米の人々には支持していただければと願っている。そして、エルサレムという曲に惹かれながらも社会的政治的わだかまりゆえに演奏をためらう欧米人演奏家がいたとしたら、俗世で生きることの苦さを彼と分かち合いたい。
で、エルサレム・ショックのおかげで曲の社会的背景と演奏者の思いとのギャップの問題を整理するきっかけを与えられたワタシは、自分が君が代を演奏する日が近づいてきたような気がしているのだったとさ。
エルサレムの原曲は、百年ほど前にイギリスで作られ、今もイングランドで国民に広く歌われている。この歌はイスラエルのエルサレムのことを歌っているのではなく、エルサレムをひとつの理想郷とし、イングランドに理想郷を建設しようという内容を持っている。
さて、同窓会の二次会の席で、前便で書いたワタシと即興セッションをしたTから、この曲がどのような社会的背景を持っているかについての新たな情報がもたらされた。
やはりELPフリークである彼が言うには、彼の欧米人の友人たちによれば、この曲はずっとイギリスの右翼に愛され歌われている曲であり、ELPは右翼バンドだと位置付けられていて、自分がELPフリークだと告げると軽蔑されたとのことだった。
この情報は、Tと同じく右翼ではないワタシにも小さくないショックを与えた。いっしょに演奏した仲間もそのように見えた。が、そのショックの直後に、ワタシは自分の中でこの曲に対する思いが少しも変わらないことに気がついたのだ。そのときの気持ちはこんな風だった。
「惚れた女がヤーさんの娘だったとわかったときの気持ちとはこのようなものなのやも知れぬ」
ところで、ワタシは君が代という曲が好きだ。が、右翼ではないワタシは、自分の中の社会的政治的わだかまりゆえに、コンサートでこの曲を演奏することをためらいつづけている。
で、このたびのエルサレム・ショックに際してワタシは自問した。もし外国人の演奏家が君が代の背景を何も知らずに君が代を好きになり、コンサートで演奏したとしたら、ワタシは彼のことをどう思うだろうか、と。
答。ワタシは彼を支持する。
音楽に表現されている感情の正体とはなんだろう。それは、喜怒哀楽・愛憎という姿を取る以前の、高揚感や沈潜感などのより原初的な感情、言い換えればエネルギーではないだろうか。そこには思想信条が入り込む余地はない。そしてそのエネルギーが人類普遍のものであるがゆえに、音楽は国境を越える力を持つと同時に、思想とセットにされて政治利用されたりもするのではないだろうか。
そんなわけで、ワタシは君が代を演奏したいという外国人を、ワタシと同じく君が代に流れている人類普遍のエネルギーにふれて感動した人として支持する。
同様に、エルサレムを演奏したいというワタシ、つまりエルサレムに流れる人類普遍のエネルギーにふれて感動したワタシを、欧米の人々には支持していただければと願っている。そして、エルサレムという曲に惹かれながらも社会的政治的わだかまりゆえに演奏をためらう欧米人演奏家がいたとしたら、俗世で生きることの苦さを彼と分かち合いたい。
で、エルサレム・ショックのおかげで曲の社会的背景と演奏者の思いとのギャップの問題を整理するきっかけを与えられたワタシは、自分が君が代を演奏する日が近づいてきたような気がしているのだったとさ。
おしまい。
09.02.14 記
09.02.14 記
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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