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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#569 予 感

 物事がうまくいくときには、その予感がある。思い描くことがジグソーパズルの札となり、一瞬先の未来の真っ白なキャンバスにぴたりぴたりとはまっていく予感だ。まだ見ぬ新人さんからのメールは、開店休業状態の揚琴教室のバーチャル空間をさまよいつづけるワタシに、そんな予感を抱かせた。たった二便の短いメールは、揚琴に選ばれた人やも知れぬと直観させたのだ。

 直観は、ワタシに小さなジグソーの札を一枚ずつ、仕組まれたかのように適確に貼付けさせる。レッスン用の揚琴は、永らく使っていなかったにも関わらず、きわめて良好な状態に立ち上がった。生徒さん用に作るバチは細くて軽めのものがよかろうと思ったが、ちょうど二本だけ残っていた素材はまさにそうだった。バチの先にフェルトを貼付ける作業は、一発で成功する確率は低いのだが、二本とも一発で成功。何かに導かれてジグソーをしているような感覚はいや増していった。

 その新人さんのことは、名前と楽器経験とまだ揚琴を持っていないこと以外は、年齢も住所も職業も受講動機も身長も体重も家族構成も好物も、いや健全な地球人であるのかどうかすらわからない。それでいて、今自分が進めている準備と思い描いているその人のイメージ、レッスンの模様のイメージには大きな誤りはないという、確信のようなものがあった。

 で、当日が来た。なんてこった、今年いちばんの積雪じゃないかっ。レッスン会場の京都のコイズミ楽器さんまで無事に車でたどり着けるのだらふか。
「ここまでやってどうしようもない新人であれば、もう二度と揚琴教室などやらないのである」
 などとぼやきつつ、坂道に十二、三センチ積もった雪をシャベルでけずりつづけた。が、心は逆に、ここまでやる価値がある時間がすぐそこで待っているにちがいないと言い張っていた。

 さて、ジグソーに重要な一枚を加え、全体像を垣間みるときが来た。無事到着したコイズミ楽器さんのレッスン室のドアを開けると、あまりにイメージ通りの印象の人が立っていたので、逆に拍子抜けした。いや、思っていたより少し若い人だな。

 この新人さんには、始めにごく基礎的なことだけを伝え、あとは極力自由に弾いてもらうことにした。ワタシはと言えば、ほとんど黙って横に立っているだけだった。

 果たして、新人さんは揚琴体験初日にして、巴だ流揚琴の核心へと至る道の入口に自ら気づき、自然に反応した。核心とは、巴だ的調律と奏法が生み出す独自の響きのことだ。
「ふむ、どうやら揚琴のいちばんオイシイところに気づかれたと拝察し申す」
 とワタシが言うと、にっこり微笑んで続行。これを契機に、彼女の揚琴的世界は一気に広がった。

 なぜ揚琴をしてみたいと思ったのか。
「サントゥールを聴いて、サントゥールをやりたいと思って探しているうちに、揚琴を知ったので」
 ワタシと同じだ。 (※ サントゥールは揚琴のルーツになった楽器)
「倍音の響きに惹かれます」
 ワタシと同じだ。手に持ったジグソーの次の札を落としそうになった。

 が、こういう内発的な人は、知らずセンセイを傷つける。
「拙者が作ってきたバチは少し軽めであるが、この重めのバチとどっちが使いやすいか」
「(にっこり笑って重い方を持って)こっちです」
「拙者がバチに施した滑り止めの位置は、持ちにくければ変えても支障なく候」
「(やはりにっこりして少しずらした位置を持って)ここの方が持ちやすいです」
 このように、あと4回の予定のレッスンでは、喜ぶことの方が多いのだらふか。それとも傷つくことの方が多いのだらふか。なぜかこの点にだけは予感を抱けずにいるワタシ。それはもしかすると、少しは人並みに痛い目にも遭ってきたこの頭脳の、冷静さを保つための処世術なのやもしれない。

 おしまい。 
10.02.07 記 
すごい空の色だ。う〜ん、まだまだ降りそうだな。
雪の朝

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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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