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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#570 以心伝心

 個人レッスンであれグループレッスンであれ、楽器演奏の指導というものはどこまでも謎めいていて興味が尽きない。その理由のひとつは、それが人間という謎めいた存在を相手に行なうものだからだろう。謎めいた存在に音楽という謎めいたファンタジーのなんたるかを教えるのだから、その時間は当然謎めいた時間となる。謎めいた枕ですみません。

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 さて、指導者の末席を汚しているに過ぎないワタシでも、指導のための座右の銘にしている言葉がいくつかある。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
 演奏の指導に沿って解釈すると、まず自分が手本を見せ、その理論的背景や注意点と方法を説明し、生徒さんに実践してもらい、その結果を評価する、されば成果は上がる、という意味になる。
 この言葉は、太平洋戦争で連合艦隊司令長官を勤めた山本五十六の言葉だ。「ほめてやらねば」とは誉めることだけではなく、ダメなものはダメと伝えることも含めた評価全般のことだと思っている。そこには「はあい、とってもお上手でしたわよっ」てな演出や迎合があってはならない。

 もうひとつの座右の銘は、昔の芸能の師匠の言葉だ。
「言って聞かせなければならないようなことは、いくら言って聞かせてもわからない。言ってわかることは、言わなくてもわかる」
 結局、師匠は何も言わないということになる。
 この言葉は、理想的な師弟関係のあり方を表現しているように思う。またここには、師匠がすべきことが暗示されている。まず、弟子の力量を見極める。次に、弟子がその瞬間何を考え、感じ、どうしようとしているのかを理解する。そして、弟子が手詰まりになったときや進むべき方向を見失ったときに限り、最小限の助言を与える、と。
 弟子は弟子で、一から十まで師匠に頼ることなく、まず自分で考え、試し、観察し、工夫し、反省しなければならない。
 こうした互いのあり方があれば、師匠が弟子に言うべきことがほとんど何もなくなるのは当然だと思える。そしてそのようになればこそ最大限の成果が得られるという、逆説的結果が生まれるのだ。

 指導の本質とは、言葉ではなく「以心伝心」にちがいない。そこに欠かせないものは、絶えざる観察だ。忍耐という抑圧的行為は、不断の観察を支える力にはならない。それができる力とは、きっと開放的全方向的無心から生まれる力であり、おそらく愛なのだろう。弟子に対する愛、芸に対する愛だ。博愛主義だ。地球はひとつ、人類はみな競艇だっ。

 などということを感じることが多い今日この頃のレッスン時間。
 自分の指導において言葉が占めているウェイトがいかに大きいか、日々反省するところ多きワタシ。月に一度だけのレッスンでは、やってみせてさせてみるだけでは足りない、進むべき方向を言葉によって記録に残し、それを持ち帰ってもらって独習してもらうというのが、ワタシが採用してきた方法論だ。その上で、互いの間からいかに言葉を削り落としていくかを考えたいのだが、ついついしゃべりすぎてしまって、生徒のみなさん、しばしば目を白黒させるばかりとなる。で、今後はレクの力を借りて生徒さんの音そのものを記録として残して反省材料にすることを考えた。が、機械に頼るようでは以心伝心からますます遠ざかるようで、それはよかったとさ。

 おしまい。 
10.02.08 記 
氷が描く不思議な文様
氷
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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