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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#571 機密ほじほじ

 きのうときょうは、揚琴とオカリナの録音の仕事だった。両方の楽器を車に積み込んで、片道4時間かけてスタジオへ向かった。二日がかりのレコーディングだ。で、どこで、何のために録音したのか。それは明かせない。なぜ明かせないのか? それも明かせない。ふははははは。言いたいが言えないので余計に言いたくて言えなくて死にそうだ。

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 静かだ。自分の心臓の鼓動と耳の奥で鳴るシーーという音以外は、何ひとつ音が聴こえない。そんな空間で、揚琴のただひとつの音をコーーーンと響かせる。まるで真空の宇宙のただ中で揚琴の弦を打つような感覚になる。

 録音初日。いきなりノートとペンを持った研究員のみなさんに取り囲まれた。熱い視線が楽器に、質問がワタシに降り注ぐ。ワタシの下手な説明にも鋭く反応していただき感激。

 つづいて、まずはオカリナの録音開始。真っ黒なスピーカーから、二重ガラスの窓の向こうにいるプロデューサー氏の指示が聞こえてくる。
「はい、では次はこれこれこんな感じでお願いします・・・そう、それくらいですね」
「次はバリエーションでお願いします・・・はい、そんな感じで」
 なんだか、胃の検診のときにレントゲン室で技師さんの指示を聞いているような錯覚に落ち入って、笑いをこらえて吹く。

 二日目。揚琴のなが〜い余韻が消えるまで、静かにじっとしていなければならない。余韻は20秒はつづく。その間、雑念を捨て、お地蔵さんのようにただただじっとしている。それを、数十回、何通りものたたき方で行なう。身も心も響きに委ねてしまう。すると、20秒もあっと言う間だ。
「まるで修行みたいやね〜」
 と、エンジニア氏。いや、ガラスの向こうで聴いている方がもっとへんたいにちがいない。

 あるとき、雑音が入って、NG。
「すみません・・・ワタシです」
 休憩中にいただいたコーヒーが効いてきた。お腹が活発に動き始め、なが〜い余韻が響いているときに「ぐるるるる」ときて、それはまいった。以後しばらくの間、不随意筋の動きと戦う羽目に。

 ワタシが吹く音、奏でる音は、レコーダーに収録されるだけではなく、その場でディスプレイ上に波形となって現われ、チェックされる。心電図のようだった。やっぱりこのたびは人間ドックだ。
 オカリナは音をまっすぐに保つことがむずかしい楽器だ。それを、4本のオカリナのそれぞれ全音域に渡って、まっすぐな音を一個ずつ吹いて録音した。音の乱れはそのまま波形になって現われる。
「まったく乱れないね」
 それはよかった。え? なんだ、修行に耐えたワタシへのただのねぎらいの言葉か。

 このたびのワタシはと言えば、曲を演奏するのではなく、それぞれの楽器のごく基礎的な奏法を逐一やってみせるのに近い作業となり、それはそれでエネルギーを使った。オカリナでは、低音域を安定させることの困難さを再認識した。いつも生徒さんたちにえらそうに言ってさせていることを、すべて自分がマイクの前でやらされる羽目になったこの日。きっと、レッスンにレクなんか持ち出した報いだ。

 で、このたびは重要な機密に関わってしまったワタシ。今後ワタシの行動範囲には無数の監視カメラと盗聴器が仕掛けられ、お百姓や店員や子どもに扮したエージェントによって24時間体制で監視される。仮にこの機密を漏らすそぶりだけでも見せれば、直ちに抹殺されてしまう。もしワタシがある日こつ然と姿を消したならば、それはワタシがとうとう機密を保持できず、クライアントさんが雇ったゴルゴ13の銃弾の標的になったのだと思ってほしい。

 おしまい。 
10.02.11 記 
スタジオは、景観抜群の施設の中の一角にあった。
景色
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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