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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#576 高貴な仕事

 どうしてもうまく編曲できない曲というものがある。今、自分の演奏用として取り組んでいる曲がそうなのだ。以前、揚琴用に編曲して一年ほど演奏していたこの曲。気に入らなくなってお蔵入りして数年。このたびはオカリナ用にと。何年かに一度はどうしても演りたくなるのだが、やはりダメだ。きょうは朝から夕方までかかりっきりだが、ダメだ〜っ。

 わずか4小節のテーマ。これがすべてだ。3拍子だから、たったの12拍のメロディーだ。作曲者自身の編曲は、それは見事なものだ。冒頭で現れるこの4小節のメロディーが、ひたすらくり返される。最後まで、これ以外のメロディーはほとんど出て来ない。それを、ただオーケストレーションの変化だけで静寂から荘厳なクライマックスまでごく自然につないでゆき、末尾では感動的な大団円を迎えている。
 オーケストラだからこそ様々な楽器の組み合わせで変化が付けられるのだとも言える。が、ワタシはくやしい。オカリナだけでもなんとかなるはずだという思いは消えない。

 PCに向かって音符を入力しつづける作業は、もう行き詰まってしまった。目を閉じてメロディーを暗唱し、心の耳を可能な限り澄まし、心に広がるイメージを深く深くさらに深く掘り下げる作業にもどるが、これも限界に思える。あとは、原点にもどって、楽器を持って何度も何度も何度も何度も吹いてみるしかない。何種類ものオカリナで、何種類もの調で、原曲の表現やテンポにとらわれず、気の向くままに吹いてみるしかない。

 が、この「気の向くままに吹く」というのが、この曲のバアイとてもむずかしい。この、あまりに完成された短いメロディーの持つ力は、そのまま制約となっている。いや、今のワタシにとっては、制約というより呪縛と言った方がいい。ほとんど変化・発展のしようがないように見える。はっきり言って手が出ないってことだ。

 そうか、4小節だけ吹いて終わればいいじゃないか。が、それでは聴いている誰もがまさか終わったとは思わないだらふな。・・・そうか、すぐにお辞儀をすればいいだけのことだ。ダメでせうか。ダメでせうね。客席から物が飛んでくるでせうね。
 こうしていつも、楽な方向へ逃げ込もうとする。

 ときどき、もうイヤになってきて、
「なんだこれはっ。未来永劫くり返しが約束されているだけじゃないかっ。こいつは三流メロディーだっ」
 などと吐き捨てる。では、そのわずか4小節の三流メロディーのとりこになっている自分はいったい何なのだ。この曲と出会ってすでに三十年以上が過ぎたというのに、いまだに演奏したいという思いは消えず、それでいて手をこまねくばかりだ。こんな曲とはもう二度と出会えないだらふな。

 きのう出会った素晴らしい言葉を思い起こしてみる。
「すべて高貴な仕事は、最初は不可能に見えた」
 時間とエネルギーをかけて、不可能性を証明しただけならば、ただの徒労だ。ここまでの作業を「高貴な仕事」に昇華できるかどうかは、自分のねばりにかかっているのだらふ。いや、ねばりとは、つまり、欲だ。心の耳を研ぎ澄ませ、無心でメロディーに向き合い、聴こえてきた一瞬の変化を聴き逃さない鋭敏さを保ち続けることこそ作曲・編曲・演奏の唯一の道であり醍醐味だった。

 取りあえず、腹へったからメシ食おうっと。・・・これだからダメなんだな。

 で、じらしたわけではない。この曲は誰の何という曲なのか。それは、、、まだ言えない。
 またしても機密事項でそれはよかった。

 おしまい。 
10.02.21 記 
空模様も早春か。
空模様

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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