揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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その後の詳しい経緯は、順序立てては憶えていない。
参加者は時々休憩を取ったり、談笑したり、太鼓を叩いたりしていた。
近くの商店街に買い出しに行ったりもした。
ハンスト中の坊さん、尼さんたちは、通りの端に座り込んでうちわ太鼓を打ち鳴らし、祈り続けている。
参加者は時々休憩を取ったり、談笑したり、太鼓を叩いたりしていた。
近くの商店街に買い出しに行ったりもした。
ハンスト中の坊さん、尼さんたちは、通りの端に座り込んでうちわ太鼓を打ち鳴らし、祈り続けている。
状況はとても動的で、刻一刻変化していた。
断続的に太鼓が鳴り響く。
あちこちでマイクの叫び声。
親友の一人がいつの間にか誰かのワゴン車(それはもはや誰の物でもよかった)の屋根に上がり、マイクで叫んでいる。
「生きとし生けるもののためにーっ、今原発をーっ、どうたらこうたらーっっ」
その周囲に次第に人だかりができ、さらに左翼団体が押し寄せ、そこに警官たちが割り込み、もみくちゃになった。
「あっ、人が倒れてますっ、誰か人が倒れてますっ、どうか押さないでくださいっ」
女性がマイクでこう叫ぶのを聞いて駆けつけると、はぐれてしまっていたワタシの連れが倒れてもみくちゃになって動けないでいた。
ワタシは人垣に飛び込んで連れを引っ張り出した。
その後、警察の退去の呼びかけが次第に激しくなってきた。
それはもはや呼びかけではなく警告に近い。
すると、京都の友人のひとりがマイクを持った。
普段はどちらかと言えば寡黙で、人前で何かするような人ではない。
彼の呼びかけでダイ・インが始まった。
「わたしたちは死体です。死体は動けません。さあ、死体になりましょう」
何百体もの死体が大通りを埋めた。
冬の日ざしが少しは温めてはいたものの、背中に感じるアスファルトは冷たかった。
このダイ・インの模様は、その後どこの局だったか、テレビのニュースで放映された。
ダイ・インを始めて間もない頃。
警察車両の上でマイクを握るメガネをかけた警官の声が、極めて激しい口調に変化した。
「ただちにこの場から退去せよ。従わない者は、公務執行妨害で検挙するっ」
くり返し激しい口調で、しかし事務的に伝えられる「公務執行妨害」「検挙」という言葉に、その場に緊張が走った。
ワタシの心に、それまで確かにあった仲間たちとの連帯感を傍らへ押しやるほどの不安が芽生えた。
警察の「最後通牒」を合図に、四電本社の建物に向かって上手の方から、ついに機動隊の一群が現われた。
最後尾が見えないためか、ものすごい数に見える。
子どもの頃京都の市街地で育ちデモを見慣れていたワタシは、機動隊と学生の衝突も何度も見ていた。
が、手が届きそうな距離で目の当たりにする本物の機動隊は、まったく別物だった。
先頭集団は、みんな身長が3mはある!!
胴回りは山の杉の大木ほどもある。
どす黒い鉄兜をかぶり、右手で掴んだ抜き身の剣を高く掲げ、左手には恐ろしい図柄が施された盾を持っている。
そして、身体を左右にゆすりながら、半歩ずつ、じわり、じわりと、遠隔操作されているロボットの隊列のようにこちらへ迫ってくる。
全員が、まったく無表情で、それが何人の心をも萎えさせてしまうような威圧感を醸し出している。
年齢もよく見て取れない。
彼らは、それまで一度も見たことがない人種だった。
いや、自分と同じ人間とは思えなかった。
権力に操られる巨人たちの前で、「一般市民」は子どものように見えた。
比較的長身だと思っていた友人も、とても小さく見えた。
その場を離れようとしなかった人たちが、一人、また一人と、手もなく機動隊の盾に倒されて道路に転がる。
子ども連れの友人が叫んだ。
「子どもがいるんやぞっ」
誰からともなく「暴力反対!」の声が上がり、それは大通りに波のように広がっていった。
「暴力反対!」「暴力反対!」「暴力反対!」
それは、この日初めて沸き起こった全員参加のシュプレヒコールだったかもしれない。
マイクを持ったご婦人が絶叫した。
「子どもたち、よく見ておきなさい。これがおまわりさんよっ、あなたたちを守るはずのおまわりさんの姿よっ」
すばしこいワタシは、盾に倒される寸前で飛び退いた。
そして、みんなの方を向くと、知らず知らず腹の底から叫んでいた。
「やらせっ、やらせとけっ、抵抗せんと下がれっ」
そうなのだ。
機動隊の隊列から身を引いても、何も失う物はない。
少しずつ場所を変えて抗議を続ければよいだけなのだ。
「暴力反対!」に混じって怒号が飛び交い続けた。
あくまで動こうとしない者、後退を主張する者。
大混乱となった。
が、誰も機動隊に対して手は出さない。
が、下手を占めていた左翼団体が興奮している。
中の一人が、機動隊の隊列の中にハンドスピーカーを投げ込んだ。
と、四、五人の機動隊が襲いかかり、あっと言う間にその左翼氏を連れ去った。
そのようなことは、見た範囲でも数回あった。
何人かの「一般市民」も連れ去られたようだ。
(あとで聞いたのだが、それらは検挙ではなく「排除」という措置であったそうだ。つまり逮捕はされていない)
無表情の機動ロボット隊は、いつの間にか大通りの大半を「奪還」していた。
その後何がどうなったのか、よく憶えていない。
そのうちに、実験開始の時刻が迫ってきた。
それはたしか、午後3時だったと思う。(※ 違うやも知れない)
四電の正門の鉄格子にしがみつき激しく揺すりながら絶叫を続ける若者がいる。
短髪、メガネ、背広姿の一般市民だ。
閉ざされた鉄格子の向こうの四電の敷地内には、たくさんの警備員が困惑した表情で微動だにせず立ち続けている。
実験開始まであと数分。
太鼓の音が一段と激しくなった。
それとは対照的に、その場は次第に重苦しい沈黙に包まれていった。
となりに立っている美少女が、両手を胸の前で握り締めて祈っている。
女性はみんな、祈っている。
多くの男は呆然と立ち尽くし四電本社をにらんでいる。
そのときが来た。
太鼓が鳴り止んだ。
その場の全員が叫んだ。
「やめろーーーーっっっ」
「やめてーーーーっっっ」
怒号と悲鳴は次第に消えてゆき、みんな、座り込んだ。
・・・・・・・ つづく
12.07.07 記
断続的に太鼓が鳴り響く。
あちこちでマイクの叫び声。
親友の一人がいつの間にか誰かのワゴン車(それはもはや誰の物でもよかった)の屋根に上がり、マイクで叫んでいる。
「生きとし生けるもののためにーっ、今原発をーっ、どうたらこうたらーっっ」
その周囲に次第に人だかりができ、さらに左翼団体が押し寄せ、そこに警官たちが割り込み、もみくちゃになった。
「あっ、人が倒れてますっ、誰か人が倒れてますっ、どうか押さないでくださいっ」
女性がマイクでこう叫ぶのを聞いて駆けつけると、はぐれてしまっていたワタシの連れが倒れてもみくちゃになって動けないでいた。
ワタシは人垣に飛び込んで連れを引っ張り出した。
その後、警察の退去の呼びかけが次第に激しくなってきた。
それはもはや呼びかけではなく警告に近い。
すると、京都の友人のひとりがマイクを持った。
普段はどちらかと言えば寡黙で、人前で何かするような人ではない。
彼の呼びかけでダイ・インが始まった。
「わたしたちは死体です。死体は動けません。さあ、死体になりましょう」
何百体もの死体が大通りを埋めた。
冬の日ざしが少しは温めてはいたものの、背中に感じるアスファルトは冷たかった。
このダイ・インの模様は、その後どこの局だったか、テレビのニュースで放映された。
ダイ・インを始めて間もない頃。
警察車両の上でマイクを握るメガネをかけた警官の声が、極めて激しい口調に変化した。
「ただちにこの場から退去せよ。従わない者は、公務執行妨害で検挙するっ」
くり返し激しい口調で、しかし事務的に伝えられる「公務執行妨害」「検挙」という言葉に、その場に緊張が走った。
ワタシの心に、それまで確かにあった仲間たちとの連帯感を傍らへ押しやるほどの不安が芽生えた。
警察の「最後通牒」を合図に、四電本社の建物に向かって上手の方から、ついに機動隊の一群が現われた。
最後尾が見えないためか、ものすごい数に見える。
子どもの頃京都の市街地で育ちデモを見慣れていたワタシは、機動隊と学生の衝突も何度も見ていた。
が、手が届きそうな距離で目の当たりにする本物の機動隊は、まったく別物だった。
先頭集団は、みんな身長が3mはある!!
胴回りは山の杉の大木ほどもある。
どす黒い鉄兜をかぶり、右手で掴んだ抜き身の剣を高く掲げ、左手には恐ろしい図柄が施された盾を持っている。
そして、身体を左右にゆすりながら、半歩ずつ、じわり、じわりと、遠隔操作されているロボットの隊列のようにこちらへ迫ってくる。
全員が、まったく無表情で、それが何人の心をも萎えさせてしまうような威圧感を醸し出している。
年齢もよく見て取れない。
彼らは、それまで一度も見たことがない人種だった。
いや、自分と同じ人間とは思えなかった。
権力に操られる巨人たちの前で、「一般市民」は子どものように見えた。
比較的長身だと思っていた友人も、とても小さく見えた。
その場を離れようとしなかった人たちが、一人、また一人と、手もなく機動隊の盾に倒されて道路に転がる。
子ども連れの友人が叫んだ。
「子どもがいるんやぞっ」
誰からともなく「暴力反対!」の声が上がり、それは大通りに波のように広がっていった。
「暴力反対!」「暴力反対!」「暴力反対!」
それは、この日初めて沸き起こった全員参加のシュプレヒコールだったかもしれない。
マイクを持ったご婦人が絶叫した。
「子どもたち、よく見ておきなさい。これがおまわりさんよっ、あなたたちを守るはずのおまわりさんの姿よっ」
すばしこいワタシは、盾に倒される寸前で飛び退いた。
そして、みんなの方を向くと、知らず知らず腹の底から叫んでいた。
「やらせっ、やらせとけっ、抵抗せんと下がれっ」
そうなのだ。
機動隊の隊列から身を引いても、何も失う物はない。
少しずつ場所を変えて抗議を続ければよいだけなのだ。
「暴力反対!」に混じって怒号が飛び交い続けた。
あくまで動こうとしない者、後退を主張する者。
大混乱となった。
が、誰も機動隊に対して手は出さない。
が、下手を占めていた左翼団体が興奮している。
中の一人が、機動隊の隊列の中にハンドスピーカーを投げ込んだ。
と、四、五人の機動隊が襲いかかり、あっと言う間にその左翼氏を連れ去った。
そのようなことは、見た範囲でも数回あった。
何人かの「一般市民」も連れ去られたようだ。
(あとで聞いたのだが、それらは検挙ではなく「排除」という措置であったそうだ。つまり逮捕はされていない)
無表情の機動ロボット隊は、いつの間にか大通りの大半を「奪還」していた。
その後何がどうなったのか、よく憶えていない。
そのうちに、実験開始の時刻が迫ってきた。
それはたしか、午後3時だったと思う。(※ 違うやも知れない)
四電の正門の鉄格子にしがみつき激しく揺すりながら絶叫を続ける若者がいる。
短髪、メガネ、背広姿の一般市民だ。
閉ざされた鉄格子の向こうの四電の敷地内には、たくさんの警備員が困惑した表情で微動だにせず立ち続けている。
実験開始まであと数分。
太鼓の音が一段と激しくなった。
それとは対照的に、その場は次第に重苦しい沈黙に包まれていった。
となりに立っている美少女が、両手を胸の前で握り締めて祈っている。
女性はみんな、祈っている。
多くの男は呆然と立ち尽くし四電本社をにらんでいる。
そのときが来た。
太鼓が鳴り止んだ。
その場の全員が叫んだ。
「やめろーーーーっっっ」
「やめてーーーーっっっ」
怒号と悲鳴は次第に消えてゆき、みんな、座り込んだ。
・・・・・・・ つづく
12.07.07 記
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
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