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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#207 ボタン鍋

「節分過ぎても、まだまだ寒さきびしいのう。今晩も鍋にするか。おーい、お里」
「はい、旦那さま。牡丹鍋ですね」
「お、なんでわかるんや」
「今は猪にいちばん脂が乗る頃ですから」
「ふむ、きょうこそうまい牡丹鍋を食わせてくれよ」
「はい、旦那さま」

 市場で材料を仕入れて帰ってきた女中のお里は、きょうこそあの大きな野良猫に肉を取られないように、勝手口のとびらをしっかりと閉め、野菜を洗って、出汁をとって、牡丹鍋の準備をしておりました。
 ふと後ろを見ると、そこにはあのにっくき野良猫がすわって、舌なめずりをしております。猪肉はひと切れもありません。

「お、おまえはーっ、あ、あらかじめ台所に潜んでたのかーっ。かくなる上は、二度とここから出られんと思えよっ」

 ふてぶてしい野良猫は、ちっともあわてる様子もなく、その場にごろりと横になりました。今から猪肉を市場へ仕入れ直しに行ってては、とても夕げの刻限に間に合いません。お里は途方に暮れてしまいました。
 と、そのとき、外で誰かを探しているらしい人の声がします。

「ボタンー、ボタンやー。ウチのかわいいボタンやー」

 それを聞き付けた猫は、むくりと起き上がって、外に向かって「な〜お、な〜お」と鳴きます。
 お里は一計を案じ、素早く猫をつかまえて、口を手でふさぎました。

「旦那さま、牡丹鍋の支度をしておりますが、一度台所で材料をお改めください」
「ふむ・・・うわ、なんじゃ、その猪はっ」

 まな板の上には、四つ足を二本ずつ縛られた猪の子供がころがっております。身体には筆で描いたようなふぞろいの横縞があり、耳は糊でくっつけたように頭に貼り付いておりますが、鼻が短かいのが妙と言えば妙でした。

「新鮮なものをと思い、生きたままの牡丹を運びました。これからさばいてさしあげます」
「あほ、こんな猫みたいな顔の無気味な牡丹が食えるか。それもまだ子供やないか」
「このウリ坊は里に降りてきて悪さばかりするので、捕まえられて市場に出されていたのでございます」
「これは、どう見ても猫や」
「い、いいえ、牡丹です。どうぞ『牡丹』と呼んでみてください」
「ばかもん、牡丹が返事をするか」
「では、わたしが。これ、ボタンやー」
「な〜お」

 おしまい。 
08.02.02 
「雪止め」が付いた屋根瓦
屋根の残雪

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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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