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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#203 カモ鍋

「おーさむ。今夜はなんぞ鍋にするか。おーい、お里はおるか」
「はい、旦那さま」
「今夜は鍋がつつきたいな。なんぞ鍋の材料を仕入れて来ておくれ」
「では、鴨鍋でよろしいですか」
「あー、それがよい。ええ鴨を買うてきておくれ」
「はい、旦那さま」

 女中のお里が、市場で鴨を買って、てくてくと歩いて帰ってきました。勝手口にどっさりの野菜と鴨を置いて、土鍋を出しに行ったちょっとの間のことです。

「あっ、こらこらっ、待て、返せ、どろぼーっ」

 大きな野良猫が入って来て、鴨をくわえて逃げていってしまいました。

「あー、どうしよう。今からまた市場まで行ってたら、とても夕げの刻限に間に合わへん。旦那さまにしかられるわ」

 そこでお里は一計を案じ、無事夕げの刻限に、ぐつぐつ煮立つ鍋を旦那さんの前に置きました。

「おっ、これは野菜がえらい大盛りやの。鴨の姿がまるで見えんが」
「鴨は底の方にあります」
「底の方? 骨付きの鶏の鍋やあるまいし」
「楽しみはあとの方がよろしいかと」
「それもそやな。ごくろさん。ほな、お前もあっちでお食べ」
「はい、旦那さま」

「それにしても、食うても食うても野菜ばっかりや・・・あっ、もう底が見えてきよった。鴨はひとつも入っとらんかったやないか! おーい、お里!」
「はい、旦那さま」
「鴨がひとつも入ってへんやないか。さては、お前がみな食うたか」
「そんなはずはありません。旦那さまは、すでにカモをたくさん召し上がられました」
「こら、主人をおちょくるか。もうひと箸ネギを取ったら鴨が出てくるかもしれん、もうひと箸白菜を取ったら今度こそ鴨が出てくるかもしれんと思うて食うておったら、底の底まで野菜ばっかりやったわ」
「これがほんとの『かも』鍋でございます」

 おしまい。 
08.01.28 
またしても雪景色
雪の杉林

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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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