#426 司 会

#426　司　会

　来月の夢見るガチョウのコンサートでの心配事と言えば、前便で書いたフィナーレの大合奏だけではない。このたび辞令が下りた司会業務もある。センセイだから生徒さんのことはいちばんうまく紹介できるだろう、だからお前やれ、との天の声が下ったのだ。内輪の発表会ではいつも司会をしているが、外向けのコンサートで司会だなんて、噛みまくりそうだ。

　ほいほい引き受けてから、しまったと思った。いつもの調子で考えていては甘かったのだ。なにせ、参加グループは１５、総演奏時間３時間半の長丁場だ。その中にはワタシ自身の演奏時間３０分も含まれる。キンチョウするどころか、疲れるヒマもない。へたりこむヒマもない。倒れるヒマも、死ぬヒマさえない。

　だいたい、三年前に始まったこのコンサート、第一回ではワタシは「ゲスト演奏者」という立場だった。それが、フタを開ければ伴奏用ＣＤを回したり、照明の調整をしたりと、いつの間にか裏方の一員になっていた。第三回からはゲストの看板は下ろし、しっかり裏方を自覚した。で、このたびはとうとう司会だ。なんなんだ、この流れは。
　この分だと、来年は前座だな。

　グループ別演奏だけで１５回も舞台に出入りせねばならない。外にタバコを吸いに出るヒマもない。１０グループくらい過ぎたら、疲れてきてとんでもないことを口走ってしまいそうだ。

「つ、つ、次のグループは、えー、アンサンブル・・・えーと、アンサンブル・マスカット、ちがった、巨峰だっけか・・・」　ピオーネだってば。

「つづきまして、ぎーす、じゃなかった、アヒルってなんて言ったっけ？・・・え、アヒルじゃなくてガチョウ？ あ、ガチョウか、つづきまして、○山オカリナアンサンブル・オストリッチのみなさんです」　オストリッチはダチョウだってば。

「次のグループは、柚子のきもちのみなさんです・・・え？ レモン？ 失礼しました、ユズレモンのみなさんです」　レモンのきもち！

「・・・曲は『見上げてごらん夜明けの星を』『タカツキ南天さら回し歌』『夜空のスキャット』です」・・・言うまでもなく、見上げてごらん夜の星を、高槻寒天さらし歌、夜明けのスキャットだ。これ、マジで危ないな。

「いやー、よかったですねー、まちがったのにぜんぜん気にせず、うまくごまかしましたねー」　わざわざ言うな、バカ。レッスンじゃないんだぞ。

「はい、結構でした。出だしからなかなかていねいな演奏で、２拍目をしっかり感じつつ、無駄な力が抜けていましたね」　レッスンじゃないってば。

　この経験を無駄にせず、来年は同じく三時間半番組である紅白の司会を目指したいと思う。

　で、今夜も古典的に。また８分の６ですが。ＡＣ管です。
　↓

　おしまい。　
09.04.28 記　

アジサイをいただきました。

2009/04/29 (Wed) オカリナ TRACKBACK() COMMENT(0)