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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#430 発 芽

 近ごろの親は、ほんとうに子どもを叱らなくなったと思う。先日、演奏に行った先で、5歳くらいの女の子が演奏会場でつながれて飼われていた年老いたビーグル犬に石を食べさせようとしていた。母親は傍らで「まーちゃん、やめなさい」と言うだけだ。まーちゃんはつづける。「やめなさい」まーちゃんはなおもつづける。母親はそれ以上何も言わないし何もしない。

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 いくら石を押し付けてもビーグルが食べないので、まーちゃんは今度は草を食べさせようとする。母親は何も言わない。通りがかったワタシはたまりかねて「犬にそんなものを食べさせてはいけないのである。やめるべし」と注意した。子どもはとりあえず手を引っ込めた。母親は、ワタシを怪訝な顔をして見る。まるで、他人のワタシが子どもに注意することが不満であるかのようだ。
 この母親は、「やめなさい」と機械的に言うことだけで自分の責任をすべて果たしたつもりでいるようだった。

 いつだったか、デパートの売り場で、5歳くらいの男の子が仰向けになってひっくり返って、四肢をばたつかせて叫んでいた。言葉にならない言葉で、何かを訴えつづけている。かたわらにひとりの若い女性が立っている。口を両手で押さえ、今にも泣き出さんばかりだ。男の子は狂ったように身悶えしつづけている。そのとき、女性がふるえる声で男の子の名前を呼んだ。驚いたことに、この女性が母親のようだ。が、ただ立ち尽くすだけで、手を差し伸べようともしない。抱きかかえて連れ去ろうともしない。どうしていいのかまったくわからない様子だ。たまりかねた店員が近づいて母親に何やら話しかけたが、母親は両手で口をおおって立ち尽くすだけだった。

 こんな例は枚挙にいとまがない。いったい、若い母親の世界で何が起こっているのだろう。多くの母親が、叱り方を知らないように見える。

 母親が叱り方を知らないのは、他者が子どもを叱るところを見たことがないからではなかろうか。
 核家族化はどんどん進んでいる。それは、上の世代が身近な社会でどのようなときにどのように振る舞うかを見て学ぶ機会を奪ってきた。子どものしつけはその典型だろう。

 そして、核家族化の進行とともに、子どもにとっての権威の象徴である父親の家庭不在、ないし軟弱化も進んできた。子どもに有無を言わさず正しいことを叩き込む存在がいなくなってきたということだ。子育てのベテラン世代の知恵と経験を生かす道はないものだろうか。

 親の言うことなどまったく意に介さない子どもがふえつづけている。叱り方と叱られ方を知らない世代が多数派を占めるようになったこの国に、どんな未来が待っているのだろう。教育を過てば国を過つという。このままでは、若い世代が誰も年金を払わなくなっても文句は言えない。

 訳知り顔の大人たちは、子どもにきびしく接する人に対しては、ふたこと目には「今の子どもにはそんなやり方ではダメだ」と言う。が、教育とは迎合ではないはずだ。ゲーム機を手放さない子どもからゲーム機を取り上げ、抵抗すればぶんなぐれる親でなければならないと、ワタシは思う。

 えらそうに言ってるが、ワタシがただいま育てているものと言えば、稲と花くらいだ。きょう、とうとう苗代に播いた種籾が発芽した。種籾は自分では発芽する環境を選べない。まっすぐ育つか不幸にも枯れ果てるか、育てる人間次第だ。発芽のうれしさのあまり過保護にすることなく、よーく観察して、きびしくしつけて、味わい深くて人を幸せにする米に育ってもらいたいと思っているのだが。

 発芽は、雨の日のささやかで大きな歓びだったとさ。SG管でする。
 ↓

 おしまい。 
09.05.06 記 
この雨でいちだんと色鮮やかに。
ツツジ
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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