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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
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#498 奉納演奏

 演奏とは誰のためにするものなのか? まずは自分のため。そして聴く人のため。ほかにもいろんな場合がある。たとえば、神仏のために演奏する場合。その際、神仏の存在を信じている人は、自分が持っている神仏のイメージに対して演奏することになる。信じない人は演奏できないはずだ。では、きょうのワタシはどうだったのかというお話。

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 きょうは、京都の因幡堂平等寺のお彼岸の法要の場でオカリナを演奏した。同寺では昨年から神仏習合の法要を営んでおられる。神仏習合とは、神様への信仰と仏様への信仰を折衷して統合した信仰のことだ。平等寺は、神仏習合をコンセプトのひとつとしてきた宗派である真言宗のお寺だ。
 きょう、長き歴史を持つ木造の本堂で執り行われた「神仏合同御霊祭(みたまさい)」は、石清水八幡宮の神主さんと平等寺のご導師が交互にされる儀礼で進行していった。幾度かの儀礼の後、神主さんの祝詞が唱えられ、つづいてご導師の般若心経が読経された。そしてこれにつづいて、ワタシの奉納演奏となった。

 このたびワタシは、法要の後の参拝者さんたちの懇親の場での演奏に先立ち、法要の場での奉納演奏もご依頼いただいたのだった。つまり、神仏のために演奏せよということだ。
 粛々と進行する儀礼を眺めながら薄暗い本堂の片隅に座して出番を待っている間、ワタシは久しぶりに強い緊張感に支配された。で、その緊張感から逃れようとするかのように、ワタシは神主さんとご導師おふた方の祈りを引き継ぐにふさわしい演奏を奉納せんとして、ひたすら無心の境地を追い求めていた。が、このような場では「例によって」どのような下準備も策も心構えも無意味であり、無用であることを、この土壇場になってまたしても痛感するに至るのだった。

 さて、おふた方の深い祈りを聴いているうちに、その節回しと抑揚はワタシの体内深くに根付いていった。神主さんの祝詞の美しく響く第五倍音に身を委せていると、ワタシの重心は安定し、内部のエナジーがピーンと張り詰め、脳天から宙空へと向かう方向へ調えられていくのを感じた。ワタシはようやく緊張から抜け出し、ゆるぎない地点に立つことができた。そう、おふた方が創られた流れに乗り、それを受け継いで演奏するだけでいいのだと確信できたのだ。

 奉納演奏をする際にワタシは、そこがお寺であろうと神社であろうと、自らの信仰にしたがって演奏することとなる。ワタシの信仰とは、ワタシが感じる「神秘」というものに対する親愛の情と畏れの気持ちのことだ。ワタシは、この「神秘」こそが、古来人々の心に神仏というイメージを描き出してきた想像力の源泉ではないかと思っている。またこの源泉は、すべての独創的創造作業を生み出してきた存在だとも思う。
 奉納演奏もまた、独創的創造作業たることが求められる。なぜならそれは、けっして形式的なものに堕してはならないからだ。そこでワタシは、常日頃の「神秘」に対する態度をもって演奏しようとする。その態度とは、無心であること、ただそれだけだ。が、結局はいつも、その無心は求めては得られない、いや、求めるからこそ得られないもの、「神秘」から受け取るしかないものだと思い知るに至るのだ。

 きょうの奉納演奏の場でワタシは、おふた方の祈りを受け継ぎ再生産する存在でしかなかった。が、そうしたことは、奉納演奏者たることの必要十分条件であったのではないかと思える。そしてワタシが選んだ Amazing Grace という曲は、少なくともワタシにとっては、この役割を果たすに最適の曲だった。この曲は、その場に充溢したエナジーを自由自在な間と息使いによって描き出し、人々の信仰を代弁することができる曲であるとの答を、ワタシは奉納演奏のご依頼と共に受け取っていたように思う。

 お盆には霊園で演奏したし、お彼岸はお寺だったし、クリスマスは教会かな。

 おしまい。 
09.09.20 記 
お彼岸に咲く彼岸花
彼岸花09
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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