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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#268 味わえる人

 人間の舌は主に先端で甘み、両端前部で塩味、両端後部で酸味、いちばん奥で苦みを感じるという説を、事実だと思っていた人はかなり多いだろう。が、あれはウソだそうだ。舌はどの部位でもだいたい同じ様に味覚を感じるそうだ。であれば、「味わう」という行為は空間的に行なうものではなく、もっぱら時間的に行なうものだと言えることになる。

「味わう」という言葉は、味覚にとどまらず、聴覚・視覚・嗅覚においても用いられる。味わうという行為に耐える対象物は「味わい深い」「味わいがある」などと言われる。「味わい深い人柄・人生」などと言うこともあるな。が、味わい深い音楽とはどのようなものか、具体的に示すとなればなかなかムズカシイ。

 そもそも、音を、ただ聴くだけではなく、味わうとはどういう状態を指すのか。それは、味覚を思い起こせばわかりやすい。

 たとえばカレーのように辛み・甘み・酸味・塩味・苦み・渋みが渾然一体となった料理をじっくりと味わうとき、それぞれの味覚が時間差を置いて感じられる。それらはもちろん明確に区別されるわけではないが、漠然と「カレーの味だ」ですまさなければ、さまざまな味を感じ取ることができる。そして様々な味の調和が取れていれば「おいしい」となる。

 同じ様に、音も、漠然と「ピアノの音だ」ですまさずにじっくりと「味わえば」、さまざまな音色が聴こえてくる。それは笛の音のようでもあり、トライアングルのようでもあり、チェロのようでもあり、人の声のようでもある。それらは、やはり味覚と同じように時間差を置いて聴こえてくる。で、ピアノの音色というものは、そのようなさまざまな音色が渾然一体となって創り出されているものだということがわかる。

 ひとつひとつの食材を深く味わえる人でなければ、味わい深い料理を作ることはできない。同じ様に、音を深く味わえる人でなければ、味わい深い音を生み出すことはできない。
 さて、音を味わうとき、その味わいは時間差を置いて感じられると書いた。ということは、音を味わうための第一歩は、漠然と聴かずにじっくりと聴くことだと言える。どんな音でもじっくりと聴く習慣が肥えた耳を養う。そして、味わい深いいい音は肥えた耳のみが生み出す。
 刺激が強い音を求めているうちは、味わい深い音にはなかなかたどりつけないように思う。刺激が強い音を求めること自体にはなんら問題はないが、それだけで終わってしまうとき、それは底が浅いと言われる。つまり、強い刺激は急激に浸透するが多分に一過性のものであるということだ。逆に味わい深い音は、心に深く根ざすことが多いのではないだろうか。

 じっくりと味わう能力と年齢との因果関係を証明することはワタシにはできないが、一般的傾向として、歳とともにじっくりと味わう能力は磨かれていくように思う。磨けばの話だが。

 お仏壇に明かりを灯してお線香を立てて「チーン」とやる。その音が完全に消え入るまで静かに聴き続けるだけでも、この世界に対する自分の感覚はずいぶん変化する。時々刻々変化するリンの音が消え入るまさにそのとき、周囲のすべての音が持つ意味は大きく変わる。いい音を出したい方は、たまにでもいいから、ぜひつづけてお試しあれ。
 え、そんな悠長なことはしてられないって? そうですか。おいそがしいのですね。ではせめて、伴奏の音が消え入るまではじっと聴いていませう。

 つづく、かも。 
08.06.13 
ホタルブクロ
ホタルブクロ

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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