揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#463 記念撮影
「巴だリョウヘイさまでございますね。たいへんお待たせいたしました。どうぞこちらへ」ていちょうに通された次の間は、少し薄暗く、エアコンが寒いくらいに効いている。照明はいたってシンプルだが、そこかしこに配置された最新式のデバイスのメカニカルな雰囲気とマッチしているとも言える。バーテンダーは、見事な手つきでドリンクをシェイクし、ワタシの前にトンと置いた。
「巴だリョウヘイさまでございますね。たいへんお待たせいたしました。どうぞこちらへ」ていちょうに通された次の間は、少し薄暗く、エアコンが寒いくらいに効いている。照明はいたってシンプルだが、そこかしこに配置された最新式のデバイスのメカニカルな雰囲気とマッチしているとも言える。バーテンダーは、見事な手つきでドリンクをシェイクし、ワタシの前にトンと置いた。
「では、こちらからお飲みください」
いかにも人工的な香りがする。意を決して舌の上にすべりこませると、たちまち強い刺激が口一杯に広がり、ずずっと飲み込むやいなや胃袋が膨満していった。
「全部飲まれましたね? では、つづいてこちらをどうぞ。はい、ぜんぶ飲んでくださいね。ぜ〜んぶ飲んで・・・ぜ〜んぶ・・・はい、ぜ〜んぶ」
く、苦しいっ。が、ていちょうな言葉とは裏腹に、白い長衣を身にまとったバーテンダーの目はしっかりワタシを監視し、ヨーグルト風味の謎の飲み物の一気飲みを強要しつづけていた。
ふらふらした足取りで奥の間へ進み、固いベッドに倒れ込んだ。遠のく意識の中で、誰かがワタシに指示を出すのを聴いた。
「はい、右回りに三回回ってください」
なぜそんなことをさせるのだろう。が、とにかく、逆らうと命が危ういというほどの語気を感じ、言われた通りにした。
うっ、気持ちが悪い。胃がすこぶる重たい。
「はい、手すりをしっかり持って、少し右側へ身体をひねってください。はい、そこで止まって」
む、これはすでに指示ではなく、命令だ。
ああ、部屋が、世界がぐるぐる回り始めた。ワタシははめられて、一服盛られたのだらふか。
「はい、今度はうつ伏せになって」
背後を見せるのは危険だ。が、逆らっても命が危ない。ベッドから転がり落ちそうだが、手すりをつかんで耐えた。
飲んだものを吹き出しそうだ。
「もうしばらくゲップは我慢してくださいね。唾を飲んで」
うぷっ、唾なんか飲んだらよけいに吹き出しそうだってば。
いつのことだったか、初めてこの特別仕様車に乗せられるのを待っているときに見た、地獄のような光景が脳裏をよぎった。ここから出て来る者は、みんな口から白い泡を吹いているのだ。いったい中で何が行なわれているのか、外からは一切見えないことが、恐怖感を増大させた。
拷問的生態検査は一時間ほどにも感じられた。
「巴ださま、お疲れさまでした。下剤の量はふつうでいいですか?」
「い、いいとも」
「では、そこの水ですぐにお飲みになって、それから、水分をできるだけたくさん採ってください。これで本日のご予定はすべて終了です」
特別仕様車を降りた途端、なが〜いため息が出た。
「げふううぅぅぅっっ、げえっぷ・・・げふっ」
きょうは毎年恒例の住民検診。X線撮影による胃がん検診は毎年受けている。ここに記されたバーテンダーこと日本がん協会の医療技術員さんのセリフは、ほぼ実際のままだ。が、どんなに丁重な態度で接していただいても、バリウムがおいしくなるわけではない。どうせならヘリウムを飲んで空にぷかぷか浮いてる間に検査してほしいとさ。
いかにも人工的な香りがする。意を決して舌の上にすべりこませると、たちまち強い刺激が口一杯に広がり、ずずっと飲み込むやいなや胃袋が膨満していった。
「全部飲まれましたね? では、つづいてこちらをどうぞ。はい、ぜんぶ飲んでくださいね。ぜ〜んぶ飲んで・・・ぜ〜んぶ・・・はい、ぜ〜んぶ」
く、苦しいっ。が、ていちょうな言葉とは裏腹に、白い長衣を身にまとったバーテンダーの目はしっかりワタシを監視し、ヨーグルト風味の謎の飲み物の一気飲みを強要しつづけていた。
ふらふらした足取りで奥の間へ進み、固いベッドに倒れ込んだ。遠のく意識の中で、誰かがワタシに指示を出すのを聴いた。
「はい、右回りに三回回ってください」
なぜそんなことをさせるのだろう。が、とにかく、逆らうと命が危ういというほどの語気を感じ、言われた通りにした。
うっ、気持ちが悪い。胃がすこぶる重たい。
「はい、手すりをしっかり持って、少し右側へ身体をひねってください。はい、そこで止まって」
む、これはすでに指示ではなく、命令だ。
ああ、部屋が、世界がぐるぐる回り始めた。ワタシははめられて、一服盛られたのだらふか。
「はい、今度はうつ伏せになって」
背後を見せるのは危険だ。が、逆らっても命が危ない。ベッドから転がり落ちそうだが、手すりをつかんで耐えた。
飲んだものを吹き出しそうだ。
「もうしばらくゲップは我慢してくださいね。唾を飲んで」
うぷっ、唾なんか飲んだらよけいに吹き出しそうだってば。
いつのことだったか、初めてこの特別仕様車に乗せられるのを待っているときに見た、地獄のような光景が脳裏をよぎった。ここから出て来る者は、みんな口から白い泡を吹いているのだ。いったい中で何が行なわれているのか、外からは一切見えないことが、恐怖感を増大させた。
拷問的生態検査は一時間ほどにも感じられた。
「巴ださま、お疲れさまでした。下剤の量はふつうでいいですか?」
「い、いいとも」
「では、そこの水ですぐにお飲みになって、それから、水分をできるだけたくさん採ってください。これで本日のご予定はすべて終了です」
特別仕様車を降りた途端、なが〜いため息が出た。
「げふううぅぅぅっっ、げえっぷ・・・げふっ」
きょうは毎年恒例の住民検診。X線撮影による胃がん検診は毎年受けている。ここに記されたバーテンダーこと日本がん協会の医療技術員さんのセリフは、ほぼ実際のままだ。が、どんなに丁重な態度で接していただいても、バリウムがおいしくなるわけではない。どうせならヘリウムを飲んで空にぷかぷか浮いてる間に検査してほしいとさ。
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
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特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
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今も自然農見習い。
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