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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#407 三界に住処なし

 女の人は、生まれ育った家で中年になるまで暮らすケースは少ないだろう。が、男はけっこうある。商売や農業といった家業を継いだりすると、死ぬまで引っ越しを経験しない場合だってある。そんな人は、たびたび引っ越しをする人と比べると、歳をとるという感覚が少しちがっているやもしれない。家とともに年輪を重ねていく暮らしとは、どんな感覚なのだろうな。

 昨年末、ワタシの小学校の同窓会の準備委員会が立ち上がった。散り散りばらばらになった同窓生たちの消息は、今も地元で暮らす同窓生の中学の同窓会名簿に頼るしかなかった。その名簿によると、卒業時の児童37名のうち13名が現住所不明、1名が故人となっていた。
 児童が37名というのは、ひとクラスの人数ではない。我が母校は、今は死語となった「ドーナツ現象」の真ん中に位置した街なかの小さな小学校だったので、ワタシの学年の全員で37名だったのだ。そして今から二十年ほど前だっただろうか、母校は廃校になってしまった。まるで今の過疎の山村の小学校だ。

 で、その中で、生まれ育った家で今も暮らしている人が5名いた。すべて男子だ。その多くはやはり家業を継いでいる。勤め人は遠方へ行ってしまっているケースが多いが、生家からさほど遠くないところで暮らす人も多い。女子は全員が家を出ていて、大方は無事嫁いだものと思われる。

 ワタシが十五歳まで暮らした家は、その後小さなマンションに建て替えられ、一階が中古レコードショップとなり、今は若い女性たちが切り盛りするおしゃれなカフェになっている。三年前にそのカフェでお茶を飲んだ。ワタシがすわった窓際の席は、母が仕事場にしていた部屋があった場所だった。ワタシたちが寝ていた場所では知らない若い女性がコーヒーをいれていた。人生の不思議。

 生まれ育った家を出て暮らしている人と、ずっとそこで暮らしている人とは、ふるさと観もまた、少しちがっているやもしれない。これまでに七度の引っ越しを経験し、すでに生家がなくなってしまったワタシには、生まれ育った地域を自分の唯一のふるさとだと、自信と誇りを持って言いきれない面がある。心の隅に居続けるその小さな自信のなさは、ふるさとというものに対する憧れを生んだ。生まれ育った家を出た後も家がそこにあって家族が暮らしている人と、生まれてからずっと同じ家で暮らしている人が、少々うらやましいのだ。それは、子どもの頃に抱いた「いなか」というものに対する憧れに似ているような気がする。その憧れは、帰るところがほしいという思いだと言える。

 で、女性のふるさと観も、男性とはずいぶんちがっているのではないかと思う。「女、三界に住処なし」という言葉は、女性には精神的安住の地がないという意味合いが強いが、それならば、女性にとってのふるさととはなんなのだろう。

 生まれ育った家がなくなってしまったワタシには、今はふるさととは自分で作るものだという気持ちがある。その一方で、生家があった地域はやはりふるさとだとの思いもある。そして、その思いを保たせているものは、あの街がかろうじて留めているかつての風景だけではなく、今もそこで暮らしている幼なじみの存在だということに気がついたのは、近ごろのことのように思う。
 ふるさとのイメージとは、「人」が占める部分が大きいのだろうか。であれば、女性にとってのふるさととは、現在の家族のことなのだろうか。

 とまれ、あの街がやっぱり自分のふるさとだと言い切りたい気持ちを抱きつづけているワタシは、同窓会で幼なじみや先生と話すことで、一気にふるさと再生を図ろうと考えているようだ。

 おしまい。 
09.03.21 記 
もうすぐ開花
桜開花前

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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