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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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6月30日、田植えが終わった。
とは言え、田んぼで今いちばん大きな苗はすでに葉先を伸ばすと地上60㎝にまで伸びている。
もはや苗じゃないな。
「#861 独創的田植え 1」から何度か書いてきた野生化稲だ。
苗代育ちの苗はと言えば、最後に植えた苗はいまだ20㎝前後。
田植えを始めたのが6月19日。
たった11日で40㎝もの差がつくはずはない。
では、この差はなぜ生じたのか。

拍手[1回]


野生化稲


そもそも、田植えを始めた時点で、野生化稲の最大のものは30㎝を超えていた。
一方、苗代に所狭しと並んでいた苗は、15~20㎝。
すでに15㎝の差がついていた。
この差は、発芽の時期の違いによる。
苗代で種籾が発芽した5月中旬、野生化稲はすでにかなり育っていた次第だ。

加えて、その後の成長のスピードの違いもある。
野生化稲の最大のものは、この11日間で30㎝ばかり伸びたことになる。
一方、6月19日に最初に田植えをした苗の最大のものは、今は40㎝ほどだ。
こちらは11日間で20㎝伸びた計算だ。
野生化稲はその大きさだけではなく、成長のスピードもずいぶん速いということになる。
それはそうだ。
苗代育ちの苗は、田植えをする際に根が切られるので、根付くまでいったん成長を止めるのだから。
加えて野生化稲の根はすでに縦横無尽に張り巡らされているから、この時期の栄養の吸収量は苗代苗と比べて段違いだと考えられる。

このように、成長のスピードだけを見ても、野生化=直播きの方が苗代&田植えより優れた栽培手法だと思える。
であるのに、古来米作りの手法の主流が田植えであるのはなぜか?

・・・・・

ところで、上記の例くらいに育っている野生化稲は、他にも少なからずある。


ずらりと並んで力強く開帳しているこれらの株。
この姿だけでも、稲という植物の概念を変えるに十分やもしれない。
野生化稲と言っているが、元は苗代に播かれた籾と同じく、普通に獲れた何の変哲もない籾だった。
それがどうだ、今やどこの田んぼにも勝るとも劣らない威容を誇っている。
少なくとも、隣近所の田んぼにはこんな稲はまだ無い。

野生化稲の成長の記録は、稲の栽培手法に対する重要な問いかけをはらんでいると思う。
つまり、田植えが良いのか直播きが良いのか。
ワタシのような見習いには身に余る問いだが、自然農に身を投じている人すべてにとって、おそらく最も興味深い問いのひとつではないだろうか。

職業農業における技術論は、常に経済効率とセットで考察されてきた。
反当たり何俵獲れるか、いかに元手をかけないか。
それが農家にとっての至上命題であり、揺るがない価値観であると言っていいようだ。
が、手前が食べる分だけを作ることを目的にする自家栽培は、プロ農業と同じ価値体系の中で技術を考える必要はないはずだ。
ことに自然農においては、たとえ効率が悪くても、自然の移ろいの中で理にかなった作物を作る術こそが、技術と呼ばれるべきものだろう。
「いかに野生的に栽培するか」これこそが自然農だ。
米作りの場合、直播きが野生的稲を育てるにふさわしい手法のひとつであることは疑いを入れないだろう。

・・・・・

話はもどる。
では、ほとんどのお百姓、そして自然農実践家が種籾を直接田んぼに播かず、わざわざ苗代や育苗機で苗を育てて田植えをするのはなぜか???

苗代などで苗を作り水田に田植えをするメリットは、ひと言で言えば次の2点になるようだ。

・苗を作りやすく集中管理できる。
・雑草対策が容易になる。

言い換えれば、直播きは種籾の生存率と発芽率、苗の生存率が苗代式より劣っているということになる。
つまり、実は苗代&田植えの方が効率が良いということだ。

プロ農業で無くたって、自然の理に逆らわない限り効率が良い方がいいに決まってる。
だから、自然農と田植えは何も矛盾しない。
それに苗代式は、稲は苗の間は互いに支え合って育つ「共生植物」であるという特質を生かした栽培方法だ。
自然の理に適っている。
が、野生化稲の育ちっぷりを見ると、どうしても直播きにこだわりたくなる。
それも、土中で越年させ、自然の移ろいに添って発芽させる直播きだ。

そのような稲の株は、発芽が早く、したがって成長の進捗が速く、しかも寒さや霜に耐えて生き残ったものは頑強であり、したがって他の草に負けにくく、おそらくそのことと田植えによる成長の停滞時期が無いことによって最大成長期の成長率も優れ、したがって他の草にいっそう負けにくくなるというアドバンテージがある、と自然農見習いのワタシは今思う。

ただし直播きは、前記の通り、種籾の生存率と発芽率、そして苗の生存率は苗代式より圧倒的に劣る。
それゆえにおそらくは、そのままでは田んぼ全体の収量では田植え稲に劣ってしまうのだらふ。
さてどうするべ。
この点について試行錯誤することは自然農田んぼの最大の楽しみのひとつでもあると思っている。
実は直播きを生かした栽培方法のひとつはすでに見えてきている。
が、それについてはまた次の機会に。

ちなみにこの一条は、4月23日に苗代に播種した後5月1日と2日に実験的に直播きしてみた苗たちだ。


発芽したのは苗代苗の発芽の7日後だったのに、ほとんどが苗代苗より大きくなっている。
直播き苗の成長は、当年播きにしてこのように優れている。
苗代とほぼ同じ方法で土を整備して5、6粒ずつを点播きしたが、発芽率はたいへん良かった。
が、このように手厚く育てていては野生性が損なわれる上に、苗代式に比べて効率がますます落ちる。
だから、目指すはできるだけ自然状態で播くやり方、すなわちなるだけ土に手を入れずに、冬までに播いて越年させる直播きになる。

越年直播きの成功例として、福岡正信さんの粘土団子播きがある。
籾を粘土で作った小さな団子に仕込んで播き、その上にワラを振り撒いておく。
籾を鳥、虫、他の草、寒さ、乾燥、腐敗から守る知恵だ。
が、それとて素人にはこの粘土団子ひとつなかなかうまく作れないそうだ。
直播き用手押し籾播き機というものもあるそうだが、これについてはよく調べてみたい。


振り返れば、去年までもそうだった。
田んぼの田植えエリア以外で野生化して育っている稲の方が大きく実り多く美しかった。
稲だけではない。
畑で作る野菜もまた、こぼれ種が育って野生化したものが最も大きく、美しく、おいしかった。
だからワタシは、脱田んぼ、脱畑を夢見てしまう。
野生化した稲や野菜に惚れ込んでしまったのやもしれない。

てことで、直播きの夢を追い続ける羽目になってしまいそうなワタシがいる。
それは、幾多の人々が追いかけても果たせなかった夢でもある。
この夢の種は、新しい田んぼを借りることが決まったときにすでに播かれていたのだらふか。
出会いからここまで、あまりにぴたりぴたりとはまる出来事が多かったマイニュー田んぼとのいきさつがそう思わせる。
そうだ、そうにちがいない。
なぜならその田んぼには、借りる前からすでに野生化稲の種籾がたっぷりと播かれて眠りに着いていたのだから!!
 おしまい。 

13.07.02~04 記 
平均的な野生化稲たち

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管理人について

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所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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