#789 自 活 ？

誰のものでもない竹やぶ。
竹を切り出してくる。
畑で使う支柱用なのだ。
ずいぶん伸びた若竹。
一本180cmの支柱が三本取れる。
畑用の支柱、金属製のものが売っている。
竹を切って運ぶ作業と耐用年数を考える。
おそらく、金属製を買った方が経済的なり。
が、竹を切って使う。
悪かったなっ。

自分の手で竹で支柱を作ることができる。
が、金属製の支柱を買うとする。
そのバアイ、支柱の製作を誰かに代行してもらうってことだ。
お金を払って。
で、自分は支柱を作るはずだった時間を他の仕事に当てる。
本職に当てれば、たいてい支柱の代金以上の収入を得ることができる。
だから、「金属製を買った方が経済的なり」という結論となる。

こんな風に、この社会は分業で成り立っている面がある。
が、自分の時間をお金に換えることをしない者はこの限りにあらず。

自分の時間をお金に換えることをしない、つまり成果主義。
自由業者、自営業者はだいたいそうだな。

アスファルトの上で暮らしていた頃にはなかった作業のひとつ、ザ・草刈り。
一円にもならない。
が、やらないと住環境を維持できないなり。
この草刈り、人を雇って代行してもらうことも可能。
と、草刈りの時間を自分の仕事に充てられる。
逆に言えば、草刈りを自分ですれば自分の仕事ができなくなる。
収入が減る。
が、それも、その時間を充てる仕事があればの話。
あるいは、その時間を仕事を得るための活動に充てるつもりがあればの話。

自分の仕事に専念して少しでも多くお金を稼ぎ、その他の作業は代行してもらうという道。
収入は減るが、自分でできることは自分の時間を使って自分でするという道。

前者は分業の道だ。
一見、前者の方が仕事をシェアするから多くの人が潤うように見える。
が、自分は収入は増えるが支出も増える。
また、経済全体のパイの大きさは同じだから、一人一人の収支は変わらない。
勤め人はイヤでも分業にするしかないバアイ多し。

後者は、言わば自活的な道だ。
このバアイ、自分が本職を減らすわけだから競争相手だけが潤うように見える。
が、自分は収入は減るが支出も減る。
また、経済全体のパイの大きさは同じだから、やはり一人一人の収支は変わらない。
お百姓はイヤでも自活的に生きるしかないバアイ多し。

で、ワタシはできるだけ自活的な暮らしをしたいと考え、ずっと実行してきている。
何故か。
仕事がたくさんある所、要するに街に住んで、要するに他者の時間と価値観に合わせてより多くの仕事を得るよりも、自分の本職と収入を犠牲にしてでも自分のペースに合った暮らしを選んだと言えるのやもしれない。
んにゃ、これが楽なんだべ。
いつまでつづけられるかは知らんが。

よくこんなことを言われる。
「草刈りをするヒマがあれば、もっと仕事をしてくで」
「畑や田んぼなんかやってる時間があるんだったら、もっと早くわたしに楽譜を作ってくで」
だから、草刈りも畑も田んぼも営繕も雑用も趣味も仕事も何もかも、ほとんど境界がないのでする。
言い換えれば、草刈りも経済活動の一環なのでする。
ゆるしてくだされ、と誰にともなくお願いする。

きょうも一日、草刈り、竹切り、柵作り。
楽譜も作ったし勉強もした。
世間では日曜日だっけ。
で、ほとんど資本主義経済の外で生きることができたような気がするが、それは気のせいなんだな。
再掲【山頭火の嘆き】分け入っても　分け入っても　高い利子

　おしまい。　
11.06.05 記