#784 切 羽

うーむ、手こずっている。
前日だというに。
明日は大事な生徒さんたちの発表会だというに。
「大事な生徒さんたち、の発表会」か「大事な、生徒さんたちの発表会」か。
だいたいおんなじことだな・・・って、何を無駄なつぶやきを。
思わぬトラブルで、いろいろ準備が手こずっているのだが。
もうこうなりゃ、究極のながら族だ。
待てよ、長良族は山形県人だったか・・・って、また無駄なつぶやきを。
伴奏用音源をダビングしながら聴きながらチェックしながらこれを書く。
・・・って、少しもながらじゃないじゃないか。

こんなことしている場合ではないのら。
暗譜はどうするのら。

歳とともに記憶力が衰えるのは仕方がない。
が、衰えを補う知恵が付いていくはずだ。
どこに集中すべきかの判断、どの部分にどれくらいの時間が必要かの予測、仕上がりの度合いと本番の完成度の相関関係についての理解、などなど。
が、わかっちゃいるけど知恵付かない。

曲の細部がなかなか身に付かない。
たかだか計１５分程度の新曲なのに、だ。
もう時間がなさそうだな。
暗譜作業ばかりは、他の音楽を聴きながらするわけにはいかないからな。

「全体のうち最も困難な２０％を克服できたならば、全体の８０％を仕上げたことになる」
有名な法則だ。
が、その２０％は、現時点では、丸々と残っている。
それはよかった。

とにかく、ワタシは忙しい現代人なのだ。
常に古典的法則に従ってことを進める時間などないのだ。
もっと効率が良い手法を探るのだ。
って、都合の悪いときだけ現代人になろうとする。

おっ、眠たくなってきたぞ。
まだ１１時だが。
たまには早寝早起きするか。
って、都合の悪いときだけ人間らしい生活にもどろうとする。

まあ、生徒さんたちはみんないい感じに仕上がっていたから、ワタシのコーナーくらいもたもたしてもだいじょうぶだな。
きょうもレッスンしたグループがあったが、見違えるやうにいい音になったし、気合いも十分だったからな。
ん、センセイがそれではいかんか。
いかんわな。
反面教師的講師って、ネタ未満だな。

せっぱつまった。
へんたいだ。

「へんたいだ」か。
こういうときにこそ言うべき言葉だな。
今言わずにいつ言うのだ、という感じであるな。

「せっぱつまった」って、漢字で書くと「切羽詰まった」だな。
切羽ってなんだらふ。

せっ‐ぱ【切羽】
１
刀の鐔（つば）の表裏が、それぞれ柄（つか）と鞘（さや）に接する部分に添える薄い金具。
２
差し迫っていること。また、その場面。急場。どたん場。
「生きる死ぬるの—ぞと」〈浄•五枚羽子板〉

だそうだ、辞書、えらい。

１の意味だと、さっぱりわかんないな。

２の意味だと「生きる死ぬるの土壇場が詰まったぞ」って、なんなんだ。
切羽詰まるが土壇場って意味だから、意味がだぶっているな。
焼き肉焼いた、みたいな。

待てよ、もしや１の意味で、この切羽がはがれるか何かして刀のたぶん鞘に詰まってしまって刀が抜けなくなって、眼前の敵は悠々抜刀して「ふふふふふ、おぬしも運のツキよのう、死ねいっ」となってそれは困った、ってことか。

こんなことを書いている場合ではないんだってば。
よって、このクダリをオチとして、去る。

　おしまい。　
11.05.27 記