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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#629 心 眼

 自分で畑や田んぼをするに当たって、この十何年の間に何冊かの本を読んだ。たぶん、4、5冊だ。多いような少ないような。それぞれの著者が超個性的で、著書の内容も独創的だ。が、いずれも科学の専門書ではないから、矛盾点も見え隠れする。が、それらは論理的には矛盾していても、農作の実際面には何ら影響しない場合がほとんどだ。

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 岩澤信夫氏の「不耕起で甦る」という本は、冬の間に田んぼに水を張っておき、耕さずに野性的な稲を育てるという基本コンセプトを明確に打ち出している。その中で稲の性質についてのへんたい興味深い記述があった。稲という植物は、畑で育てれば畑の環境に合った根を伸ばし、水田で育てれば水田に合った根を伸ばすというものだ。
 稲はこの性質によって挺水植物と呼ばれるそうだ。ハスやクワイなんかがその仲間。クワイ川橋は水の上にかかっているが。とにかく仁鶴、畑だったら、根は土から酸素を取り入れる。が、水田の土中には酸素が無い。で、稲は水中に植えられると、葉から酸素を取り入れて、それを根に送るシステムをたちまち作るというから驚きだ。
 それゆえに、土の苗代で作られた稲の苗は、水田に移植されたときにはまだ水中に根を伸ばすシステムが出来上がっていないので、根は一旦死に、新たに水田に適した根を伸ばして活着するという。
 このプロセスで、苗はどうしても弱り、成長が遅れる。田植えのこのデメリットを回避するために、岩澤氏は土の苗代ではなく、水苗代を作ることを提唱している。水苗代とは、土に種籾を播いて出た芽が二葉くらいになった時点で水を張って育てるという手法だ。こうすると、田植えをする時点では苗の根はすっかり水田に適した根になっているから、田植えをしても弱らず、活着が早いと言う。

 ちょっと待て。田植えの際には弱らずとも、土で発芽させて二葉まで育てた苗代に水を張る時点で、同じく根が死んで苗が弱るという問題が起こるはずだ。岩澤氏のおっしゃることは論理的ではないように思える。

 ワタシはこの疑問を抱きつつ、土に種籾を播いて育てた苗に水を当て、水苗代にした。ワタシは、この時点で根の生育がしばらくストップするのだから苗は弱り、葉の相当部分が黄色くなってしまうと想像していた。が、どうだ。苗は水を張られた苗代の中で、まったく弱ることはなく、青々と伸びつづけた。

 なぜ苗は弱らなかったのか。いったい、何が起こったのか。いまだにわからない。が、とにかく苗は順調に成長しつづけている。理論的裏付けはないが、結果オーライだ。

 もしや、稲の根には二面性などなく、田植え後に苗が弱ることには、他の原因があるのやもしれない。
 いずれにしても、この問題に対する岩澤氏の説明は、読む限りにおいては非論理的だ。

 論理的でないことをさも論理的であるかのように書けば、読者は惑わされる。が、説明が適切でなくとも、実践された結果に問題がなければ、方法は正当化される。
 どうやら農作という数値や符号では捉えきれない営みは、著作物によってすべてを説明することはできそうにない。それゆえに、少々の非論理的な表現は許されてしかるべきだろう。そして、そのような文章からも真実をつかみ取ろうとする読者には、想像力と直感力が求められているように思う。想像と直観、それらは共に、不断の観察からのみ生まれる。観察は、普通は目で行なう。が、真実を捉えるには、心の眼をこそ働かせネバネバならないのだらふな。

 ずいぶんマニアックなエントリになってしまってそれはよかった。

 おしまい。 
10.06.10 記 
これは、去年のギボシ
ギボシの花
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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