揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#608 埒外の快感
種まきと言うと、腰に下げたカゴから種を手ですくって、大地にバラ播くというイメージがあった。が、実際にはそんな播き方は皆無で、土に開けた穴に数粒ずつ入れては埋める、あるいは筋状にぽとりぽとりと落としていくという方法をとるバアイが多い。稲の種である籾を播くときはどうか。これはもう、一口で言うならば、へんたいの極みだ。が、ワタシは今年も、種籾播きをした。
種まきと言うと、腰に下げたカゴから種を手ですくって、大地にバラ播くというイメージがあった。が、実際にはそんな播き方は皆無で、土に開けた穴に数粒ずつ入れては埋める、あるいは筋状にぽとりぽとりと落としていくという方法をとるバアイが多い。稲の種である籾を播くときはどうか。これはもう、一口で言うならば、へんたいの極みだ。が、ワタシは今年も、種籾播きをした。
昨年苗代作りの参考にさせていただいたのは、自然農の伝播に尽力しておられる川口由一さんの手法だった。今年は自分で考案した手法を試すことにした。冬の間水を張っておいた田んぼの土はとてもやわらかい。種籾播きの直前に水を落とせば、ふわふわで雑草も少ない土の上に楽に種籾を播くことができると考えた。土に籾を押し込むだけでいいはずだ。であれば、昨年のように大量の土をふるいにかけて敷いたりかけたりする手間は省ける。
で、本日は快晴なり。絶好の種播き日和だ。きのう雨の中で作った苗代に種籾播きをした。籾を湿ってぶよぶよした土の上に置き、人差し指で土に1cmほど押し込む。ある程度数をこなしたら、手のひらで一気に土を寄せて穴をふさぐ。・・・これだけだ。なんと簡単なんだっ。
そう、これだけだ。実に単純明快、簡単至極。が、が、が、むちゃくちゃ時間がかかる。
いいですか、左の手のひらに持った籾から右手でひと粒を取り出して土の上に置く。それを人差し指で土に押し込む。・・・はい、ここまでで何秒かかるでせう。「素早く行なえば3秒」うん、いい線だ。が、実際は泥の付いた指で作業するから、うまく一粒ずつとれなかったり指に籾がひっついたりで、倍以上時間がかかる。さらに、土をかぶせて慣らす時間が加算される。
で、いったい何粒播くのか。きょうはおよそ二合の籾を播いた。二合といえば、数千粒だ。誰か数えてくれ。とにかく、それだけの籾を、約一坪半の用地に、2cm間隔で播き詰めるのだ。
は、は、ははははははははは。
小さな小さな種籾を一粒ずつ土に押し込みながら考えた。この作業は現代的時間の埒外に属している。つまり常軌を逸している。この作業を完遂した結果発狂しても誰もとがめまい。いや、こんな作業を始めた時点で、あの男はとうとう発狂したと言われるだらふ。
が、悟った。これらひと粒ずつは、いずれは一株十数本の稲となり、総計数百粒の米を実らせるのだ。てことは、今自分は数百粒ずつをつまんでは土に押し込んでいるのだっ。
まさに、一粒たりとも無駄にできない。一粒たりとも手を抜けない。
さて、マイ田んぼが目指す所は「持ち出さない、持ち込まない」だ。昨年自分たちが稲を作った田んぼの一角に、お米のヌカを振り、籾を播き、籾殻を敷き、ワラをかける。ヌカも籾も籾殻もワラも、すべて昨年自分たちが作ったものばかりだ。後の養分は、山から引いている水と土中の生き物と微生物に任せる。つまりは、この田んぼからは米粒以外は何ひとつ持ち出しておらず、何ひとつ持ち込んでもいないのだ。
ヌカを振り終わって籾を播き始めたとき、青空の下で陽を浴びあたたかな風に吹かれながら、身体がふるえた。自分は今、カンペキに自然の循環の輪の中で作業している。快感だ。お米作り一年目だった昨年は味わえなかった快感だ。とてつもない快感だっ。あああああっ。
この快感は、あれこれを持ち込む現代農法のプロセスの、完全に埒外にある。
結局、鳥除けのテープを張り終わったときには、作業開始から6時間が過ぎていた。これを長いと思うか短いと思うか。もちろん短い。たった6時間で、数ヶ月分のお米の収穫に相当する籾を播けたのだから。
明日からもう一度同じ作業を行なう。あああっ。
で、本日は快晴なり。絶好の種播き日和だ。きのう雨の中で作った苗代に種籾播きをした。籾を湿ってぶよぶよした土の上に置き、人差し指で土に1cmほど押し込む。ある程度数をこなしたら、手のひらで一気に土を寄せて穴をふさぐ。・・・これだけだ。なんと簡単なんだっ。
そう、これだけだ。実に単純明快、簡単至極。が、が、が、むちゃくちゃ時間がかかる。
いいですか、左の手のひらに持った籾から右手でひと粒を取り出して土の上に置く。それを人差し指で土に押し込む。・・・はい、ここまでで何秒かかるでせう。「素早く行なえば3秒」うん、いい線だ。が、実際は泥の付いた指で作業するから、うまく一粒ずつとれなかったり指に籾がひっついたりで、倍以上時間がかかる。さらに、土をかぶせて慣らす時間が加算される。
で、いったい何粒播くのか。きょうはおよそ二合の籾を播いた。二合といえば、数千粒だ。誰か数えてくれ。とにかく、それだけの籾を、約一坪半の用地に、2cm間隔で播き詰めるのだ。
は、は、ははははははははは。
小さな小さな種籾を一粒ずつ土に押し込みながら考えた。この作業は現代的時間の埒外に属している。つまり常軌を逸している。この作業を完遂した結果発狂しても誰もとがめまい。いや、こんな作業を始めた時点で、あの男はとうとう発狂したと言われるだらふ。
が、悟った。これらひと粒ずつは、いずれは一株十数本の稲となり、総計数百粒の米を実らせるのだ。てことは、今自分は数百粒ずつをつまんでは土に押し込んでいるのだっ。
まさに、一粒たりとも無駄にできない。一粒たりとも手を抜けない。
さて、マイ田んぼが目指す所は「持ち出さない、持ち込まない」だ。昨年自分たちが稲を作った田んぼの一角に、お米のヌカを振り、籾を播き、籾殻を敷き、ワラをかける。ヌカも籾も籾殻もワラも、すべて昨年自分たちが作ったものばかりだ。後の養分は、山から引いている水と土中の生き物と微生物に任せる。つまりは、この田んぼからは米粒以外は何ひとつ持ち出しておらず、何ひとつ持ち込んでもいないのだ。
ヌカを振り終わって籾を播き始めたとき、青空の下で陽を浴びあたたかな風に吹かれながら、身体がふるえた。自分は今、カンペキに自然の循環の輪の中で作業している。快感だ。お米作り一年目だった昨年は味わえなかった快感だ。とてつもない快感だっ。あああああっ。
この快感は、あれこれを持ち込む現代農法のプロセスの、完全に埒外にある。
結局、鳥除けのテープを張り終わったときには、作業開始から6時間が過ぎていた。これを長いと思うか短いと思うか。もちろん短い。たった6時間で、数ヶ月分のお米の収穫に相当する籾を播けたのだから。
明日からもう一度同じ作業を行なう。あああっ。
おしまい。
10.04.28 記
10.04.28 記
苗代の写真・・・撮ればよかったな。
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
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