#605 南無阿弥陀仏

#605　南無阿弥陀仏

　たくさんの人が出演するコンサートや発表会に参加するとき、自分の出番が何番目になるかは、出演者のへんたい気になるところだ。五月に予定されているマイ生徒さんたちの発表会の演奏順を決めるのはワタシ。が、誰もの思いに応えるような順番を決めるなんてムリだから、神様におまかせすることにしている。日本一の無責任男は植木等だったが、ワタシはその次なのであった。

　最新版の抽選ソフト。ここ数年はこれのお世話になっている。どこがどう最新か。他の抽選ソフトは入力した名前をプログラムが無作為に振り分けるのだが、ワタシが使っているものは、あみだくじなのだ。ＰＣ上にあるあみだくじを出力して、それに名前を記入し、結果を見るというシロモノだ。
「なんだそりゃ。ふつうのあみだくじとなんにも違わんじゃないか」
　その通り。このあみだくじソフト、ワタシがＰＣ上で作成したあみだくじに参加グループの名前を記入していくだけのものでそれはよかった。

　一昨年作ったあみだくじを今年まで使い回している。で、名前を記入するに当たって、公平さを確保するために、毎年少しの工夫をしている。一昨年は、発表会当月のレッスンの日に各グループに順に記入してもらった。が、こうすると月末近くにレッスンがあるグループはどうしても残り物になってしまう。決定も遅くなる。で、昨年は、毎月のレッスン日の順に、あみだの左から順にワタシが機械的に記入していった。きのうは、つまり今年は、それを五十音順に変えただけだ。悪いか。

　さて、神様は大いなるいたずらをされることがある。
　次回の発表会の会場は亀岡市のガレリアかめおかだ。ここは道の駅でありながら立派なホールや公民館機能やレストランや銭湯なども兼ね備えた多目的巨大施設だ。毎月ここで練習をしているグループがふたつある。
「わたしたちは地元ですから、何かお手伝いできることがあれば言って下さい」
　早くからのこのお申し出。ありがたや。
　で、このたびの演奏順。神様の大いなるいたずら。ん、あみだくじだから、神様じゃなくて阿弥陀様か。とにかく三角、そのふたつのグループが、発表会のトップとトリになってしまったのだ。
　誰もが逃げたがる、もっともプレッシャーのかかる演奏順。これこそが最高のお手伝いということで。
「こんなはずじゃなかったってばっ。陰謀よっ陰謀っ。お手伝いするだなんて言うんじゃなかったっ」
　南無阿弥陀仏。

　それだけではない。はるばる大阪市南部や神戸方面からやって来る生徒さんもいるのだが、その人たちのグループはほとんどが後ろの方の出番となったのだ。つまり、そのグループは本番前のリハーサルも遅い時刻からとなり、ゆっくりと会場入りできて、それはよかったと言ってもらえそうでそれはよかった。

　こううまく出来上がると、厳正公平であるはずのあみだくじだが、センセイことワタシの作為ないし不正ないし陰謀が入り込んだのではないかと疑われても仕方がないやも知れぬ。が、ワタシは無責任男ではあっても、生徒さんたちに対して陰謀を企もうとは夢にも思わない。だって、もしバレたら、後が怖いもの。

　おしまい。　
10.04.22 記　

夕暮れ時のチューリップ　２

2010/04/23 (Fri) オカリナ TRACKBACK() COMMENT(0)