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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#602 練習とは 2

 中学、高校とワタシと同窓で、長く高校野球部の監督をやっている友人がいる。その彼と、選手の育成法についての話になった。公立高校でありながら京都府大会で準優勝までしたチームを育てた監督に向かって、無謀にもワタシは自分の野球観、チームの指導方針についての考えをぶつけた。親友だ、許せ。もっと飲め。で、その際、野球の練習と楽器の練習との関連について考えた。

 ワタシは言った。
「イチローは素晴らしい選手だし尊敬しているが、拙者はイチローの、ボールにバットを巧みに合わせる技術と足でヒットを稼ぐというバッティングスタイルは好かぬ。バッティングの醍醐味は、豪速球投手の全力投球、または魔球のような変化球を思いっきりたたいてホームランにすることなり」
 彼、答えて曰く。
「誰もがホームランバッターになれるわけではなし」

 自分の楽しみと、自分をチームで生かすことのどちらを優先すべきなのか。うまくなった自分を勝負の場で試したいのか、勝ちたいからうまくなりたいのか。

 実は、ワタシは彼とは中学時代に野球部のチームメートだった。主将で主力選手だった彼ほどワタシは上手くなかったが、今でも練習や試合の色んな場面がリアルに思い出される。その中でも、とびきり強く記憶に残っているもののひとつが、思いっきり振ったバットの真芯で捉えた白球がぐんぐん伸びいく場面だ。何度も何度も甦る記憶。そのときボールを打った瞬間の感触は(それは悲しいかな試合ではなく練習での場面だったが)今も鮮やかに手のひらに残っている。だから、バットを持つ者は、誰であれあの瞬間を求めてバットを振り続けるのだと信じて疑わない。

 そして、野球がスポーツになる以前の姿、すなわち、投げ、打ち、捕り、走るというシンプルな行為の楽しさに、小学生の頃にすでに魅せられていたワタシ。それゆえに、試合に勝つことに執着して、強打者を毎打席敬遠したり、ここ一番で思い切り打ちたいだろう少年に送りバントばかりさせるような戦術にはどうしても賛同できない。
 非力な選手も、野球をつづける動機は素質のある選手と同じなのだ。その思いをチームがいかに大切にするか。これがアマチュア精神の核心ではないのか。

 誤解のないように補足するが、同級生の彼は自分のチームで勝負一辺倒の偏った指導はしていない。逆に、適切な指導をしたからこそ強いチームを作ることができたのだと、彼の心根を知るワタシは強調する。

 とは言っても、勝ちたいという気持ちもみんなが持っている。だから要は、勝負と楽しみとのバランスをどう取るかということだ。
 下手でも好きで野球をやっている野球少年に、他者より打撃の素質がないからと言って、小技ばかり要求するのはどうかと思う。それは、個性を生かすことのように見えて、実は勝負に執着し、自己犠牲の名の下に個性を殺してしまっているのではないのか。野球というスポーツは、勝負にこだわる以上は、個人の力量と個性に応じたプレイの場面を作る余地は一切ない。それゆえに、力のない者ほど自己犠牲を強いられる。イチローはプロであるがゆえに自発的であり例外なのだ。

 さて、野球の練習も楽器の練習も、その本筋にちがいはない。練習とは、畢竟個性を伸ばすために行なう継続的計画的行為だと言えると思う。そこに、夢を叶える、または達成感を得るという目的をバランス良くブレンドすることで、その道程はいっそう楽しいものとなる。
 問題は、そのバランス感覚だ。それは練習の過程だけでは身に付かないものだ。そしておそらく、そのバランス感覚を身に付けることは、楽器の上達よりもずっと困難なのだ。日本全国、夢や勝負の方に偏りすぎてはいませんか。

 おしまい。 
10.04.16 記 
踊り子草
踊り子草

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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