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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#548 ぶんぶく

 おこげなんて、何年ぶりに食べただろう。うまいっ、うますぎる。最近見なくなったものと言えば、スピッツとあばら骨とおこげだ。子どもたちはおこげなんてものを知っているだらふか。好き嫌いが多い子どもには、おこげを食べさせれば食が進む。ワタシだけだったやもしれないが。てことで、きょうはおこげ談義なのだ。

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 大半の家庭では、ご飯は電気炊飯器で炊いていることだろう。飲食店のようにガス釜で炊いている家庭はほとんどないだろうし、ましてや薪で炊いている家などはよほどの風流人乃至閑人か、サバイバルが趣味である一家にちがいない。今の日本人は、直火で炊いたご飯の味を忘れつつある。厚手の鍋でガスで炊くだけで、ご飯の味は劇的に変わる。このひと手間をかけられない、悲しき現代人。わしもや。

 去る十月に演奏させていただいた丹後の宝寿寺さんでのこと。いただいたご飯の美味しかったこと。ご住職の息子さんは陶芸家で、彼が焼いた土鍋で炊かれたご飯だった。その土鍋を見せてもらった。なんとも偉容の土鍋だ。そのときワタシは、マイお米はこれで炊くしかないとひらめいた。

 あれから二ヶ月と少し。きょう(26日)、土鍋はとうとうウチにやってきた。
ぶんぶく土鍋
 この三合炊きの土鍋のふたを取ると、内側には中ぶたが付いている。また全体に極めて肉厚であるため、熱がじっくり回り、しかも冷めにくいことだらふ。深さと径のバランスも相当研究されている。近ごろホームセンターで売っているご飯用の土鍋とはひと味もふた味もちがうこと請け合いだ。

 さっそく夕飯用に籾摺りをして、まずは二合を七分つきに精米して土鍋で炊いてみた。
 強火にかけてから8分で沸騰した。とろ火に落としてさらに10分。ここからが肝心。ワタシは土鍋に耳を近づけて聞き耳を立てた。
 やがて、ピシピシ、ピキピキという微細な音が聴こえ始めた。この音こそが、おこげを作る音なのだ。火が強すぎたり、ピキピキ音を長くさせすぎたりすれば、ご飯は土鍋に焦げ付いてしまう。そのほんの少し手前、かすかにピキピキと音がする位で火を止めれば、おいしいおこげが出来上がり。一瞬だけ強火にしてすぐ火を止める。ほんのかすかにおこげの香りが漂って来る。はっきりと香るようでは焦げ過ぎだ。
 火を止めてから10分間蒸らす時間の長く感じることったらありゃしない。

 ・・・そう言えば不思議だ。ワタシはどうしてこんなことを知っているのだらふ。誰に習ったわけでもないぞ。土鍋は埋もれていた前世の記憶をよみがえらせたのだらふか。んなはずないか。

 さて、いよいよ、ふたを取る。・・・おお〜っ、この香りこそご飯の香りだっ。そうなのだ、ご飯とは香ばしいものだったのだ。そして、電気炊飯器で炊いたご飯との明らかな違いがもう一点確認できた。それは「ツヤ」だった。きょうは少し深めに精米しすぎたので、とぎを浅めにした。それなのに、いつもに増したツヤがあることには驚かされた。
 で、味はと言えば、これが、これこそがマイ田んぼで穫れたマイお米の味なのだと、とうとう合点できた。熱源と器を替えるだけで変わる「味」というものの正体は、いったい何なのだらふ。お世辞にも美味しいお米だとは言えないマイお米だが、炊き方ひとつ変えただけで、おこげの香りと味が全体に回り、ひと粒ひと粒は輝き、立ち、ここ数年で食べたご飯の中ではピカイチの味に変身してしまった。

 この土鍋、欠点はコンロを一口、約20分間に渡って占有してしまうことだ。その点が苦にならない方には心からお勧めしたい。
 それにしても、いかめしくもあるし可愛らしくもあるこの威容の土鍋。今後この土鍋を、ウチでは「ぶんぶく土鍋」と呼ぶことになったとさ。

 おしまい。 
09.12.26 記 





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演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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