#546 きわどい一日

#546　きわどい一日

　目覚めると、雨が降っていた。油断だった。きのうの快晴によってきょうの雨の可能性を低く見積もりすぎていた。布団から飛び出すと、祭壇へと走り、大急ぎで護摩を焚き、雨雲退散の祈祷を始めた。が、雨脚は一向に弱まらない。で、祈祷は出発時刻ぎりぎりの午後４時までつづいた。

　晴れ男だというだけの理由で今年まで五年連続でオカリナの演奏依頼をいただいている丹波琴滝・冬ほたるイルミネーション。そのクライマックスとなるきょうが雨天となってしまえば、雨乞い師見習いであり晴れ男のワタシの信用は地に堕ちる。全日本祈祷師協会へ電話して、緊急の雨雲退散の祈祷のマニュアルを確認し、必死で祈祷した。途中、護摩木が足りなくなったので、お箸からイスから風呂桶のふたから雨戸までたたき割って護摩木にした。

　演奏会場の琴滝への道中、雨脚はいっそう強まった。が、西の空に晴れ間がのぞき、バラ色の夕焼けの切れ端が見える。どうやらひと安心してよさそうだ。
　案の定、会場へ到着し、駐車場までつづく長い車列に加わっている間に、雨はぴたりとやんだ。晴れ男の面目躍如でそれはよかった。

　さて、このたびもこの日のために編曲して初演した新曲があった。「水色の雨（歌／八神純子）」「雨（歌／三善英史）」「モナリザの微笑み（歌／ザ・タイガース）」
　モナリザの微笑みの出だしは「雨がしとしと日曜日」だ。雨乞い師見習いのワタシがこれだけ雨の曲をラインナップしたものだから、雨の神様はワタシが雨乞いしているとカンチガイしたのやもしれない。申し訳もござりませぬ。

　とまれ、これでこの７年間のワタシの野外コンサートの晴天率は、２４勝２敗で９２．３％となった。きょうは祈祷が長引いたために遅刻しそうになったが、まずは晴れ男業務をきわどく完遂できてなにより。また、急激な冷え込みで、オカリナ置きの台に仕込んだヒーターとカイロの効果及ばずオカリナの結露が相次ぎ、何度か演奏に支障が出た。終始きわどい一日だった。

　それにしても、遠方からやってくるお客さんの熱心さにはまいった。イルミネーションの点灯の３０分前から駐車場はすでに満杯。ワタシは会場へつづく一本道に連なった駐車待ちの長い車列の後ろに一時間も並ぶこととなってしまった。着いたら長い坂道を５分かけて登って、その足で舞台へ上がり、楽器を取り出してすぐに演奏。それでも息切れせずに演奏できたのは、今年始めたお米作りで基礎体力が付いていたからやもしれぬ。
　また、みなさん寒い寒いとのたまっておられたが、ワタシは少しも寒さを感じなかったのも、ウチで穫れたお米を食べ始めたからにちがいない。ちがいないと言ったらちがいないのだ。ありがたや、ありがたや。

　てなことで、今月に入ってつづいた怒濤の日々は、これをもって今年の仕事納め的無事終了と相成ったとさ、めでたし、めでたし。が、冬眠はまだまだできそうにない。

　おしまい。　
09.12.23 記　

今年の琴滝。滝に取り付けられたＬＥＤだけで１３万個ある。
　右下に見えるテントが置かれている所がステージ。

2009/12/24 (Thu) オカリナ TRACKBACK() COMMENT(0)