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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#541 何がこんなに胸を打つのか

 1時間の放映時間の間、ずっと涙をこらえっ放しにさせられる番組など、めったにあるものではない。二人三脚といえばふたりで足をしばり付けて走る競争だが、近ごろ、三十人三十一脚というものが全国の小学生を熱くさせている。その全国大会の模様を見た。ドキュメンタリーならではの、事実だけが持つ力に感動させられつづけたのだ。

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 全国から勝ち抜いてきた10チームほどが決勝大会に進んだ。小学校六年が中心だ。50mを、なんと9秒台で走り抜ける。なかには、あえてクラス全員参加で四十人四十一脚として参加した学校もあった。みんな一年以上、先生の指導の元に真剣な練習に打ち込んできた。ある女の子。
「将来の夢は?」
「今は三十人三十一脚のことで頭がいっぱいなので、将来のことなんかなんにも考えてない」
 途中で転倒したチームもいくつかあった。みんな声を上げて泣いた。

 声を上げて大泣きしたのは、こけたチームだけではない。決勝大会に進んだすべてのチームが、号泣した。優勝した熊本のチーム以外は、負けた悔しさゆえの涙だった。
 負けて泣き、勝って泣く。先生も、応援団も、テレビのスタジオの出演者も、テレビを見ている者も、みんな泣く。

 いったい、何がこんなに胸を打つのか。

 近ごろの子どもには珍しいひたむきな姿だろうか。人間がすべてを賭けて何かに打ち込む姿だろうか。負けてなお感謝の気持ちを語った敗戦の弁だろうか。固いチームワークだろうか。
 どれも当たっている気はする。が、どれも何かが足りないような気もする。勝利への執念も、仲間をいたわる言葉も、先生と周囲の人への感謝の言葉も、チームワークを大切にする心も、大人だって持っている。

 何がこんなに胸を打つのか。このシンプルでいて答え辛い問い。それでいて、三十人三十一脚のシーンを思い出すだけで、今も涙が込み上げてくる。これはいったい、なんなのだ。

 問いを深めていって行き当たったのは、純粋さという言葉だった。彼らの走り、目つき、言葉、叫びには、なにひとつ嘘偽りがなかった。そして、なんの迷いもなかった。体裁を整えるためのものもなかった。走りたい、勝ちたい、ただそれしかなかった。
 いや、それだけではない。すべてのチームは、勝ち負けと同じくらい、あるいはそれ以上に、チームワークを大切にしていた。チームワークこそが勝利の必要条件であることを「なぜか」知り尽くしていた。みんなで勝利と敗北を分かち合う。練習の苦しさも、練習と勉強の両立の苦労も、お互いの力の差も、すべて分かち合う。それが勝利の必要条件だと、心の底から信じている。すべてのチームが「心をひとつにする」と何度も言っていた。

 純粋なチームワークは、愛に等しい。結局、ワタシが彼ら彼女らに見たものは、純粋な、そして燃え上がるような愛だったのだろうか。そして、そこに生きることの原点を見たのだろうか。
 が、それがなぜ涙を呼ぶのか。それは悔しさ悲しさに共鳴しただけのもらい泣きでは、けっしてない。喜怒哀楽を超えた所にある感動が呼んだ涙だった。この感動がなぜ涙を呼ぶのかは、どうしてもわからず終いだった。
 いや、体験しておきながら、わからないなどということはあるまい。すべての人はわかっているのだ。だから、言葉にする必要がなく、それゆえに言葉にならないというのが真相にちがいない。

 おしまい。 
09.12.13 記 
ミヤマノイチゴ
ミヤマノイチゴ
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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