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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#439 心静かに風景とともにあれば

 わはははは、きょうは泥だらけだ。裸足で田んぼの草引きだ。なんて気持ちがいいんだろう。水が張られた田んぼにかがんで草を引いていると、頭がからっぽになっていく。インフル禍なんて、どこか別の世界の出来事のような気がしてくる。

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 晴れた日の田んぼは、水も泥も温かい。素足で踏みしめるぬるりとした泥は、かつてない心の開放感と野生への回帰感を与えてくれる。
 水の中をのぞくと、ちっちゃなオタマジャクシや水生昆虫がたくさん泳いでいる。水面をクモが歩いている。それらに気づいたとき、突然に「すばらしいっ」との感慨がワタシを満たした。そしてその感慨は、はからずもウチの農作の真の意味を思い出させてくれた。

 この一年ほどのワタシは、畑や田んぼをすることの目的と意味を、楽しみと危機管理のための自給自足であると考えていた。が、そもそもの目的はそれだけではなかった。裸足のワタシは水中を泳ぐオタマジャクシたちを見た瞬間、かつて心の中で、自然環境の復活と保全をこそもっとも強く望んでいたことを思い出した。その思いゆえ、里山的自然のささやかな復活である自然回帰的農法にこだわってきたはずだったのだ。

 様々な問題に翻弄される日常の中で、農作の目的はいつか、食べ物を作るという卑小なものへとの変化してしまっていた。昨今の世界の食糧事情に発する危機意識の高まりも無関係ではあるまい。

 自然環境を復活させ守りつづけ、人の和を保ち、我執に囚われなければ、食べ物は自然な形で必要な分だけは必ず与えられる。野菜作りしかり。魚釣りしかり。これこそが、ワタシが田舎暮らしで得た最大のビジョンのひとつだったはずだ。十数年前の自分の言葉で言えば、
「心静かに風景とともにあれば、必要なものは与えられる」
 であったのだ。自然の風景とともにある行ないは、造物主の創造的営みに参加することなのだ。

 また素足で感じる泥の感触とオタマジャクシは、このところすっかり断片化していたワタシの脳みそを一瞬で整理し、なかなか寝付けなかったこの半月余りの疲れを癒してくれた。目の前に一条の光が射し、肩から重荷が降りたような気がした。生き返った。めでたい。

「裸足で泥の中に入ってると、ヒルが寄ってくるよ」
「姐さん、止めないでおくんなさい。あっしゃぁ、もう、自分の血でもなんでも虫けらたちにやってしまいたいってほどの、晴れ晴れとした心持ちなんでさぁ」
「何言ってんのさ。あんたの血なんか吸わされた日にゃ、ヒルが気の毒だって言ってんだよ」

 作業を終えて泥だらけの足を水路で洗うと、指がふやけてしわくちゃになっていた。で、足の甲はすべすべになっている。泥パックだ。

 静かな田んぼのそばの樹上で、イカルが鳴いている。その声は、ワタシをユートピアへといざなう天の啓示のようだ。鳥を見て鳥インフルを思い出すのはもうやめようと思った。が、イカルは、人の世に思いを馳せることもまた人の定めだと言っているようにも思えた。
「姐さん、男はつろうござんすね〜」
「ったく、情けない人だよ」

 まもなく、いよいよ田植えの第一ラウンドだ。すべってこけたら全身泥パックでそれはよかった。

 お昼頃、仕事部屋のすぐ横に小鳥たちがやってきて歌ってくれた。
 ↓


 おしまい。 
09.05.23 記 
少し水を落とした草だらけの田んぼ。ヒルは寄って来ないぞ。
田んぼで
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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